土壌汚染調査技術管理者試験

環境省 土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の解答に挑戦(指定調査機関が定める業務規程 編)

環境省 土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の解答に挑戦(指定調査機関が定める業務規程 編)

 

この記事では、平成22年から令和1年の土壌汚染調査技術管理者試験の指定調査機関が定める業務規程に関する問題に挑戦したことを書いています。

 

まずは、前置きです。

既にご存知だと思いますが、令和元年度の土壌汚染調査技術管理者試験の合格率は6.4%という結果であり、過去の合格率と比較すると合格率が低い年度でした。

年々、出題問題が難しくなっているというよりは、土壌汚染に関連する知識を問う範囲が多岐にわたっていると私は感じています。

 

試験問題に挑戦する前に、試験結果の詳細を記載します。

令和元年度の土壌汚染調査技術管理者試験の合格率などの詳細は以下のとおりです。

令和元年度 土壌汚染調査技術管理者試験の合格基準は、次の(1)及び(2)を満たすことと発表されています。

 

(1)総合得点率 65%以上(52問/80問以上)
(2)問題区分別得点率
―調査  30%以上
―対策  30%以上
―法令等 30%以上

 

つまり、調査対策法令等の一定の知識が必要になるということです。

 

令和元年度の出題問題の数は、以下のとおりです。

 

調査   :10時30分~12時30分 問1~問35
対策   :13時30分~15時30分 問1~問25
法令等:13時30分~15時30分 問26~問45

 

次に、受験申請者数、受験者数、合格者数、合格率です。

 

令和元年度土壌汚染調査技術管理者試験結果
受験申請者数 1,153名
受験者数 878名
合格者数 56名
合格率 6.4 %

 

合格率の6.4%は、やはり目立ちますね。さて、本題に入っていきます。

 

さて、平成22年から令和1年までの土壌汚染調査技術管理者試験の過去問で指定調査機関、指定支援法人及び技術管理者に関する問題は計38問です。

基本的に各年代の土壌汚染調査技術管理者試験問題の問題番号36から番号40を見ているので、それ以外の問題番号で指定調査機関、指定支援法人及び技術管理者に関する問題が存在すれば、この記事では見落としていることになります。

その点は事前にご了承願います。

これらの38問は、上述の法令等:13時30分~15時30分 問26~問45(問題区分別得点率:30%以上)に該当します。

私が確認した各年代の質問数の詳細は以下の通りです。

 

平成22年 問 36 37 38 39

平成23年 問 37 38 39 40

平成24年 問 37 38 39 40

平成25年 問 37 38 39 40

平成26年 問 38 39 40

平成27年 問 37 38 39 40

平成28年 問 37 38 39 40

平成29年 問 37 38 39 40

平成30年 問 37 38 39 40

令和1年   問 38 39 40

 

 

まず、計38問の問題を以下に関連するトピックで分類してみました。

 

🔷 指定調査機関が定める業務規程に関する問題

🔷 指定調査機関の指定等に関する問題

🔷 技術管理者証に関する問題

🔷 指定支援法人に関する問題

 

🔷 指定調査機関が定める業務規程に関する問題 → 計3問

🔷 指定調査機関の指定等に関する問題 → 計16問

🔷 技術管理者証に関する問題 → 計9問

🔷 指定支援法人に関する問題 → 計10問

 

今回の記事では、各年度の問題を1問、1問解かずに類似する問題をまとめて解くことを試みています。

 

私は、あくまでも M&A 環境デューデリジェンス(環境DD)や土壌汚染調査の基礎的な知識を習得するために勉強しています。

さらに問題に対して私の知識が足りていない場合は、知り合いの環境コンサルタントに少しヒントをもらって問題を解くようにしています。

この記事の中の問題に対する私の答えも他の方とアプローチが異なっている可能性があります。仮に私と読者の方の考え方が異なっていても、最終的には回答が正解であれば問題ないと思います。

あと、私の個人的な見解と知識で解いていきますので、答えや答えを導く過程が間違っていたらすいません。仮に間違っていたとしても、私は責任を取りませんのでご了承下さい。

 

ではでは、問題の回答を考える時間へ!

 

ちなみに、指定調査機関、指定支援法人及び技術管理者に関する法的解釈は、環境省から公表される土壌汚染対策法やガイドラインを参照としています。

これまでに何回かの改定がありましたが、今回の記事では過去の問題に関しても、以下の最新版のガイドラインを基に回答を検討しています。

 

🔷 土壌汚染対策法ガイドライン第1編:土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第3版)

 

🔷 指定調査機関に関するガイドライン(平成31年3月)

 

 

指定調査機関が定める業務規程に関する問題

 

私のリサーチの結果、【指定調査機関が定める業務規程に関する問題】は以下のとおりです。

■ 平成22年 問36

■ 平成27年 問37

■ 平成30年 問37

 

これらの問題は指定調査機関が定める業務規程に関する問題の記載に関して、正誤が求められています。

 

 

 

平成22年の問36と平成30年の問37の問題

 

平成22年の問題36と平成30年の問題37の問題の記載を整理すると以下の内容の正誤が問われています。

 

 

【問題内の記載】業務規程は、土壌汚染状況調査等の調査結果の保存に関する事項を定めることとされている。

【問題内の記載】業務規程には、土壌汚染状況調査等の結果の通知及び保存に関する事項を定めなければならない。

 

指定調査機関に関するガイドライン(平成31年3月)で以下の記載を確認しました。

法定調査の結果の通知に関する事項としては、調査発注者に調査結果を通知すべき旨及びその方法並びに通知する項目等を定めることとなる

具体的には、通知の方法としては、報告書の送付による方法や訪問して説明を行う方法等があり、いずれか、または両方の方法で行うこと等を定める。

通知する項目としては、土壌等の試料採取地点、測定結果等の調査結果の内容のほか、調査業務の一部を他社に委託した場合にあっては委託先名及び委託した業務の内容について法定調査発注者に通知すること等を定める。

 

法定調査の結果の保存に関する事項は、発注者に通知した報告書等一式を保存する旨や保存の方法、保存場所等を定める

指定調査機関は、法定調査の結果を都道府県知事等に報告した日から5年間の帳簿の保存が義務づけられており、法定調査の結果は帳簿の一部となるものであるため、業務規程に帳簿の保存に関する項目も定めることとする。

法定調査の結果を含む帳簿の保存方法については、平成 30 年4月から、紙媒体による保存の他に電磁的記録による保存の方法のいずれかを選択することが可能となったため、電磁的記録による保存の方法を選択する場合は、あらかじめ業務規程の変更の届出を行うこと。

保存場所については、原本を紙媒体で保存する場合は書類を保管する場所を、電磁的記録で保存する場合は電子ファイルを保存する場所及び形式等を定めることとする。

 

 

 

【問題内の記載】業務規程には土壌汚染状況調査等を行う事業所ごとの技術管理者の配置状況のみならず、土壌汚染状況調査等を行う事業所ごとの都道府県の区域に関する事項も定めなければならない。

 

指定調査機関に関するガイドライン(平成31年3月)で以下の記載を確認しました。

二以上の都道府県の区域で法定調査の業務を行うために環境大臣又は地方環境事務所長の指定を受けた指定調査機関にあっては、事業所ごとに法定調査の業務を行う都道府県名を記載する

一の都道府県の区域においてのみ法定調査の業務を行うために都道府 県知事の指定を受けた指定調査機関の場合は、記載する必要はない。

 

 

 

【問題内の記載】業務規程には、土壌汚染状況調査等の方法及び結果並びに監督をする技術管理者の氏名、交付番号及び当該監督の状況に関する事項を定めなければならない。

 

指定調査機関に関するガイドライン(平成31年3月)で以下の記載を確認しました。

指定調査機関が複数の事業所を設置して法定調査の業務を行う場合には、事業所ごとに配置する技術管理者数を記載する。

ここで記載する技術管理者の数は、指定省令第1条第2項第3号及び第 18 条第1項第2号により指定調査機関として届け出ている、常勤として雇用している技術管理者の数とする。

業務規程には事業所別に人数の範囲(最大5人程度の範囲)を記載すればよく、また、技術管理者の氏名まで記載する必要はない

記載例:

○○事業所 5人以上 10 人以内
○○事業所 1人以上3人以内

 

 

 

【問題内の記載】業務規程は、指定調査機関の指定を受けてから定めればよい。

 

指定調査機関に関するガイドライン(平成31年3月)で以下の記載を確認しました。

指定調査機関は、法第 37 条第1項の規定により、業務規程を定め、法定調査の業務の開始前にこれを指定調査機関の指定を受けた環境大臣若しくは地方環境事務所長又は都道府県知事に届け出なければならない

業務規程の届出がないまま業務を開始した場合、法第 42 条第2号の規定により、指定を取り消される場合がある。

具体的には、指定の通知を受けた後、速やかに業務規程届出書(様式8)とともに、業務規程1部を提出することとなるため、あらかじめ業務規程の案を作成し、提出先の内諾を得ておくことが望ましい。

 

 

 

【問題内の記載】業務規程を変更しようとするときは、環境大臣に届け出なければならない。

【問題内の記載】指定調査機関は、業務規程を変更した場合は、変更後の土壌汚染状況調査等の業務の開始後に遅滞なく、環境大臣等に届け出なければならない。

 

指定調査機関に関するガイドライン(平成31年3月)で以下の記載を確認しました。

業務規程は、実際の業務内容や調査過程で発生したミス・クレーム等を踏まえて、定期的及び必要に応じて見直しを行う必要がある。

特に「土壌汚染状況調査等の実施手順に関する事項」及び「技術管理者による土壌汚染状況調査等に従事する他の者の監督に関する事項」については、適正に法定調査が行われるように定期的に内容を見直す必要がある。

業務規程の内容を変更しようとするときは、法第 37 条に基づき、環境大臣若しくは地方環境事務所長又は都道府県知事に届出を行わなければならず、業務規程変更届出書(様式 10)に新旧の対照を明記した関連書類を添付し、変更する業務規程により業務を開始する前に、届け出なければならない

届出がないまま変更後の法定調査の業務を開始した場合、法第 42 条第2号の規定により、指定が取り消される場合があるため、十分に注意すること。

 

 

 

【問題内の記載】業務規程には、土壌汚染状況調査等の実施手順や土壌汚染状況調査等の品質の管理の方針及び体制を定めなければならない。

【問題内の記載】業務規程には、土壌汚染状況調査等の品質の管理の方針及び体制に関する事項を定めなければならない。

 

指定調査機関に関するガイドライン(平成31年3月)で以下の記載を確認しました。

指定調査機関として、組織的に法定調査の業務の品質の管理に取り組む際の基本方針(法令遵守や技術向上、発注者への対応など)やその管理体制(業務品質管理責任者等の内部チェックを行う責任者の設置等)を規定する

業務品質管理方針は、業務品質管理の取組において、最も重要な事項であり、指定調査機関が組織的な業務品質管理に取り組む際の基本方針を記載する。

法定調査に際して業務品質管理を担当する組織及び担当組織内での責任分担を記載する。

実施体制及び責任分担は、品質管理に取り組むための業務品質管理体制及び公正性管理体制を組み込んで記載する。

法定調査の依頼者などからの苦情等の受付窓口の設置や連絡体制などを規定する。

苦情等の発生が法定調査の発注者からだけであれば、顧客対応を主とした製品管理の ISO 規定でも十分に対応できると考えられるが、指定調査機関に寄せられる苦情等は、法定調査対象の土地の周辺住民や地元行政機関などからも寄せられることがあるため、この点も考慮した体制に関する規定を設ける必要がある。

 

 

 

【問題内の記載】業務規程には、土壌汚染状況調査等の実施手順に関する事項を定めなければならない。

指定調査機関に関するガイドライン(平成31年3月)で以下の記載を確認しました。

土壌汚染状況調査等の実施手順に関する事項

指定調査機関の法定調査の業務の依頼の受付から結果報告、記録の保存までを行う実施手順に関する内容を記載する

① 業務の実施手順
記載する内容は以下のようなものが考えられ、各指定調査機関において適宜記載する。

イ) 調査の依頼の受付(受付窓口、受付の手順)

ロ) 依頼内容の確認及び契約内容の確認(確認する者、方法)

ハ) 個別の現場(サイト)ごとの監督をする技術管理者の選任方法(技術管理者を指名する者、時期、調査従事者への周知方法)

ニ) 調査計画の作成・確認(確認者、確認時期、確認方法(チェックリストの利用、ダブルチェックの実施等))

ホ) 調査内容・結果の確認(確認する者、確認時期、確認方法(チェックリストの利用、ダブルチェックの実施等))

ヘ) 調査結果の報告(報告する者、報告方法)

ト) 調査結果の記録(帳簿の記録者、保管場所等)

チ) 日常的な取組の内容、その他(社内規程や ISO を活用している場合の運用等)

 

 

 

平成27年の問37の問題

 

この問題も基本的には業務規程に関する記載内容の正誤が問われています。

必ず定めなければならない事項はどれかという問題です。

 

【問題内の記載】 土壌汚染状況調査の実施手順に関する事項

【問題内の記載】 土壌汚染状況調査の普及啓発に関する事項

【問題内の記載】 土壌汚染状況調査に従事する者の教育に関する事項

【問題内の記載】 土壌汚染状況調査の研究開発に関する事項

 

指定調査機関に関するガイドライン(平成31年3月)で以下と同様の記載を確認しました。

業務規程に記載する各事項の内容は以下のとおりです。

(1)土壌汚染状況調査等を行う事業所の所在地

(2)土壌汚染状況調査等を行う事業所ごとの都道府県の区域に関する事項

(3)土壌汚染状況調査等の実施手順に関する事項

(4)土壌汚染状況調査等を行う事業所ごとの技術管理者の配置に関する事項

(5)技術管理者による土壌汚染状況調査等に従事する他の者の監督に関する事項

(6)土壌汚染状況調査等に従事する者の教育に関する事項

(7)土壌汚染状況調査等の結果の通知及び保存に関する事項

(8)土壌汚染状況調査等の品質の管理の方針及び体制に関する事項

(9)法第 31 条第2号及び第3号の基準に適合するために遵守すべき事項

法定調査を公正に実施するため、法人の構成員の構成による法定調査の支障、特定の者への不当な差別、法定調査の依頼者との取引関係その他の利害関係による悪影響等を排除できるような体制等が整備されていることを求めている(法第 31 条第2号及び第3号及び指定省令第2条第4項)。

そこで、公正な法定調査を実施するため遵守すべき事項として、対処方針、体制整備等について業務規程に設けることとしている。

(10)前各号に掲げるもののほか、土壌汚染状況調査等の業務に関し必要な事項

 

 

 

指定調査機関が定める業務規程に関する問題の整理

 

基本的に平成22年度からの出題数も少ない関連問題ですが、勉強すると知識になります。

個人的には、(5)技術管理者による土壌汚染状況調査等に従事する他の者の監督に関す
る事項が気になります。 また、改めて読み直そうと考えています。

 

(5)技術管理者による土壌汚染状況調査等に従事する他の者の監督に関す
る事項

各事業所に配置された技術管理者のうち選任された技術管理者が法定調査に従事する他の者の監督を適切に行うためには、以下の役割を果たす必要がある。

業務規程には技術管理者がこれらの役割を担い、適切に他の者を監督する旨を記載する。

イ) 法定調査全体の技術的な管理を行う。他の者が法定調査に係る作業を行う場合は、作業内容の確認や指導を行う。調査の一部を他社に委託する場合は、他社に委託する業務を含めた調査全体の監督を行う。

ロ) 特に地歴調査結果(試料採取等対象物質の選定、汚染のおそれの由来の区分)、試料採取等を行う位置等の選定及び調査結果の評価については、他の者が実際の作業を行う場合においても、技術管理者自身が内容を確認し、最終的な判断を行う

ハ) 原則として、技術管理者自身が調査計画の策定までに1回以上現地踏査を行い、現地の状況を把握する

ニ) 他の者が発注者に提出する調査報告書を作成する場合、報告書の内容を確認する。

ホ) 監督した法定調査に関し、発注者に対する説明の責任を負う。

また、技術管理者がより確実に監督を行うためには、上記の役割に加え以下の役割を担うことが望まれるため、これらの役割も適宜業務規程に定める。

ヘ) 法定調査に従事する者の技術的な指導を日常的に行う

ト) 原則として、試料採取等の現場に立ち会い、試料採取地点・方法の確認を行う。

チ) 調査の一部を他社に委託する場合、委託する他社の選定を行う。

リ) 監督した法定調査の結果を、発注者が都道府県等に報告する際の説明及び都道府県等からの疑義への対応を行う。

ヌ) 自身が監督した状況について、帳簿に記録を行う。

その他、技術管理者が監督する項目について適宜簡潔に記載する。

なお、実際に法定調査を行った際には、技術管理者の監督の状況について帳簿に記録・保存する必要があるため、ここで記載した役割に係る実施した監督の状況を帳簿に記録することとなる。

 

 

 

 

その他の指定調査機関の指定等に関する問題、技術管理者証に関する問題、指定支援法人に関する問題

 

以下の記事を参照下さい。

土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の解答に挑戦(指定調査機関、指定支援法人、技術管理者 編)
【最後の詰めです】土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の解答に挑戦(指定調査機関、指定支援法人、技術管理者 編)環境省 土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の解答に挑戦(指定調査機関、指定支援法人、技術管理者 編) この記事では、平...

環境省 土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の解答に挑戦(指定調査機関、指定支援法人、技術管理者 編)

 

 

 

土壌汚染調査技術管理者試験には、多くの参考書が販売されています。

もし、読者の方が購入されるなら自分に合った参考書をちゃんと選んでください。

私は、土壌汚染問題の基礎が分かる本を買いました。

 

 

 

あと、既に上述していますが、私の個人的な見解と知識で解いていきますので、答えや答えを導く過程が間違っていたらすいません。

仮に間違っていたとしても、私は責任を取りませんのでご了承下さい(笑)。

頑張ってひとつひとつ、ダブルチェック的な観点で調べてみてください。

 

最後まで一緒に問題の回答を考えて頂き有難う御座いました。

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