こんなことを書いてます
平成30年度 環境省 土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の解答に挑戦 (その4)
さて、この記事では問題16~20を解いていきます。
前回の記事でも書いていますが、色々な問題に関して、解き方や問題に対するアプローチの方法は人それぞれです。
□+□=8の答えに4+4=8があり、1+7=8があるのと同じです。
つまり、私は答えを導き出す過程は多種多様で良いと考えています。
この記事の中の問題に対する私の答えも他の方とアプローチが異なっている可能性があります。仮に私と読者の方の考え方が異なっていても、最終的には回答が正解であれば問題ないと思います。
あと、私の個人的な見解と知識で解いていきますので、答えや答えを導く過程が間違っていたらすいません。仮に間違っていたとしても、私は責任を取りませんのでご了承下さい。
この記事は、あくまでも M&A 環境デューデリジェンス(環境DD)や土壌汚染調査の基礎的な知識を習得するための勉強です。
さらに問題に対して私の知識が足りていない場合は、知り合いの環境コンサルタントに少しヒントをもらって問題を解くようにしています。
では、問題16からです。いざ、合格率 約10%の壁への挑戦です。
もしかしたら、合格率が10%の壁なんて壊して突破できないと考えている方がいるかもしれません。
私も問題を解きながら、調べることが多々あるので本当に難しい試験だと実感しています。
ただ、次の1回のチャレンジでその大きな壁が共鳴するように崩れる可能性があるかもしれません。
試験について詳細を知りたい読者の方は、以下を環境省のウェブサイトを参照してください。
過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 16
問題16 法の土壌汚染状況調査における単位区画の統合に関する次のA~Eの記述のうち、適当なものはいくつあるか。
A 単位区画①と⑧を統合する。
B 単位区画②と⑦を統合する。
C 単位区画③と④を統合する。
D 単位区画②と③と④を統合する。
E 区画の数をもっとも少なくなるように区画の統合を行った場合、その区画数は 12 区画である。
⑴ 1 つ
⑵ 2 つ
⑶ 3 つ
⑷ 4 つ
⑸ 5 つ
土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインでの記載内容を調べてみると、単位区画の統合にはいくつかのルールがあることがわかりました。
調査実施者は、一の単位区画と隣接する単位区画とを合わせて 130 ㎡を超えない範囲内であれば、一つの単位区画に統合することができる。
ただし、たとえ面積の合計が 130 ㎡以下であっても、統合した単位区画の長軸(区画の辺と平行な軸の最大値。)が 20 mを超えるように統合することはできない。
調査対象地の形状によっては、三つ以上の単位区画を統合した場合についても、単位区画の合計面積及び長軸の長さに関する条件を満足することがあるが、区画の中心点が土壌汚染の有無を示す代表点といいにくいため、区画の統合は二つの単位区画までとすることが望ましい。
そして、AとBとCの条件を図にしてみました。
Aの面積は100 + 18 = 118㎡です。統合可能です。
Bの面積は100 + 40 = 140㎡です。130 ㎡を超えているので統合できません。
Cの面積は25 + 3 = 28㎡です。統合可能です。
Dの条件も図にしてみました。
Dの面積は130 ㎡以下になりますが、統合した単位区画の長軸が 20 mを超えてしまうので統合できません。
Eの条件も図にしてみると11区画になりました。
つまり、私の見解ですとAとCが正しいので回答「(2)」です。
過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 17
問題17 法の土壌溶出量に係る測定方法(平成 15 年環境省告示第 18 号)及び土壌含有量に係る測定方法(平成 15 年環境省告示第 19 号)に関して検液作成方法が同一操作であるものはどれか。
⑴ シアン化合物の土壌溶出量とセレン及びその化合物の土壌溶出量
⑵ カドミウム及びその化合物の土壌溶出量とトリクロロエチレンの土壌溶出量
⑶ 水銀及びその化合物の土壌溶出量と 1,3‒ジクロロプロペンの土壌溶出量
⑷ シアン化合物の土壌含有量とセレン及びその化合物の土壌含有量
⑸ 六価クロム化合物の土壌含有量と鉛及びその化合物の土壌含有量
この問題は調べるしか選択肢がありませんでした。なので、調べてみました。
土壌含有量に係る測定方法では、カドミウム及びその化合物、水銀及びその化合物、セレン及びその化合物、鉛及びその化合物、砒〈ひ〉素及びその化合物、ふっ素及びその化合物及びほう素及びその化合物は検液作成方法が同じということでした。
六価クロム化合物は他と異なります。シアン化合物も他と異なります。
つまり、(4)と(5)は正しくありません。
土壌溶出量基準に係る検液作成方法を調べるのは一苦労で、なかなか知りたい情報まで辿り着くことができませんでした。
したがって、まず測定方法を調べてみました。
シアン化合物の土壌溶出量:日本工業規格K0102の38に定める方法
セレン及びその化合物の土壌溶出量:日本工業規格K0102の67.2、67.3又は67.4に定める方法
カドミウム及びその化合物の土壌溶出量:日本工業規格K0102の55に定める方法
トリクロロエチレンの土壌溶出量:日本工業規格K0125の5.1、5.2、5.3.1、5.4.1又は5.5に定める方法
水銀及びその化合物の土壌溶出量:水質環境基準告示付表1に掲げる方法
1,3‒ジクロロプロペンの土壌溶出量:規格K0125の5.1、5.2又は5.3.1に定める方法
うーん。これではまだチンプンカンプンです。
困り果てた私は、土壌環境基準の付表を調べてみました。
この付表によると、検液の作成に物質の区分があるようです。
カドミウム、全シアン、鉛、六価クロム、砒(ひ)素、総水銀、アルキル水銀、PCB及びセレンは同じ作成方法でした。
ジクロロメタン、四塩化炭素、クロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,3−ジクロロプロペン、ベンゼン及び1,4−ジオキサンは同じ作成方法でした。
有機燐(りん)、チウラム、シマジン及びチオベンカルブは同じ作成方法でした。
つまり、シアンとセレンが同じ検液作成方法となります。
カドミウムとトリクロロエチレンは検液作成方法が異なります。
また、水銀及びその化合物と1,3‒ジクロロプロペンも検液作成方法が異なります。
したがって、私の見解では回答は「(1)」になります。
過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 18
問題18 法の土壌ガス調査において、以下のA及びBの手順によってシス‒1,2‒ジクロロエチレンの土壌ガス濃度を測定した。土壌ガス濃度の報告値として次に掲げるもののうち、正しいものはどれか。
A:検量線の作成
シス‒1,2‒ジクロロエチレンの標準物質の濃度を 0.050、0.25、1.0(volppm)の 3 水準とし、それらを分析装置に各 1.0 mL 導入して、下の表のとおりピーク面積を求め、下の図のとおり検量線を一次回帰式により作成した。
B:土壌ガスの測定
直接捕集法により土壌ガス試料を採取し、そのうちの 0.50 mL を分取して分析装置に導入した結果、シス‒1,2‒ジクロロエチレンのピーク面積は 340 であった。
⑴ 0.68 volppm
⑵ 0.7 volppm
⑶ 1.3 volppm
⑷ 1.36 volppm
⑸ 1.4 volppm
340の面積と分析装置に導入した0.5mLを基に検量線から回答を導いてみました。
0.6:300=X:340
X=0.68
0.68 x 2 = 1.36 volppm
土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインで土壌ガスの有効数字を確認すると以下のような記載がありました。
土壌ガス中の試料採取等対象物質の濃度は、次式を用いて体積濃度で算出し、有効数字を2桁として、3桁目移行を切り捨てて表示する。
つまり、1.3 volppmということになり、私の見解では回答が「(3)」になります。
過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 19
問題19 工場の敷地について、法第 3 条調査を実施することとなった。当該敷地においては、以前は特定有害物質Aを使用・保管する施設が設置されていたが、その後建物解体後に 3 m 盛土され、特定有害物質Bを使用・保管する施設が設置された。法第 3 条調査は、特定有害物質Bを使用・保管する施設の使用の廃止に当たり実施するものである。
以前及び現在の施設平面図は図に示すとおりである。
試料採取を省略しない場合に最低限必要となる試料採取数として次に掲げるもののうち、もっとも適当なものはどれか。
なお、試料採取等対象物質は第二種特定有害物質であり、地表から 0 ~ 5 cm と 5 ~ 50 cmの試料を合わせて 1 試料とする。
⑴ 4
⑵ 5
⑶ 8
⑷ 9
⑸ 10
文章を読んでもややこしいので、図にしてみることにしました。
図のとおり、私の見解では回答は8試料の「(3)」です。
過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 20
問題20 法の自然由来特例の調査における試料採取地点を示した次の図のうち、もっとも適当なものはどれか。
土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインによると、自然由来特例の調査に関して以下の記載がありました。
専ら自然由来の土壌汚染地については、調査対象地の最も離れた二つの 30m格子内の各1地点の合計2地点で試料採取等を行うこととする。
ただし、調査対象地が道路であって延長が 900mを超える場合等、当該2地点が 900m格子内に含まれないときは、当該 900m格子ごとに2地点で試料採取等を行うこととする。
なお、法第4条第2項の命令に基づき土壌汚染状況調査を行う場合において、土質が同じである層が連続してつながっていると推定し得る複数の調査対象地があるときは、当該複数の調査対象地を全体として一つの調査対象地とみなして、2地点の試料採取等を行うこととされたい。
さらにインターネットで自然由来特例の調査に関して検索すると以下の記載を確認しました。
自然由来の汚染に係る汚染の調査を行う場合、対象地内の最も離れた二つの単位区画を含む30m格子の中心を含む単位区画が、試料採取の対象となります。
「最も離れた二つの単位区画」とは、単位区画の中心と中心を結ぶ直線の長さが最も大きい二つの単位区画のことを言います。
30m格子の中心が対象地内に無い場合は、30m格子内の任意の単位区画を選定します。
図で整理すると青い単位区画が最も離れた二つの単位区画となります。
試料採取の対象は最も離れた二つの単位区画を含む30m格子の中心となるので、私の見解では回答は「(4)」になりました。
やはり5問解くだけでも、時間がかかりますね。
本番の試験の際は、頭をフルに活用する必要がありますね。
一方でこの土壌汚染調査技術管理者試験には、多くの参考書が販売されています。
もし、読者の方が購入されるなら自分に合った参考書をちゃんと選んでください。
私は、土壌汚染問題の基礎が分かる本を買いました。
参考書では、問題の答えだけが説明されているものもあります。しかし、それでは応用力がつきません。他の選択肢に関しても、なぜ正解なのかを知っておくべきです。
あと、既に上述していますが、私の個人的な見解と知識で解いていきますので、答えや答えを導く過程が間違っていたらすいません。
仮に間違っていたとしても、私は責任を取りませんのでご了承下さい(笑)。
頑張ってひとつひとつ、ダブルチェック的な観点で調べてみてください。
最後まで一緒に問題の回答を考えて頂き有難う御座いました。