こんなことを書いてます
令和元年度 環境省 土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の解答に挑戦 (その2)
本記事では令和元年度 土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の問題6から問題10の解答に挑戦していきます。
前回の問題1~5に関しては、以下の記事を参照下さい。
土壌汚染調査技術管理者試験の勉強法は、過去問を攻略することが基本です。
可能な範囲で多くの問題を解いていこうと私は考えています。
ただし、この記事はあくまでもM&A環境デューデリジェンス(環境DD)や土壌汚染調査の基礎的な知識を習得するために書いています。
もちろん、読者の方(あなた)の土壌汚染調査技術管理者試験勉強にとって有益な情報になれば良いとも考えています。
私は土壌汚染調査技術管理者試験の専門家ではありません。したがって、解答に対するアプローチや考え方が、本来の正解と異なる可能性がございます。
その点を事前にご了承願います。
問題に対して私の知識が足りていない場合は、知り合いの環境コンサルタントに少しヒントをもらって問題を解くようにしています。
では、問題6からです。いざ、合格率 約6%への挑戦です。
過去問題 令和元年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 6
問題 6 法の土壌汚染のおそれの把握(地歴調査)による試料採取等対象物質の選定に関する次の記述のうち、もっとも適当なものはどれか。
(1) 過去に操業していた運送業の配送倉庫で、純度 99.9 % の鉛チップを密封容器で保管していた場合は、鉛及びその化合物を試料採取等対象物質としなければならない。
(2) 過去に操業していた工場で、コピー機の感光ドラムを製造していたことから、セレン及びその化合物を試料採取等対象物質とした。
(3) クロロホルムを使用している工場で、敷地内の井戸においてジクロロメタンの地下水汚染が確認されたときは、クロロホルムとジクロロメタンを試料採取等対象物質としなければならない。
(4) 平成 27 年に法の土壌汚染状況調査でシス‒1,2‒ジクロロエチレンの基準適合が確認された土地については、新たな契機による地歴調査において新たな汚染のおそれが生じていないことが確認された場合であっても、1,2‒ジクロロエチレンを試料採取等対象物質としなければならない。
(5) 土壌汚染状況調査の対象地において、平成 7 年から平成 19 年までガソリンスタンドとして利用されていたことから、ガソリンに含まれることを理由に鉛及びその化合物とベンゼンを試料採取等対象物質とした。
(1)に関しては、土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載を確認しました。
特定有害物質の保管倉庫等が存在し、又は存在した土地の区域が該当する。
なお、ここにいう「貯蔵」又は「保管」は、容器により密閉した状態のままでなされる貯蔵又は保管を含めず、その場で開封して、特定有害物質を含む内容物の出し入れを行うことが前提となる貯蔵又は保管が該当する。
また、特定有害物質又は特定有害物質を含む固体若しくは液体をタンク、ドラム缶その他の容器に入れて屋外にこれを置く方法により行われる貯蔵又は保管は、密閉した状態のままで行われるものであっても、ここにいう「貯蔵」、「保管」に該当するものと解することとする。
「密封容器で保管していた場合」が重要ですね。このケースはただの保管のみで取り扱いがなかったと推測できます。また、倉庫内という推測も重要な点です。
したがって、(1)は誤りです。
(2)に関しては、環境省が開示している資料で以下の記載を確認しました。
https://www.env.go.jp/chemi/report/h28-01/pdf/chpt1/1-2-2-09.pdf
セレンは銅精錬やコピー機感光ドラムのスクラップ精錬に伴って生産される。
したがって、(2)は正しいです。
(3)に関しては、土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載を確認しました。
クロロホルムは試料採取等の対象とする必要はないが、一方で、クロロホルムの使用履歴等の情報を把握した場合は、その分解生成物であるジクロロメタンによる汚染のおそれがあると思料されるため、ジクロロメタンを試料採取等の対象とすることは妨げない。
例えば、ジクロロメタンによる土壌汚染又は地下水汚染が把握されている土地で、四塩化炭素及びジクロロエチレン又はそれらを含む固体若しくは液体の埋設等、使用等及び貯蔵等の履歴が確認できない場合は、クロロホルム又はクロロホルムを含む固体若しくは液体の埋設等、使用等又は貯蔵等がジクロロメタンによる土壌汚染又は地下水汚染の原因である可能性も考えられる。
ジクロロメタンを試料採取等対象物質とすることは正しいですが、クロロホルムは特定有害物質ではないので、試料採取等対象物質の対象外です。
したがって、(3)は誤りです。
(4)に関しては、土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載を確認しました。
「土壌の汚染に係る環境基準の見直し及び土壌汚染対策法の特定有害物質の見直し等に伴う土壌汚染対策法の運用について」に記載のとおり、平成31年3月31日以前にシス体との使用等の履歴があったこと又はシス体の親物質が使用等されていたことにより土壌汚染状況調査を行った結果、シス体又は親物質で区域指定されなかった土地において、新たな土壌汚染状況調査の契機が発生した場合においては、1,2-ジクロロエチレンによる汚染のおそれはないこととしている。
したがって、(4)は誤りです。
(5)に関して、国内では自動車用レギュラーガソリンが1975年(昭和50年)に、自動車用ハイオクガソリンが1987年(昭和62年)に完全に無鉛化されています。
平成7年から平成19年に操業されていたガソリンスタンドにおいて、有鉛ガソリンを考慮した鉛及びその化合物を試料採取等対象物質に選定するのは違和感がありますね。
したがって、(5)は誤りです。
私の見解では、回答が「(2)」になります
過去問題 令和元年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 7
問題 7 法の土壌汚染のおそれの把握(地歴調査)における聴き取り調査及び現地調査に関する次のA~Dの記述のうち、不適当なものはいくつあるか。
A 操業期間が長い工場の場合、昔の状況を把握するため、退職者を紹介してもらうことなどにより、情報を得るよう努める必要がある。
B 聴き取り調査に当たっては、必要な情報の内容を一覧表にするなどして、聴き取りの相手方に説明し理解してもらう必要がある。
C 聴き取り調査において、工場敷地内で自然由来盛土等の再移動を行ったとの情報が得られたことから、現地調査において移動元と移動先の場所、範囲及び深さの確認を行った。
D 現地調査において、配管が埋設されている深さを確認するため、工場関係者にマンホールの蓋を開けてもらい、接続されている配管の深さを測定した。
(1) なし
(2) 1 つ
(3) 2 つ
(4) 3 つ
(5) 4 つ
土壌汚染対策法のガイドラインでは、調査実施者が地歴調査においてなすべき調査の項目及びその手順については、「土壌汚染状況調査における地歴調査について」(平成 24 年8月 17 日付け環水大土発第 120817003 号環境省水・大気環境局土壌環境課長通知)を参照することとなっています。
https://www.env.go.jp/hourei/add/f041.pdf
Aの記載に関して、土地の遍歴及び特定有害物質の使用履歴に関連する情報を入手する為に過去の従業員から情報を入手するように努めることは需要です。
したがって、Aの記載内容は適当です。
Bの記載に関して、聴き取り調査は効率よく効果的に相手方から情報を共有して貰えるかが重要です。事前に必要な情報の内容を一覧表にしておくなどの事前準備は大変効果的です。
したがって、Bの記載内容は適当です。
Cの記載に関して、知り得た情報の根拠や詳細な情報を把握することは非常に大切なことです。
したがって、Cの記載内容は適当です。
Dの記載に関して、埋設配管の深度等は汚染のおそれが生じた深度を把握するのに重要な確認事項の1つです。
したがって、Dの記載内容は適当です。
私の見解では、回答が「(1)」になります。
過去問題 令和元年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 8
問題 8 法の土壌汚染のおそれの把握(地歴調査)において、以下の情報を入手・把握し、これらの情報をもとに試料採取等対象物質を選定した。次の表の(1)~(5)のうち、試料採取等対象物質としなければならないものの組み合わせとしてもっとも適当なものはどれか。
〈入手・把握した情報の内容〉
・有害物質使用特定施設が設置され、トリクロロエチレン及び四塩化炭素が使用されていた。
・土壌汚染状況調査の対象地の一部において、過去に自主調査でシス‒1,2‒ジクロロエチレンの土壌溶出量の基準不適合が確認されている。
入手・把握した情報の内容を各々、土壌汚染対策法のガイドラインで確認してみました。
有害物質使用特定施設が設置され、トリクロロエチレン及び四塩化炭素が使用されていた。
この場合、特定有害物質の分解生成物を考慮しなければなりません。
トリクロロエチレンの分解生成物は以下のとおりです。
クロロエチレン
1,1-ジクロロエチレン
1,2-ジクロロエチレン
四塩化炭素の分解生成物は以下のとおりです。
ジクロロメタン
四塩化炭素の親物質は存在しません。
したがって、試料採取等対象物質はトリクロロエチレン、四塩化炭素、クロロエチレン、1,1-ジクロロエチレン、1,2-ジクロロエチレンです。
土壌汚染状況調査の対象地の一部において、過去に自主調査でシス‒1,2‒ジクロロエチレンの土壌溶出量の基準不適合が確認されている。
既に使用されていた特定有害物質がトリクロロエチレンと四塩化炭素と記載(シス‒1,2‒ジクロロエチレンが存在する根拠)があるので、テトラクロロエチレン及び1,1,2-トリクロロエタンの親物質は考慮しません。
さらに1,2‒ジクロロエチレンの分解生成物はクロロエチレンなので、上述の試料採取等対象物質と重複します
私の見解では、回答が「(3)」になります。
分解生成物に関しては以下の記事を参照下さい。
平成31年に環境省が改正する土壌汚染対策法の概要(特定有害物質)
過去問題 令和元年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 9
問題 9 法の土壌汚染のおそれの把握(地歴調査)により土壌汚染のおそれが把握された土地における試料採取等を行う区画の選定等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1) 公有水面埋立法による埋立てが行われた土地において、砒素を含む液体が地下に浸透したことが確認されたことから、砒素及びその化合物を対象とした水面埋立て土砂由来汚染調査を行った。
(2) 砒素及びその化合物が土壌溶出量に適合しないことが明らかであるが、その原因が不明であったことから、砒素及びその化合物を対象とした自然由来汚染調査を行った。
(3) 砒素について使用履歴と自然由来の土壌汚染のおそれの両方が確認されたので、砒素及びその化合物を対象とした人為等由来汚染調査のみを行った。
(4) 砒素について使用履歴が確認され、ふっ素及びその化合物について自然由来の土壌汚染のおそれが確認されたので、砒素及びその化合物とふっ素及びその化合物の両方を対象に人為等由来汚染調査と自然由来汚染調査を行う必要がある。
(5) 砒素及びその化合物について自然由来の土壌汚染のおそれが確認され、ふっ素及びその化合物について公有水面の埋立てに用いられた土砂による土壌汚染のおそれが確認されたので、砒素及びその化合物を対象とした自然由来汚染調査とふっ素及びその化合物を対象とした水面埋立て土砂由来汚染調査を行う必要がある。
(1)の記載内容に関して、土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載がありました。
公有水面埋立法による公有水面の埋立て又は干拓の事業により造成された土地であり、かつ、調査対象地に専ら当該造成時の水面埋立て土砂に汚染のおそれがあると認められるときは、規則第 10 条の3の調査方法(水面埋立て土砂由来汚染調査)によって調査を行わなければならない。
土壌汚染状況調査の対象地の汚染が自然又は水面埋立てに用いられた土砂以外(以下、「人為等」という。)に由来するおそれがあると認められる場合は、2.4~2.7 の方法(規則第3条第6項第3号、通知の記の第3の1(5)③ウ)。
土壌汚染対策法のガイドラインに記載されている2.4~2.7 の方法とは、以下のとおりです。
2.4 人為等に由来する汚染のおそれがある土地における土壌汚染のおそれの区分の分類
2.5 人為等由来汚染調査における試料採取等を行う区画の選定
2.6 人為等由来汚染調査における試料採取等の実施
2.7 人為等由来汚染調査の結果の評価
(1)の記載内容は人為的な汚染であると考えられます。
したがって、(1)は誤りです。
(2)の記載内容に関して、土壌汚染対策法のガイドラインで自然由来汚染調査に関して以下の記載がありました。
地歴調査の結果、土壌汚染状況調査の対象地の試料採取等対象物質に係る汚染のおそれが自然に由来すると認められる場合の調査の方法は、次のとおりとした。
これは、自然に由来する汚染が地質的に同質な状態で広がっているという特性を踏まえ、適切かつ効率的な調査の観点から、汚染のおそれが人為等に由来する土地の場合とは別の調査方法としたものである。
地歴調査の結果、土壌汚染状況調査の対象地の試料採取等対象物質に係る汚染のおそれが自然に由来すると認められる場合と記載されていることから、(2)の記載内容では自然由来汚染調査を実施する根拠がないことになる。
したがって、私の考え方では(2)は誤りです。
(3)と(4)の記載内容に関して、土壌汚染対策法のガイドラインで自然由来汚染調査に関して以下の記載がありました。
同一の特定有害物質の種類について人為等由来による土壌汚染のおそれがある土壌と自然由来の土壌汚染のおそれがある土壌が重なっているか又は連続していて区別ができない土地の部分については、人為等由来汚染調査及び自然由来汚染調査、両方の試料採取等を行うこととなる。
したがって、(3)は誤りです。
(4)の記載に関しては、各々の由来に関して、調査方法が異なるという理解になるので誤りになります。
(5)の記載内容に関しては、(3)と(4)の記載内容の復習という感じですね。
各々の特定有害物質の由来に対して、適正な調査方法が記載されています。
したがって、(5)は正しいです。
私の見解では、回答が「(5)」になります。
過去問題 令和元年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 10
問題 10 法の人為等由来汚染調査における、次の調査対象地A~Eの土壌汚染のおそれの区分の分類の組み合わせとして、もっとも適当なものはどれか。
A 2 階に特定有害物質の標準液を使用して分析を行う検査室と排水を流す流し台があり、その直下の1階部分が従業員の事務所で、2階の流し台からの排水管が事務所床下に敷設された土地
B 検査室で特定有害物質の標準液を使用して分析を行う従業員が、終業後にバレーボールをする体育館の土地
C 特定有害物質を施錠して保管している倉庫の土地
D 平成 20 年に設置された有害物質使用特定施設であり、水質汚濁防止法(昭和 45 年法律第138 号)に定める構造基準等に適合し、同法の規定による点検が適切に行われている当該施設の地下浸透防止措置が行われている範囲の土地
E 特定有害物質を含む標準液を納品する商社が搬入するための駐車場の土地
まずは、以下の記事よりおそれの区分を確認してください。
平成31年に環境省が改正する土壌汚染対策法の概要(地歴調査)
Aの記載内容に関しては、特定有害物質を含む廃液を排水する流し台からの配管がある土地であることから【比較的多い】という評価になります。
土壌汚染対策法のガイドラインの比較的多いと認められる土地の条件では以下の記載が該当します。
・特定有害物質又は特定有害物質を含む固体若しくは液体の使用等又は貯蔵等を行っていた施設の敷地
・上記の施設と繋がっている配管、当該施設と配管で繋がっている施設及びその建物、当該施設 及びその関連施設の排水管及び排水処理施設の敷地
Bの記載内容に関しては、終業後という点と体育館が特定有害物質又は特定有害物質を含む固体若しくは液体の埋設等を行っていた土地や、その使用等又は貯蔵等を行っていた施設の敷地からその用途が全く独立していると考えられるため【おそれがない】という評価になります。
Cの記載内容に関して、特定有害物質を施錠して保管している倉庫の土地ということですが、密閉してただ単に保管するということではなさそうなので、特定有害物質又は特定有害物質を含む固体若しくは液体の使用等又は貯蔵等を行っていた施設の敷地に該当しますね。施錠の有無は関係ありません。
つまり、【比較的多い】という評価になります。
Dの記載内容に関して、有害物質使用特定施設の構造基準等に関する文言が汚染のおそれの区分に関係するのは平成24年6月以降に設置された水質汚濁防止法 第12条の4に定められた地下浸透防止の為の構造等の基準に適合している施設です。
したがって、【比較的多い】という評価になります。
Eの記載内容に関して、特定有害物質を含む標準液を納品する商社が搬入するための駐車場は土壌汚染が存在するおそれが少ないと認められる土地の例に記載されている事業用の駐車場に該当します。したがって、【おそれが少ない】と評価できます。
私の見解では、回答が「(2)」になります。
なんとか、問題10まで回答することができました。
合格率6%の壁は厚いですね…。
環境デューデリジェンスの基礎知識の為に、今後も残りの問題を解いていこうと思います。
もし、あなたが土壌汚染調査技術管理者試験の対策の為にこの記事を読んでいるのであれば、焦らずに一問一問を読んで理解してみてください!
一方でこの土壌汚染調査技術管理者試験には、多くの参考書が販売されています。
もし、読者の方が購入されるなら自分に合った参考書をちゃんと選んでください。
私は、土壌汚染問題の基礎が分かる本を買いました。
あと、既に上述していますが、私の個人的な見解と知識で解いていきますので、答えや答えを導く過程が間違っていたらすいません。
仮に間違っていたとしても、私は責任を取りませんのでご了承下さい(笑)。
頑張ってひとつひとつ、ダブルチェック的な観点で調べてみてください。
さて、私は小説を寝る前に本としてゆっくり読みたいタイプの人間ですが、勉強で読む本や参考書はスマートフォンやタブレットで通勤中にAmazon Kindleで読み込むタイプです。
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最後まで一緒に問題の回答を考えて頂き有難う御座いました。