土壌汚染対策法のガイドライン改訂第3版の土壌汚染調査のボーリング調査方法
土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン 改訂第3版のAppendixは参考資料として付属されており、Appendix No.1からAppendix No.25まであります。
土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドラインの本文を読んで、土壌汚染問題に関する調査などの知識を得るということは必須であり、環境デューデリジェンスの知識や技術の向上にも必要なことです。
一方で私の経験上、土壌汚染問題や土壌汚染調査の本質的な事項は意外にも付属しているAppendixに多く記載されていると考えています。
つまり、土壌汚染問題を理解する為の基礎情報や補足情報が記載されているということです。
なぜ、土壌汚染問題に関する基礎情報や補足情報が環境デューデリジェンスに必要かということですが、環境デューデリジェンスの結果はM&A取引を行う企業間同士で共有されます。
そして、環境DDの結果に関して議論されるわけです。
議論の際に当然、環境面や土壌汚染問題の知識がない担当者の方や経営層がいる可能性はあります。
そのようなケースでは、基礎情報や補足情報を丁寧に説明するということが非常に効果的であり、重要なのです。あくまでも私の経験の話ですが…(笑)。
更に環境省の土壌汚染調査管理技術者試験でも、Appendixに記載されている内容が問題として出題されいます。
実際、土壌汚染調査管理技術者試験の問題を解いていると、結構の頻度でAppendixを参照しています。
そこで、環境デューデリジェンスの知識や技術の向上を考慮して、Appendixに記載されている内容を学んでみることにしました。
私は海外M&Aの環境デューデリジェンスを多数経験していますが、やはり国内の環境デューデリジェンスに適用されることが多い土壌汚染対策法のルールを知っておくことは重要だと考えています。
土壌汚染対策法では○○で、海外の法規制では○○ですという例え話は、とても説得力がありますし、理解しやすいですからね。
今回は、Appendix No.11の土壌汚染調査のボーリング調査方法についてです。
私なりの解釈や概要を整理していきます。
土壌ボーリング調査の掘削方法
地面の下から分析用の土壌試料を採取する為に、土壌掘削ボーリングが実施されます。
土壌掘削ボーリング調査の掘削方法の代表的なものを説明していきます。他にも様々な方法があり、目的に応じて適宜選択することが重要です。
例えば、掘削を実施する場所のスペースや地盤の硬さ、掘削する場所の立地等が土壌掘削ボーリングの掘削方法を選択する根拠になります。
ちなみに土壌を採取するという観点では、以下の記事を参照下さい。
この記事を読むにあたって、頭の準備体操になると思います。
一般のボーリングマシンによるボーリング(ロータリー式ボーリング等)
孔底に設置したビットに機械的な回転と圧力を加えて地層を掘削する方法です。
主に土壌の測定、地層の把握及び土質試験用として連続した土壌試料の採取が必要な場合等に適しており、地盤調査等では最も一般に広く利用されています。
回転馬力等が強く適用可能な地層の範囲が広いです。したがって、掘進性能にも優れています。
しかし、一方で不飽和帯中は無水掘進が可能ですが一般には掘削に掘削流体(清水や泥水)を使用します。
したがって、土壌汚染が存在する可能性がある箇所を掘削することを前提とする土壌汚染調査では、ロータリー式ボーリングマシンを使用する際は、注意すべきことが多々あります。
また、下記の図のように「やぐら」を設置することから天井が低い室内などには適していません。
打撃貫入式ボーリング
クローラー等に搭載した油圧ハンマーの打撃貫入によりサンプラーを地盤に挿入し、連続的に土壌試料を採取する方法です。
原則として掘削流体を使用せずに無水掘進することができますが、私の経験上、掘削できる深度は15m~20m程度です。
もちろん、掘削適用な深さ・土質は掘削機械によって異なりますが、強度な地盤(巨礫や砂礫)が堆積している場合は、導入を慎重に検討しなければなりません。
しかし、一般的には土壌汚染対策法でも掘削深度は10mまでが原則なので、数多くの土壌汚染調査で利用されています。
掘削マシンは以下の図のとおり、軽自動車程度の大きさです。主な掘削マシンにエコプローブやジオプローブがあります。
上述のマシンとは異なり、当該掘削方法では油圧ハンマーを人力で支えるタイプの機械もあります。
つまり、室内や建物間での狭い場所で土壌掘削ボーリングが実施できるということです。もちろん、このタイプの機械の適用可能な地層の範囲や深さは限定されます。
油圧ハンマーを人力で支えるタイプの機械に関しては、以下のサイトを参照ください。
株式会社エイチテックさんの土壌汚染調査機のご案内ページです。
http://www.h-tec2004.co.jp/info.html
土壌試料のサンプリング
土壌汚染状況調査等で必要とする土壌試料は、土壌の化学的な性質を変化させることなく採取する必要があります。
土壌汚染に関する基準値超過の有無を確認する為の分析試料になる土壌ですので、適切な方法で採取し、的確な一時保管をしなければなりません。
そして、人為的なミスから発生する土壌試料同士の汚染の拡散を必ず防がなければなりません。
土壌試料同士の汚染の拡散とは、掘削器具・サンプラー等に付着した汚染された土壌や地下水が試料に混入することや、掘削用水中に溶出した汚染物質が試料に混入することによる試料間の二次汚染のことです。
通称、「コンタミ」です。
コンタミに関しては、以下の方法で防止することができます。
・個人保護具であるビニール手袋の適時取替
・安全靴の底面の洗浄
・掘削器具、サンプラーやケーシングの適時洗浄
・試料容器の事前洗浄
・試料採取時の適切な採取方法の徹底 など
土壌汚染調査に関連するサンプリングの方法
主なサンプリングの方法は以下のとおりです。
ロータリースリーブ内蔵二重管サンプラー
スリーブ内蔵二重管サンプラーによる方法は土壌汚染の調査において最も多用されています。
軟弱粘性土を除く各種の地盤や岩盤に対して適用でき、乱れの少ない試料採取が連続的に採取可能であり、採取率も良いです。
サンプリングチューブ先端のシュー又はリフターケースに装着したプラスチック製フィルム(スリーブ)が土壌コア試料の採取に伴い伸長し、土壌コア試料の外周を覆うことにより試料を保護します。
オープンチューブサンプラー
打撃貫入式の土壌掘削ボーリングで用いられます。
サンプラーを地中に押し込むことで下部の開口部から土壌コア試料がサンプラーの中に入る構造になっており、土壌コア試料は掘進に伴いサンプラーに接続したサンプリングチューブに収納されます。
粘土・シルト・砂の採取に適しており、孔壁崩壊のおそれがない場合や掘削深度が浅い場合に用いられます。
土壌コア試料の変質防止
第一種特定有害物質や水銀のように揮発しやすい物質を対象とした土壌汚染調査のサンプリングでは、掘削により土壌コア試料に熱が加わらないように十分に注意する必要があります。
特定有害物質が揮発してしますと、正確な分析の数値を把握することができなくなります。
無水掘りを採用する際は、土壌掘削ボーリングマシンの無理な回転によって掘削孔に摩擦等の影響で熱が発生します。
これらの発生する熱から土壌試料を守るためには、硬い地層の掘削において汚染拡散を防止しながら極少量の清水を用いて掘削するなどの対応を行う必要があります。
ロータリー式ボーリング等で清水又は泥水を使用する場合は、清水や泥水が土壌コアに触れることで、特定有害物質が溶出するおそれがあるため、サンプラーの組み立てを確実に行う必要があります。
土壌掘削ボーリング作業中の二次汚染の防止
土壌掘削ボーリング時に掘削器具やサンプラーは高濃度で汚染されている可能性がある土壌や地下水に接触します。
汚染物質が付着したボーリング資材類を使用することで汚染されていない土壌に汚染物質が混入して、分析の結果、汚染されていない土壌を汚染土壌と誤認して評価したり、汚染されていない深さまで汚染を拡大して評価してしまう可能性があります。
現場作業で使用するボーリング資材類は掘削深さごとに洗浄又は交換し、ほかの深さ・地点で使用する際に二次汚染を生じないように徹底することが重要です。
ロータリー式ボーリング等で清水又は泥水を使用する場合は、清水や泥水を循環利用する間に地盤中の特定有害物質が混入するので、水溜場を清水や泥水が地下に浸透することのない構造にするとともに、循環利用する清水又は泥水を適宜交換しなければなりません。
ボーリング掘削孔を通じた土壌汚染・地下水汚染の拡散の防止
ボーリング掘削孔を通じた汚染物質の拡散防止の方法の例を土壌汚染状況調査における土壌掘削ボーリング時と要措置区域において行う土壌掘削ボーリングの場合(土地の形質の変更の例外と認められる例)とに分けて記載していきます。
土壌汚染状況調査における土壌掘削ボーリング調査の場合
土壌汚染状況調査においては、帯水層の底面までの掘削において不用意に帯水層を貫通することにより起き汚染物質の拡散防止と、深部までの掘削が必要な場合において、帯水層の底となる地層を貫通する時の遮水等が不十分である場合に起きる汚染物質の拡散防止が重要です。
1) 帯水層の底面までの土壌掘削ボーリング時の拡散防止
汚染の拡散防止に関しては、事前に帯水層の底面の深さを把握し、土壌掘削ボーリングの計画をその深さまでとすることが最も重要です。
土壌汚染対策法のガイドラインの本編によると帯水層の底面の確認方法の概要は以下に記載する通りです。
つまりは、既存の柱状図を確認するか、パイロット試験を実施しなさいということです。
「帯水層の底面」は、帯水層を満たす地下水の受け皿となっている難透水性の地層の直上部を指す。
調査実施者は試料採取計画を立案するために、「帯水層の底面」の概略深さを既存の地質柱状図や水理基盤図等や調査対象地内の土壌汚染の存在するおそれがない地点で試掘(パイロットボーリング)を行うなどして事前に把握するとよい。
土壌汚染状況調査において土壌掘削ボーリング調査を複数地点で行った場合は難透水性の地層が連続して分布すること、各土壌掘削ボーリング地点において難透水性の地層の厚さが 50 cm 以上であることを確認することが必要である。
土壌掘削ボーリング調査を 1 地点のみで実施する場合は、難透水性の地層の厚さが 50 cm 以上であることを確認できればよいこととする。
どちらの場合も、事前に把握した帯水層の底面の概略の深さと、ボーリング調査で確認した帯水層の底面の深さが整合することを確認する。
なお、これらが整合しない場合は、砂層や砂礫層中に不連続に分布している粘土やシルトの挟みを誤って帯水層の底面と判断している可能性がある。あるいは巨礫や転石を岩盤と誤っている可能性がある。
土壌掘削ボーリング時の拡散防止対策として、ボーリング作業時手順書を作成し、帯水層の底面付近の深さの掘削手順を明確にすることも有効です。
土壌汚染対策法のガイドラインでは手順書には次の事項を記載することが推奨されています。
① 想定される地層構成と帯水層の底面の深さ
参考となるボーリング柱状図がある場合は添付するとよい
② 帯水層底面付近の1回の掘削長さ(ストローク)の指示
例えば帯水層の底となる地層の厚さの半分以下の長さを掘進ストロークとして指示する
③ 万一帯水層の底となる地層を貫通した場合の対応
遮水材の準備、遮水作業の手順をあらかじめ定めておく
④ 掘削孔の埋め戻し方法
ケーシングの抜管や遮水材の充填の手順をあらかじめ定めておく
⑤ 万一高濃度の汚染を確認した場合の対応
掘削中に採取した土壌コア試料の状況、土壌試料採取時の状況、循環利用する清水又は泥水の汚染物質濃度等から孔内に高濃度の汚染物質の侵入が確認された場合の対応を定めておく。
例えば、高濃度の汚染土壌が認められる範囲を覆うことが可能な深さまでケーシングを挿入し、孔内への高濃度の汚染物質の侵入を防いだ上で、孔内から高濃度の汚染物質を除去し、さらに掘削を続ける方法が考えられます。
打撃貫入式の土壌掘削ボーリングでは掘削流体を使用せず、通常ケーシングも使用しないので、予期しない高濃度の汚染を認めた場合は、ボーリング調査を中断して孔内を遮水材で埋め戻し、ケーシング等を準備した後に改めて近傍で土壌掘削ボーリングを行う手順を定めておくことが考えられます。
2) 帯水層の底となる地層を貫通する土壌掘削ボーリング時の拡散防止
帯水層の底となる地層を貫通する土壌掘削ボーリングでは、第一帯水層の地下水汚染や原液状の汚染物質を下部の第二帯水層へ移動させてしまう可能性があります。
移動させない(汚染を拡散させない)手順の例を以下に示します。
下記の方法は一例であり、上部にある汚染物質を下部帯水層へ移動させない方法であれば、現地の汚染状況、地層の状況や掘削深度、掘削流体の使用の有無にあわせて、作業方法を変更することができますが、私の経験上、ほとんどのケースで下記の方法が使用されています。
① 第一帯水層の底の上部(難透水性の地層)に貫入するまで遮断用ケーシングを挿入する。
② ケーシング孔から雨水防止と第二帯水層の掘削時の遮水のためにケーシング孔底部にセメントミルクやベントナイト等の遮水材を充填する。
③ 遮水材が固化するまで養生したのち、ケーシング内に掘削流体やスライム(掘りくず)が残っている場合はこれを除去する。
④ ケーシング内で第二帯水層に達する土壌掘削ボーリングを行い、所定深さで試料採取を行う。
⑤ 試料採取後にケーシングを挿入し、そのケーシングを通じて下位の試料採取を行う。試料採取が必要な深さまでこの工程を繰りかえす。
⑥ 全ての試料採取が終了した後、第二帯水層内のケーシング内部をセメントミルクやベントナイト等の遮水材で充填しながらケーシングを引き抜く。
⑦ 第二帯水層の掘削孔を遮水材で充填した後、第一帯水層に挿入されたケーシング内部を遮水材で充填する。第一帯水層と第二帯水層間の遮水が完全になるよう、慎重に作業する。第一帯水層のケーシングも必要に応じて引き抜く
図の②の作業は、難透水性の地層の一部を掘削したことにより、第一帯水層と第二帯水層の遮水機能が低下したものを補う役割があります。
難透水性の地層が十分に厚く、掘削後(例えば難透水性の地層を確認するための 50 cmの掘削)も十分に遮水が行える場合は、遮水材を充填しない方法も可能です。
また掘削流体を使用しない打撃貫入式ボーリングでは図の④においてケーシングを使用しない手順で掘削することもあり得ます。
土壌掘削ボーリング調査後に第一帯水層に設置したケーシングを引き抜く必要がある場合の作業手順例は以下のとおりです。
地下水の流れが緩やかで、セメントミルクがすぐに流失しない地層においてはこのような工法も可能です。
第一帯水層の底の上部(難透水性の地層)に貫入するまで遮断用ケーシングを挿入した後に泥水やスライムを除去してケーシング内を空にします。
その後ケーシング内にセメントミルクを充填するが、ケーシングの先端を帯水層の底面までゆっくり引き抜き、第一帯水層の底面までセメントミルクで遮水します。
法第5条に基づく土壌汚染状況調査では、第一帯水層中に土壌汚染や地下水汚染がなく、第二帯水層においてのみ地下水汚染が生じている土地で土壌掘削ボーリングを行うことが想定されます。
この場合は掘削後に第一帯水層と第二帯水層の遮水を完全に行うことができる方法で掘削することも可能です。
要措置区域等において汚染の拡散を引き起こさない方法で実施するボーリングの場合
要措置区域は土壌の汚染が判明しており、人の健康被害が生じているか生じるおそれがあると認められる土地であることから、土壌汚染状況調査における土壌掘削ボーリングよりもさらに慎重に掘削し、ボーリング掘削孔を通じた汚染物質の拡散防止を確実に行う必要があります。
具体的には次の3つを満足する方法で土壌掘削ボーリングを実施しなければなりません。
🔶 基準不適合土壌の壁面の固定、その他の方法により基準不適合土壌がボーリング掘削孔内を通じて拡散しないようにすること。
🔶 下位帯水層まで土壌掘削ボーリングを行った後、第一帯水層と第二帯水層を遮断すること。
🔶 掘削にあたって水等を用いる場合、当該水等による汚染の拡散を防ぐこと。
形質変更時要届出区域においては、上記の要件を満たす方法で実施する土壌掘削ボーリング調査は、事前の届出が不要となります。
これ以外にも土壌汚染状況調査時の土壌掘削ボーリング調査で示した事項に注意して作業を行う必要があります。
(1)ボーリング掘削孔内を通じた汚染土壌の拡散の防止
土壌掘削ボーリング作業時手順書を作成し、高濃度の汚染土壌が存在する付近の深さの掘削手順を明確にすることが有効です。
土壌汚染対策法のガイドラインでは手順書に下記の事項の記載が推奨されています。
① 想定される地層構成と帯水層の底面の深さ
参考となるボーリング柱状図がある場合は添付するとよい
② 高濃度の汚染が存在する深さと濃度
これまでに判明している汚染土壌が分布する深さ、土壌溶出量を明記する
③ 汚染土壌の壁面を固定する方法
例えば、高濃度の土壌汚染が存在する深さまでケーシングを挿入し、ボーリング孔内への高濃度の汚染物質の侵入を防いだ上で、孔内から高濃度の汚染物質を含むスライムを除去し、清水や泥水を交換したのちに、さらに掘削を続けるなどの手順が考えられる。
④ 掘削孔の埋め戻し方法
準不透水層の一部を掘削した場合は、準不透水層の機能を回復する必要がある。
(2)第二帯水層まで土壌掘削ボーリングを行った後、第一帯水層と第二帯水層を遮断する方法
一例として土壌汚染対策法のガイドラインでは以下の記載があります。
第一帯水層にある汚染物質を第二帯水層へ移動させない方法であれば、現地の汚染状況、地層の状況や掘削深度にあわせて、作業方法を変更することができます。
①第一帯水層の底の上部(難透水性の地層)に貫入するまで遮断用ケーシングを挿入する。
② ケーシング孔から雨水防止と第二帯水層の掘削時の遮水のためにケーシング孔底部にセメントミルクやベントナイト等の遮水材を充填する。
③ 遮水材が固化するまで養生したのち、ケーシング内に掘削流体やスライム(掘りくず)が残っている場合はこれを除去する。
④ ケーシング内で第二帯水層に達する土壌掘削ボーリングを行い、所定深度で試料採取を行う。
⑤ 試料採取後にケーシングを挿入し、そのケーシングを通じて下位の試料採取を行う。試料採取が必要な深さまでこの工程を繰りかえす。
⑥ すべての試料採取が終了した後、第二帯水層内のケーシング内部をセメントミルクやベントナイトなどの遮水材で充填しながらケーシングを引き抜く。
⑦ 第二帯水層の掘削孔を遮水材で充填した後、第一帯水層に挿入されたケーシング内部を遮水材で充填する。第一帯水層と第二帯水層間の遮断が完全になるよう、慎重に作業する。準不透水層を貫通した場合は、準不透水層の本来の遮水の効力を回復させる必要がある。第一帯水層のケーシングも必要に応じて引き抜く。
(3)掘削にあたって水等を用いる場合、当該水等による汚染の拡散防止
土壌汚染対策法のガイドラインでは以下の記載があります。
ロータリー式ボーリング等で清水又は泥水を使用する場合は、清水や泥水を循環利用する間に地盤中の特定有害物質が混入するので、水溜場を清水や泥水が地下に浸透することのない構造にするとともに、循環利用する清水又は泥水を適宜交換する。
現地で簡易的な方法で清水中又は泥水中の汚染物質の濃度を適宜測定し、清水又は泥水の交換時期を判断することが望ましい。
地層の観察
採取した土壌コア試料を観察し、地層の色調、混入物(大きさ、形状、分布状況)、軽石層等の鍵層(キーベッド)、土性、堆積状況、湿潤状況、臭気等必要な事項を整理し、地質柱状図等として状況をまとめることが重要です。
自然由来汚染調査、自然由来盛土等調査、水面埋立て土砂由来汚染調査においては、自然由来の汚染のおそれが認められる地層や盛土が分布する深さ、水面埋立て土砂が分布する深さを試料採取地点ごとに把握する必要があるので、土壌コア試料の観察結果から当該深さを判断して報告する必要があります。
また、埋立地特例区域に該当すると思慮される土地の調査では、水面埋立て土砂以外の地層と水面埋立て土砂に廃棄物が埋め立てられていないか土壌コア観察によって確認し、廃棄物の有無を柱状図に記載する必要があります。
土壌掘削ボーリングで採取した土壌コア試料の写真記録を保存しておくと後で見返すことも可能です。ただし、経験上、解像度が高いカメラで撮影しておかないと肝心な情報を入手することができない土壌コア写真となってしまいます。
国内の柱状図の作成に関しては、以下のPDFが参考になりました。
ボーリング柱状図作成及び ボーリングコア取扱い・保管要領(案)・同解説
分析試料(土壌)の採取
採取した土壌コアを観察し、地層の色調、混入物(大きさ、形状、分布状況)、軽石層等の鍵層(キーベッド)、土性、堆積状況、湿潤状況、臭気等必要な事項を整理し、地質柱状図等として状況をまとめることが重要です。
分析試料(土壌)の採取
まず、土壌コア試料の長さを測定し、分析試料を採取する深さを決めます。
土壌コア試料が掘削の影響で伸縮している場合はその状況を勘案して採取する深さ判断する必要があります。
土壌汚染状況調査においては、試料採取深さは舗装や砕石をのぞいた土壌表面を基準とするので、舗装面を基準としないように留意しなければなりません。
舗装や砕石の下の土壌を採取するという観点で以下の記事を参照ください。
土壌試料として採取したい所定の深さの土壌は薬匙(私の経験では洗浄されたスプーン等です)を用いて採取し、所定の容器に収めます。
第一種特定有害物質は揮発しやすいため、早く試料を採取して容器に密封する必要があります。
コンタミを防止するために基本的にことですが、薬匙は試料ごとに洗浄したものを使用する必要があります。
分析に必要な土壌試料の量に関しては、第二種特定有害物質及び第三種特定有害物質のみですが、以下の記事を参照ください。
第二種特定有害物質及び第三種特定有害物質に係る土壌試料採取方法(Appendix
もう2点、土壌試料を容器に収める時の注意点があります。
🔷 土壌コア試料は、土壌掘削ボーリングの過程で表面に汚染物質が付着するおそれがあります。
したがって、分析試料は土壌コアの表面を避けて内部から採取する等の注意が必要です。
また、土壌コアの表面は土壌掘削ボーリング時に発生する摩擦等の熱の影響を受けやすいので、この観点からもできるだけ土壌コア内部から分析試料を採取する必要があります。
🔷 スライム(掘りくず)は取り除き、試料採取の対象としてはいけません。
掘削孔の埋め戻し
土壌掘削ボーリング調査を行った後に残された掘削孔は、観測井戸又は揚水井として利用する以外は、崩壊を起こす前に、迅速に埋め戻す必要があります。
埋め戻し材は、周辺の地層よりも透水性の小さいものを使用し、掘削孔を通じで汚染物質が地下深部へ移動することがないようにしなければなりません。
私の経験上、埋め戻し材にはベントナイトやセメントミルク等を使用することが多いです。
ベントナイトやセメントミルク等の埋め戻しに必要な材料の使用には以下の注意点があります。
🔷 掘削孔の体積を事前に算出し、十分な量を掘削孔内に充填する必要があります。
🔷 掘削孔内に隙間なく充填されるように、少量ずつ複数回に分けて充填する必要があります。
🔷 セメントミルクを充填する際は注入管を孔底に降下し、注入管を引き上げつつセメントミルクを注入することで均等に充填することができます。
発生土・排水の処理
土壌掘削ボーリングで発生する汚染された泥水やスライム(掘りくず)等は専門の処理業者に処分を委託するなど、適正に処理を実施しなければありません。
また、高濃度の汚染が確認された場合は、掘削器具やサンプラー、分析試料の採取に用いた薬匙等の洗浄水も汚染されている可能があります。
したがって、土壌及び地下水分析の結果を把握した後に適切に処理する必要があります。
地下埋設物破損の防止
土壌掘削ボーリングによる地下埋設物の破損を防ぐため、あらかじめ、水道管、ガス管、電話線等の埋設の有無を調査する必要があります。
土壌汚染調査を実施する敷地内の平面図による確認のほか、現地における施設の確認や配管が通じているマンホール・ハンドホール等の位置の確認をすることが重要です。
そして、古くからある事業場には図面等に記録されていない配管等が埋設されていることがあるので、深さ1.5 m程度まで(あるいは埋設施設の存在が疑われる深さまで)手掘りで試掘を行うことで地下埋設物の損傷を回避できる可能性が高いです。
また、平面図を確認し、合わせて地中レーダー探査や電磁波を用いた埋設探査機などを利用して埋設物を確認することは基本的なことです。
最後に…
今回は、Appendix No.11の土壌汚染調査のボーリング調査方法について、私なりに整理してみました。
学ぶべきことが沢山あったと実感しています。
土壌掘削ボーリングは土壌汚染を評価する為の分析試料の採取に不可欠です。
したがって、汚染が拡散しないように適切な手順で実施しなければなりません。
土壌汚染調査の人為的ミスで汚染が拡散しては、絶対にいけません。
常にこの記事の内容を心がけて調査を実施しなければならないということですね。
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