環境DDの計画

環境DDの提案書(プロポーザル)に関する共通理解の重要性

環境デューデリジェンスの提案書(プロポーザル)に関する共通理解の重要性

 

環境コンサルタント会社は、M&A取引の条件に基づいて作成した環境DDの提案書の内容を企業の環境DDの担当者に説明する必要があります。

そして、環境DDの担当者は環境コンサルタント会社の提案書の内容や業務仕様を理解する必要があります。

 

可能な限り、時間を設けて業務仕様などの両者の理解の共有を行うことを推奨します。

 

なぜなら、環境DDのポロポーザル作成時の確認事項の記事でも記載していますが、「言ったけど…」、「聞いていないけど…」問題を発生させないようにです。

 

茶ポール
茶ポール
言った、言っていないは勘弁やで。
のみエコ
のみエコ
茶ポールさん、そのとおりです。そのための共通理解です。
茶ポール
茶ポール
なるほど。大事なところやから、イメージの共有というわけにはいかへんってことやな。
のみエコ
のみエコ
そのとおりです!ここで雰囲気はダメです。

 

把握しておくべき環境DDの業務仕様やトピックの技術的な内容

 

 

当たり前ですが、環境コンサルタント会社は以下のタスクやトピックの技術的な内容を把握しておかなければなりません。

 

そして、環境コンサルタント会社のみならず、企業の環境DDの担当者も以下のタスクやトピックの技術的な内容を把握することが今後の環境DD業界での課題であり、業界全体の底上げの重要なポイントだと考えられます。

 

◆フェーズ1&2環境サイトアセスメント調査に関する規格やガイドラインに規定されている業務範囲

 

◆フェーズ1&2環境サイトアセスメント調査に関する規格やガイドラインに規定されている業務仕様

 

◆環境・労働安全衛生法令順法監査又は評価の業務範囲

 

◆対応できる「Environmental Liability」の評価のレベル

 

◆現地法令の概要 など

 

環境デューデリジェンス専門サイトでは、「Environmental Liability」を土壌汚染・地下水汚染などの度合いを数値化(価格化)したものと定義します。

但し、「Environmental Liability」の価格化は、M&A取引に関する財務評価目的で数値化しているものではありません。

 

この記事の冒頭で環境コンサルタント会社は、企業の環境DDの担当者に業務仕様等を説明する必要があり、時間を設けて両者の理解の共有を行うことが大切だと書きましたが、企業の環境DDの担当者の環境DDに関する知識量や経験に基づいて、環境コンサルタント会社は説明をすることが重要です。

 

例えば、企業の環境DDの担当者が環境DDの豊富な経験を有している場合は、専門用語や専門知識を用いて一緒に業務仕様を作り上げていくことができます。

一方で、企業の環境DDの担当者の環境DDの経験が乏しい場合、理解しやすい言葉を用いて環境コンサルタント会社が企業の環境DDの担当者をリードしながら業務仕様を組み立てる必要があります。

その際は、環境DDの業務仕様のパッケージを複数用意し、各パッケージのメリットやデメリットを説明後、企業の環境DDの担当者に業務仕様を選択してもらう方法などがあります。

 

海外環境DDチーム又は環境DD専門の協力会社との共有理解

 

ここまでは、環境コンサルタント会社と企業の環境DDの担当者の共通理解の重要性に関して書きましたが、同じ共通理解という点で環境コンサルタント会社は、M&A案件が海外工場を対象としていた場合、現地調査等を実施する海外の環境DDチーム又は環境DD専門の協力会社とも共通の業務仕様などを理解し合う必要があります。

 

海外の環境DD案件では、事前質問事項の作成や現地調査、報告書作成を海外DDチーム又は環境DD専門の協力会社に依頼することになります。

 

例えば、同じグローバル企業の日本拠点とマレーシア拠点だったとしても、現地習慣やビジネス文化は異なります。

また、日本国内では、収集できる調査資料がマレーシアでは収集できないケースもあります。

一方で日本より環境DD産業が進んでいる欧米諸国では、日本では収集できない調査資料を取得できるケースもあります。

 

私が経験した具体的な例をあげると、米国のフェーズ 2 調査の報告書 (レター式)には国内の土壌汚染調査報告書に添付されているような地点毎の現場記録写真はありません。

日本国内では重要視される添付資料になりますが、私が経験した米国のフェーズ 2 調査報告書の現場記録写真は数枚程度でした。

 

もちろん、フェーズ1やフェーズ2の調査方法やリスクの評価方法も各々の国で異なる可能性があります。

現地習慣の違いや報告書などの成果品の違いを、正確に把握せずに環境DDのプロジェクトを進めると、後々になって環境DDのゴールが見えなくなってしまうことがあります。

環境DDのゴールが見えなくなってしまった経験者が私なのですが…(笑)。

 

つまり、同じ企業、同じ環境DDの業務と言っても、国が異なれば環境DDの進め方や考え方が異なるということです。

したがって、環境コンサルタント会社は海外の環境DDチーム又は環境DD専門の協力会社とも業務仕様の調整を行う必要があります。

 

もちろん、企業の環境DDの担当者は環境コンサルタント会社に海外の環境DDチーム又は環境DD専門の協力会社との業務調整の進捗状況を確認することも重要です。

 

海外環境DDチーム又は環境DD専門の協力会社との共有理解の着目点

 

環境コンサルタント会社の日本拠点が、海外の環境DDチーム又は環境DD専門の協力会社との業務仕様の調整をする際に注意すべき主な事項は以下のとおりです。

 

◆環境コンサルタント会社の日本拠点から海外拠点へ業務仕様を説明する時に、各々の業務仕様のタスクに漏れがないかの確認。

 

◆日本のビジネス文化に合った報告書を含む成果品の確認。 (例えば、報告書本文中の図解や現場記録写真や図面の添付など)

 

◆現地の土壌汚染関連法に基づいて環境DDを実施する場合は、現地法令の調査方法や評価方法の確認と理解。

 

◆プロジェクトの契約方法がTime & Material方式なのかLump sum方式なのかの確認 など。

 

知り合いの環境コンサルタント会社が言うには、海外の環境DDチーム又は環境DD専門の協力会社が経験豊富で数多くの実績があったとしても、日本の企業の環境DDの担当者のニーズを日本拠点が海外の環境DDチーム又は環境DD専門の協力会社に細部まで内容を説明/協議することで、環境DDの効率性が向上し、企業の環境DDの担当者への対応も自信を持って行うことができるようになるとのことです。

つまり、環境コンサルタント会社の日本拠点は、海外の環境DDチーム又は環境DD専門の協力会社と蜜に情報を共有し、1つの環境DDのプロジェクトにおいて良いチームになることが重要ということですね。

 

 

最後まで読んで頂き有難う御座いました。