こんなことを書いてます
平成30年度 環境省 土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の解答に挑戦 (その3)
さて、この記事では問題11~15を解いていきます。
前回の記事でも書いていますが、色々な問題に関して、解き方や問題に対するアプローチの方法は人それぞれです。
□+□=7の答えに3+4=7があり、2+5=7があるのと同じです。
つまり、私は答えを導き出す過程は多種多様で良いと考えています。
この記事の中の問題に対する私の答えも他の方とアプローチが異なっている可能性があります。仮に私と読者の方の考え方が異なっていても、最終的には回答が正解であれば問題ないと思います。
あと、私の個人的な見解と知識で解いていきますので、答えや答えを導く過程が間違っていたらすいません。仮に間違っていたとしても、私は責任を取りませんのでご了承下さい。
この記事は、あくまでも M&A 環境デューデリジェンス(環境DD)や土壌汚染調査の基礎的な知識を習得するための勉強です。
さらに問題に対して私の知識が足りていない場合は、知り合いの環境コンサルタントに少しヒントをもらって問題を解くようにしています。
では、問題11からです。いざ、合格率 約10%の狭き門への挑戦です。
試験について詳細を知りたい読者の方は、以下を環境省のウェブサイトを参照してください。
過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 11
問題 11 下の図は、法第 3 条調査の対象となったX工場の敷地について、過去にY工場が操業していたときと現在のX工場のそれぞれにおけるふっ素及びその化合物の有害物質使用特定施設及び配管の配置を示している。地表に対して一部対象区画に分類される単位区画として図中に掲げるA~Dのうち、適当なものの組み合わせはどれか。
なお、Y工場の操業開始以来、敷地内で地表面の高さが変更された履歴はない。
⑴ A、B、C
⑵ A、B、D
⑶ B
⑷ B、D
⑸ D
地表に対して一部対象区画に分類される単位区画がどこになるのかということですね。
私なりに地表に対する単位区画を整理してみました。
地下配管(深さ1m)が通るDとDの左側の単位区画は、地表面からの深度が異なるということです。
もちろん、DとDの左側の単位区画でも土壌採取は必要です。
この問題では、「地表に対して」という言葉がキーワードですね。
私の見解では、回答は「(4)」となります。
過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 12
問題 12 法の土壌汚染のおそれの把握(地歴調査)において、特定有害物質の使用状況等の情報を入手・把握した。入手・把握した情報に基づく当該特定有害物質に係る土壌汚染のおそれの区分の分類として、もっとも適当なものの組み合わせはどれか。
A 建物 1 階の棚で 500 mL 容器に入ったトリクロロエチレン試薬 1 本を購入時の状態のまま開封せずに保管していた実験室のある土地
B 鉛含有合金を固体の状態のままトレイの上に保管していた倉庫がある土地
C 砒ひ素を材料として使用していた 2 つの建物の間をつなぐ従業員用通路がある土地
D 敷地内で使用した後のトリクロロエチレン廃液入りドラム缶を密閉状態で持ち込み、そのまま一時的に保管していた倉庫のある土地
E 六価クロムを使用していた事業場にある従業員の通勤用駐車場
この問題も直感的な解き方になりますが、Aは土壌汚染が存在するおそれがないと認められる土地となると考えられるので土壌汚染が存在するおそれがないと認められる土地です。
トリクロロエチレンが存在しますが、保管状況という点で少し考えることが必要ということですね。
土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインには以下のように記載されていました。
「貯蔵」又は「保管」は、容器により密閉した状態のままでなされる貯蔵又は保管を含めず、その場で開封して、特定有害物質を含む内容物の出し入れを行うことが前提となる貯蔵又は保管が該当する。
また、特定有害物質又は特定有害物質を含む固体若しくは液体をタンク、ドラム缶その他の容器に入れて屋外にこれを置く方法により行われる貯蔵又は保管は、密閉した状態のままで行われるものであっても、ここにいう「貯蔵」、「保管」に該当するものと解することとする。
室内であり、未開封な状況を私は考慮しました。
私の見解は、土壌汚染が存在するおそれがないと認められる土地です。
Bの保管状況を考慮すると、アウトですね。つまり、土壌汚染が存在するおそれが比較的多いと認められる土地であると判断しました。
Cの砒素を使用していた2つの建物の間をつなぐ従業員用通路に関してですが、土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインによると、従業員用・作業車用通路は土壌汚染が存在するおそれが少ないと認められる土地に該当します。
根拠としては、直接に特定有害物質又は特定有害物質を含む固体若しくは液体の使用等又は貯蔵等を行っていた施設の敷地ではないが、当該敷地から、その用途が全く独立しているとはいえない土地だからだと考えられます。
土壌汚染対策法の汚染のおそれの区分の定義は厳しいですよね。私の想像の右斜め上をいっています。
Dの判断は難しかったです。
土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインでは、倉庫が土壌汚染が存在するおそれが少ないと認められる土地に該当していますが、「ドラム缶を密閉状態で持ち込み」と記載があります。
このDのキーポイントは「敷地内で使用した後」という記載でしょうか。
つまり、敷地内にはこのトリクロロエチレンに関する土壌汚染が存在するおそれが比較的多いと認められる土地が存在するということになります。
そして、その場所から全く独立しているとはいえないということだと考えられます。
したがって、土壌汚染が存在するおそれが少ないと認められる土地というのが私の見解です。
Eに関して、土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインでは、従業員用の居住施設や駐車場は、土壌汚染が存在するおそれがないと認められる土地になります。
事業用の駐車場ではないので、土壌汚染が存在するおそれが少ないと認められる土地には該当しないということになります。
AからEを整理すると、私の回答は「(2)」です。
過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 13
問題 13 公有水面埋立法による公有水面の埋立て又は干拓の事業により造成された土地(以下「公有水面埋立地」という。)において法第 3 条調査を行う場合の土壌汚染のおそれの区分の考え方に関する次の記述のうち、もっとも適当なものはどれか。
なお、水面埋立て用材料の下端は深度 7 m にある。
⑴ 汚染が自然に由来する水底土砂をしゅんせつし、水面埋立て用材料として用いた土地は、専ら自然由来の土壌汚染のおそれがある土地に分類され、自然由来特例の調査を行うことになる。
⑵ 人為的原因により汚染された建設残土を搬入し、水面埋立て用材料として用いた土地は、人為的原因による土壌汚染のおそれがある土地に分類され、基本となる調査を行うことになる。
⑶ 公有水面埋立て完了後に汚染が自然に由来するおそれのある土壌で盛土された土地は、自然由来汚染盛土のおそれのある土地として自然由来特例の調査を行うことになる。
⑷ 汚染が自然に由来するおそれのある自然地層の上に水面埋立て用材料が存在している土地は、水面埋立て用材料由来の土壌汚染のおそれの有無に関係なく、水面埋立地特例の調査を行うことになる。
⑸ 公有水面埋立て完了後に、他の公有水面埋立地で掘削された水面埋立て用材料を搬入し、盛土材として用いた土地で、当該盛土材由来の土壌汚染のおそれがある場合は、人為的原因による土壌汚染のおそれがある土地として、基本となる調査を行うことになる。
土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインに以下の記載がありました。
人為的原因による土壌汚染のおそれがある土地の部分においては「基本となる調査」を行い、専ら自然由来の土壌汚染のおそれがある土地の部分においては「自然由来特例の調査」を、専ら水面埋立て用材料由来の土壌汚染のおそれのある土地の部分においては「水面埋立地特例の調査」を行う。
つまり、こういうことです。
人為的原因による土壌汚染のおそれがある土地の部分 → 基本となる調査
専ら自然由来の土壌汚染のおそれがある土地の部分 → 自然由来特例の調査
専ら水面埋立て用材料由来の土壌汚染のおそれのある土地の部分 → 水面埋立地特例の調査
この問題では、公有水面埋立地おける法第 3 条調査と記載されているので、(1)と(2)は間違っていることになります。
土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインによると公有水面埋立法による公有水面の埋立て又は干拓の事業により造成された土地の場所において、自然由来汚染盛土と判断されることはない(人為的原因による汚染土壌とみなされる)ことから(3)も間違っていることになります。
(4)は”汚染が自然に由来するおそれのある自然地層の上に”と記載されているので、水面埋立地特例の調査ではありません。
(5)は(3)の応用になりますが、正しいことが書いてあります。
したがって、私の回答は「(5)」です。
過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 14
問題 14 公道により隔てられた両側に工場の敷地(X地区、Y地区)があり、X地区に六価クロム化合物の有害物質使用特定施設が設置されている。当該工場において法第 3 条調査を行うときの単位区画の区分の方法に関する次のA~Eの記述のうち、正誤の組み合わせとして正しいものはどれか。
なお、X地区及びY地区の間は架空配管により接続されており、一体の生産プロセスとなっている。
A X地区とY地区をそれぞれ調査対象地として、起点を 1 箇所ずつ設定した。
B 工場の敷地全体を 1 つの調査対象地として、起点を 1 箇所設定した。
C 調査対象地に最北端の地点が 2 箇所あったため、単位区画の数を少なくできる方を起点として定めた。
D 格子の線が敷地境界線や建物の外壁の方向に沿うように起点を支点として右回りに格子の線を回転させて、単位区画を設定した。
E 以前、法第 4 条調査を実施したときの単位区画と合うように、起点を移動し、格子を回転させた。
A B C D E
⑴ 誤 正 誤 誤 誤
⑵ 正 誤 正 誤 正
⑶ 正 正 誤 正 誤
⑷ 誤 正 正 誤 正
⑸ 正 誤 正 正 正
Aでは、起点を1箇所ずつ設定しているが、法第 3 条調査なので起点は1箇所と理解しています。つまり、Bは正しいというのが私の見解です。
Cは調査対象地に最北端の地点が 2 箇所ある場合は、そのうち最も東にある地点となります。土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインに記載されていました。
Dに関して、起点を支点として回転させる場合は、土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインでは以下のように記載されていました。回転させる目的が重要ですね。
単位区画の数が、起点を支点として回転することにより減少するときは、調査実施者は、単位区画の数が最も少なく、かつ、起点を支点として右に回転させた角度が最も小さくなるように、調査対象地を区画することができる。
Eに関しては、4条調査の場合は、調査対象地のみで起点を設けて、単位区画を設けることができるため、直感的に違うなと考えました。
したがって、私の回答は「(1)」です。
過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 15
問題 15 法の地歴調査の結果、調査対象地内の範囲Aと範囲Bの土地使用履歴は①~③のようにまとめられる。範囲A及び範囲Bにおいて土壌汚染のおそれが生じた場所の位置として次に掲げるもののうち、正しいものはどれか。なお、範囲Aと範囲Bは同じ単位区画ではない。
①1977 年までの地表面は、現在の地表から深さ 2 m の位置にあり、トリクロロエチレンが使用されていたが、土壌汚染が存在するおそれが少ないと認められる土地に分類される。
②1978 年に範囲Aにおいて 1 m、範囲Bにおいて 3 m の盛土が行われ、その後、1983 年まで調査対象地全体でトリクロロエチレンが使用されており、土壌汚染が存在するおそれが比較的多いと認められる土地に分類される。
③1983 年に範囲Bの土地を深さ 1 m まで掘削し、その掘削土を用いて範囲Aに盛土して現在の地表面となった。なお、現在の地表面では特定有害物質を取り扱った履歴はない。
図で整理したほうが理解しやすかったので、以下のように整理してみました。
範囲Bの現在の地表面に関しては、土壌汚染が存在するおそれが比較的多いと認められる土地が上に存在したという点で土壌汚染のおそれが生じた場所の位置と判断しました。
図を確認しながら判断すると私の回答は「(1)」です。
やはり5問解くだけでも、時間がかかりますね。
ただ、正解の記載を確認していくだけなら、もっと短い時間でできそうですが、間違っている記載がなぜ、間違っているのかも知らないと自分の知識にはならないような気がしています。
私の経験上、自分の知識にならないと、応用力つきません。
応用力がつかないと、効率の良い環境デューデリジェンスができないような気が……。
一方でこの土壌汚染調査技術管理者試験には、多くの参考書が販売されています。
もし、読者の方が購入されるなら自分に合った参考書をちゃんと選んでください。
私は、土壌汚染問題の基礎が分かる本を買いました。
参考書では、問題の答えだけが説明されているものもあります。しかし、それでは応用力がつきません。他の選択肢に関しても、なぜ正解なのかを知っておくべきです。
あと、既に上述していますが、私の個人的な見解と知識で解いていきますので、答えや答えを導く過程が間違っていたらすいません。
仮に間違っていたとしても、私は責任を取りませんのでご了承下さい(笑)。
頑張ってひとつひとつ、ダブルチェック的な観点で調べてみてください。
最後まで一緒に問題の回答を考えて頂き有難う御座いました。