こんなことを書いてます
平成29年度 環境省 土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の解答に挑戦 (その2)
まずは、平成30年度の土壌汚染調査技術管理者試験の午後の部 (対策及び運搬・処理) の過去問題に挑戦の有料記事を購入してくださっている読者の方、本当に有難うございます。
他の年度の過去問題を解くモチベーションになります。
では、本記事のメインである平成29年度 土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の問題6から問題10の解答に挑戦していきます。
前回の問題1~5に関しては、以下の記事を参照下さい。
土壌汚染調査技術管理者試験の勉強法は、過去問を攻略することが基本です。
可能な範囲で多くの問題を解いていこうと私は考えています。
ただし、この記事はあくまでもM&A環境デューデリジェンス(環境DD)や土壌汚染調査の基礎的な知識を習得するために書いています。
もちろん、読者の方(あなた)の土壌汚染調査技術管理者試験勉強にとって有益な情報になれば良いとも考えています。
私は土壌汚染調査技術管理者試験の専門家ではありません。したがって、解答に対するアプローチや考え方が、本来の正解と異なる可能性がございます。
その点を事前にご了承願います。
問題に対して私の知識が足りていない場合は、知り合いの環境コンサルタントに少しヒントをもらって問題を解くようにしています。
では、問題6からです。いざ、合格率 約10%への挑戦です。
過去問題 平成29年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 6
問題 6 法の土壌汚染のおそれの把握(地歴調査)において得られた情報をもとに試料採取等対象物質の種類を特定した。次に掲げるA~Eの特定有害物質のうち、試料採取等対象物質とすべきものの組み合わせはどれか。
【地歴調査結果】
①1980年から、はんだめっき施設及びクロメート処理施設が設置されている。
②2010年まで、ふっ素を含む排水の地上配管が敷設されていた。
③2005年から、1,2-ジクロロエタンを実験室において試薬瓶から分取して使用している。
④2003年に、倉庫において密閉した状態でジクロロメタンの入ったドラム缶を一時保管していた。
【特定有害物質】
A 鉛及びその化合物
B 六価クロム化合物
C ふっ素及びその化合物
D 1,2-ジクロロエタン
E ジクロロメタン
(1) A、B、C、D
(2) A、B、C
(3) A、C、E
(4) B、D、E
(5) C、D
1から4の地歴調査結果を整理していきます。
1では、はんだめっき施設及び黒メートル処理施設が設置されているということです。
はんだめっき施設で使用される主な特定有害物質は、鉛及びその化合物です。
クロメート処理施設で使用される主な特定有害物質は、六価クロム化合物です。
A 鉛及びその化合物とB 六価クロム化合物は確定ですね。
2では、ふっ素を含む排水の地上配管が敷設されていたと記載があるので、C ふっ素及びその化合物が確定です。
3では、1,2-ジクロロエタンを実験室において試薬瓶から分取して使用していると記載があるので、D 1,2-ジクロロエタンが確定です。
4では、倉庫において密閉した状態でジクロロメタンの入ったドラム缶を一時保管していとと記載があります。
ここで注視する点は、「密閉した状態」と「一時保管」という記載です。
以下、土壌汚染対策法のガイドラインに記載されている一文です。
「土壌汚染対策法第3条第1項の土壌汚染状況調査について」によると以下の行為は、法第3条第1項の「製造、使用又は処理」に該当しないとされており、ここでも同様の考え方をとることができる。
iv)特定有害物質が密封された製品の取扱い(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律施行令第5条第2号参照)
私の経験上、この4の記載に関しては、上述の一文が適用されると考えています。
つまり、E ジクロロメタンは試料採取等対象物質とすべきものに該当しないということです。
したがって、私の回答は「(1)」になりました。
過去問題 平成29年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 7
問題 7 法の土壌汚染のおそれの把握(地歴調査)において、特定有害物質の使用状況等の情報を入手・把握した。入手・把握した情報に基づき実施した試料採取等対象物質の特定に関する次の A~Eの記述のうち、不適当なものの組み合わせはどれか。
A 大学の試薬室においてフェロシアン化カリウムの試薬瓶が確認されたため、試料採取等対象物質の種類はシアン化合物とした。
B 農業試験場において過去に有機りん系殺虫剤のパラチオンを使用していたことが確認されたため、試料採取等対象物質の種類は有機りん化合物とした。
C 金属製品製造業の塗装ブースにおいてクロム酸鉛を主成分とする塗料の使用が確認されたため、試料採取等対象物質の種類は鉛及びその化合物とした。
D 半導体の製造工場においてトリクロロエチレンの使用が確認されたため、試料採取等対象物質の種類はトリクロロエチレン、トランス-1,2-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、1,1-ジクロロエチレンとした。
E 電子機器製造工場において1,1,1-トリクロロエタンの使用が確認されたため、試料採取等対象物質の種類は1,1,1-トリクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン及びクロロエチレンとした。
(1) A、B
(2) A、E
(3) B、C
(4) C、D
(5) D、E
AからEに記載されている物質に関する安全データシート(SDS)を確認してみました。
フェロシアン化カリウム
別名:ヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸カリウム三水和物
適用法令:土壌汚染対策法 第2種特定有害物質「シアン化合物」
パラチオンは土壌汚染対策法のガイドラインに記載のとおり、有機りん化合物の別名。
クロム酸鉛で適用法令に土壌汚染対策法が記載されているSDSは確認できませんでした。
一方で、主な六価クロム化合物にクロム酸鉛の記載を確認しました。
2019年4月の段階でのトリクロロエチレンの分解生成物は、クロロエチレン、1,1-ジクロロエチレン、1,2-ジクロロエチレンです。
一方、平成29年度では、1,1-ジクロロエチレン、1,2-ジクロロエチレン、クロロエチレンです。
トランス-1,2-ジクロロエチレンが試料採取等対象物に該当しません。そして、クロロエチレンが追加になります。
2019年4月の段階での1,1,1-トリクロロエタンの分解生成物は、クロロエチレン、1,1-ジクロロエチレンです。
平成29年度も同じです。
したがって、私の回答は「(4)」です。
過去問題 平成29年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 8
問題 8 法の土壌汚染のおそれの把握(地歴調査)における資料調査において、入手・把握すべき資料に関する次の記述のうち、もっとも不適当なものはどれか。
⑴特定有害物質の貯蔵等に伴う汚染のおそれを確認する上では、地上タンク等の配置図が有用な資料となる。
⑵有害物質使用特定施設の水質汚濁防止法に基づく定期点検の記録内容は、特定有害物質を含む水の漏洩、飛散、流出または地下への浸透の有無などの確認に利用できない。
⑶安全データシート(SDS(旧MSDS))に特定有害物質が含まれるという情報がなく、他の情報からも特定有害物質の使用に関する情報が得られない場合、特定有害物質の使用はなかったと判断できる。
⑷起点及び単位区画の設定をするため、原則、調査対象地の縮尺1,000分の1またはそれより縮尺が詳細な平面図を用いる。
⑸特定有害物質の使用等に伴う汚染のおそれを確認する上では、特定有害物質の使用場所、配管図、排水経路図等が有用な資料となる。
1から5の記載を整理していきます。
1では、地上タンク等の配置図に関して記載されていますが、地上タンクや地下タンクに特定有害物質が保管されている可能性があります。
したがって、入手・把握すべき資料に該当します。したがって、記載内容は適当です。
2では、有害物質使用特定施設の定期点検の記録内容が有益な情報ではないと記載されています。
過去の特定有害物質を含む水の漏洩、飛散、流出または地下への浸透の有無が確認できる重要な資料です。
したがって、記載内容は不適当です。
3では、SDSから判断できる情報に関して記載されています。SDSでも他の情報からも特定有害物質の使用に関する情報が得られないとのことなので、特定有害物質の使用なしと判断できます。
根拠としては、土壌汚染対策法のガイドラインに以下の記載があります。
「土壌汚染対策法第3条第1項の土壌汚染状況調査についてによると以下の行為は、法第3条第1項の「製造、使用又は処理」に該当しないとされており、ここでも同様の考え方をとることができる。
i)特定有害物質を微量含む原材料を用いるが、当該特定有害物質に対し何らの働きかけをしない行為
v)添加剤等として特定有害物質を微量(1%未満)含む物質の製造、使用又は処理
このi)とv)が明確にすることができたということです。
したがって、記載内容は適当です。
4では、調査対象地の平面図に関する縮尺が記載されています。
土壌汚染対策法のガイドラインには以下の記載があります。
土壌汚染状況調査の対象地に単位区画又は 30m格子を設定するため、土壌汚染状況調査の対象地の境界、有害物質使用等施設とその関連施設等、必要な位置情報が示された平面図等が必要となる。
また、土壌汚染状況調査の対象地の平面図は、縮尺1,000分の1又はそれより縮尺が詳細な図面を原則とし、歪みや伸縮のない正確なものを用いる。
現地において土壌汚染状況調査の対象地の端から端までを異なる2方向で実測し、図面と実測値の間におおむね 10%以上の誤差があった場合は、現地測量を実施して図面を修正又は再度作成する(図面精度確認のための測定は巻尺・テープ又はトータルステーション等の測量機器を用いて行う。)。
したがって、記載内容は適当です。
5では、特定有害物質の使用等に伴う汚染のおそれを確認する上では、特定有害物質の使用場所、配管図、排水経路図等が有用な資料であると記載されています。
この記載内容は素人目でも適当です。
したがって、私の回答は「(2)」です。
過去問題 平成29年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 9
問題 9 法の土壌汚染のおそれの把握(地歴調査)において調査実施者が入手・把握すべき情報に関する次の記述のうち、もっとも適当なものはどれか。
⑴土地の所有者等から提供された土壌分析結果は、私的資料であり信頼度が低いことから、入手すべき情報には該当しない。
⑵収集すべき資料の内容を明確にするために、聴取調査は資料調査の前に実施することが望ましい。
⑶公有水面埋立地については、都市計画法に規定する用途地域の設定状況を把握することが必要である。
⑷造成工事記録は、特定有害物質の取り扱いを示した資料ではないため、入手すべき情報には該当しない。
(5)鉱業法に基づく鉱業権の設定許可申請書類は、入手すべき情報には該当しない。
土壌汚染対策法のガイドラインには、資料調査にて入手・把握すべき資料の種類が参考例として記載されています。
一部を省略していますが、以下の図を参照下さい。
図を確認してもらうと、(1)が入手・把握すべき情報だということが理解できます。なので(1)の記載は不適当です。
(2)に関しては、資料を確認し、資料に関して不明確な点を聴取調査で補完したいと考えるのが自然なので、記載されている内容は不適当です。
図を確認してもらうと、(3)が入手・把握すべき情報だということが理解できます。なので(3)の記載は適当です。
図を確認してもらうと、(4)が入手・把握すべき情報だということが理解できます。なので(4)の記載は不適当です。
(5)に関しては、土壌汚染対策法のガイドラインに以下の記載があります。
操業中の鉱山及びその附属施設の敷地又は鉱業権の消滅後5年以内の鉱山等の敷地については、調査の命令の対象とはならない。
調査の対象とならないことについての考え方、「鉱業権の消滅後5年以内の鉱山等」の「等」の内容については、法第3条第1項本文の調査に関する 1.5.1(4)2)イ(ウ)と同様である。
鉱業権の設定許可申請書類は、入手すべき情報であるということです。(5)の記載は不適当です。
つまり、私の回答は「(3)」です。
過去問題 平成29年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 10
問題 10 ふっ素及びその化合物に対する法の土壌汚染のおそれの区分の分類の結果を下の図に示す。 試料採取等区画の選定結果を示した次のA~Dの図のうち、正しいものはどれか。
(1) A
(2) B
(3) C
(4) D
(5) すべて正しくない
まず、第二種特定有害物質であるふっ素及びその化合物の試料採取等区画の選定を整理します。
土壌汚染のおそれが比較的多いと認められる土地は単位区画(100m2)で1試料を採取することになり、土壌汚染のおそれが少ないと認められる土地では900m2で5地点混合採取になります。
区画が3単位区画しかなければ、3地点混合採取になります。
上述の考え方を考慮すると以下の図になります。
残りの青いマスと黄色のマス、紫のマスを整理していきたいと思いますが、少し複雑そうなので慎重に検討してみようと思います。
まずは、黄色のマスです。
上述の図で既に土壌汚染のおそれが比較的多いと認められる土地に該当する各々の単位区画(100m2)で1試料の試料採取を選定しています。
残りの5単位区画は、土壌汚染のおそれが少ないと認められる土地に該当するので、この5単位区画において、5地点混合採取になります。
以下の図になります。
次は紫のマスです。
上述の図で既に土壌汚染のおそれが比較的多いと認められる土地に該当する各々の単位区画(100m2)で1試料の試料採取を選定しています。
残りの区画は土壌汚染のおそれが少ないと認められる土地に該当する区画です。
一見、区画の統合か?となってしまいますが、統合する必要はありません。
土壌汚染対策法のガイドラインにも以下のとおり記載されていますが、統合はあくまでも以下の条件の場合です。対象地の境界部分がキーポイントです。
土壌汚染状況調査の対象地の境界部分に 100 m2 未満の区画が多数生じ、必要以上に
区画の数が多くなる場合があることから、i)一定の方法により格子の線を回転させることにより、区画される部分の数を減らすことができること、ii)一定条件に適合する場合には、100 m2未満の区画を隣接する区画と合わせることができることとしている。
つまり、以下の図の中のピンク枠が土壌汚染のおそれが少ないと認められる土地に該当する区画になるので試料採取位置は以下のとおりになります。
最後に青いマスです。
青いマスも紫のマスと同様です。ピンク枠が土壌汚染のおそれが少ないと認められる土地に該当する区画になるので試料採取位置は以下のとおりになります。
したがって、私の回答は「(4)」です。
なんとか、問題10まで回答することができました。
環境デューデリジェンスの基礎知識の為に、今後も残りの問題を解いていこうと思います。
もし、あなたが土壌汚染調査技術管理者試験の対策の為にこの記事を読んでいるのであれば、ズバリ!まだ、間に合います!
焦らずに、一問一問を読んで理解してみてください!頑張ってください!
この土壌汚染調査技術管理者試験には、多くの参考書が販売されています。
できることはしておきましょう!
もし、あなたが購入されるなら自分に合った参考書をちゃんと選んでください。
私は、土壌汚染問題の基礎が分かる本を買いました。
参考書では、問題の答えだけが説明されているものもあります。
しかし、それでは応用力がつきません。
他の選択肢に関しても、なぜ正解なのかを知っておくべきです。
既に上述していますが、私の個人的な見解と知識で解いていきますので、答えや答えを導く過程が間違っていたらすいません。
仮に間違っていたとしても、私は責任を取りませんのでご了承下さい(笑)。
頑張ってひとつひとつ、ダブルチェック的な観点で調べてみてください。
残りの問題は以下の記事から回答を確認できます。
【まだ間に合う!】平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の解説
最後までこの記事を読んで頂きありがとうございました。