知っておくべきM&Aの用語

M&AにおけるNDA(エヌディーエー)の意味

M&AにおけるNDA(エヌディーエー) の意味

 

M&A案件において、NDANon-disclosure agreement(ノンディスクロージャーアグリーメント)の略称です。

 

日本語では守秘義務契約機密保持契約秘密保持契約になります。

 

Confidentiality Agreement (CA) などの単語も同じ意味で使用されることがあります。

 

M&A案件では企業間で重要情報を開示する、又は開示を受けることになります。

例えば、売上げ金額や雇用契約、取引先との契約、環境負荷に関する金額等の重要情報です。

これらの情報がマスコミなどを含む第三者に漏れてしまうと大変なことになります。

また、M&A案件に関連している企業が上場企業であれば、情報漏洩により悪質なインサイダー取引を生み出す可能性があります。

 

こういった企業リスクやインサイダー取引を未然に防ぐ為に、NDAM&A案件に関連する全ての企業が締結します

基本的には企業間で締結されるものですが、必要に応じて企業と個人間で締結されることもあります。

 

今の世の中、SNSやインターネットの発展もあり、漏洩した情報が拡散するスピードが猛烈に速いという印象です。

そして、デジタルタトゥーとして永久にインターネット上に存在することになります。

 

企業としては、これらのリスクを未然防止する為にNDAを締結することが重要であるということです。

そして、締結する企業又は個人もこれらのリスクの重大性を十二分に理解した上でサインすることが必要です。

今の世の中で一旦漏洩した情報は、リカバリーや回収できないのが現状ですから。

 

M&AのNDA(守秘義務契約)の種類

 

私の経験上、NDAには以下の種類があります。

 

🔹差入書型のNDA(請負又は委託業者から顧客へ秘密保持を守ります!の一方通行なNDA)

 

🔹同意書型のNDA(顧客から請負又は委託業者へ秘密保持の同意を求めるNDA)

 

🔹合意書型のNDA(企業間又は企業と個人間で両人に合意を求めるNDA)

 

各々のNDAの種類にはメリットとデメリットがあり、私の経験上、以下のケース毎に使い分けられています。

 

差入書型のNDAと同意書型のNDAは、基本的に請負又は委託業者(M&A取引では外部専門DDチームが該当します)のサイン又は捺印があれば問題ないのでM&A案件の基礎情報の提供時に使用される傾向にあります。

つまり、顧客が外部専門DDチームに業務の検討を依頼する際の情報提供時に使用するということです。

 

もちろん、外部専門DDチームが見積もりを提出し、ベンダーとして選定された際には合意書型のNDAが締結される傾向にあります。

やはり、差入書や同意書よりも企業間又は企業と個人間で両人の合意の基、締結される合意書型のNDAの方が安心という理解だと考えられます。

 

基本的に差入書であっても合意書であったても秘密保持に関する制約は同じです。

ただ、両社保管という形であり、秘密保持に関する詳細な内容が記載されているのが合意書型のNDAというのが私の印象です。

 

個人的な考え方ですが、私は合意書型のNDAを好みます。

 

M&AにおけるNDA(秘密保持契約など)の内容

 

合意書型のNDAにおいては、以下の内容を記載されていることが多いです。

 

🔶 守秘(機密)の定義

🔶 秘密保持の定義や条件

🔶 使用目的の条件

🔶 適用除外の条件や事例

🔶 秘密情報の受渡し条件

🔶 守秘情報の保管に冠する条件

🔶 知的財産権に関する条件

🔶 契約解除に関する条件

🔶 損害賠償に関する内容や条件

🔶 機密情報の廃棄に関する条件

🔶 秘密保持が適用される期間

🔶 管轄裁判所の場所

🔶 協議解決に関する内容

 

差入書や同意書に関して、同様の内容が記載されているという認識ですが、もっと簡易に作成されているNDAもあります。

 

私はNDAを締結する時には全文に目を通します。

なぜ、法務でもないのに全文に目を通すのか?

理由は後述するNDAに関するリテラシーに関係しています。

たかが、紙切れ一枚にサインをするということですが、このサインをするということはとても重い責任を背負うということです。

詳細は後半の記事で確認してください(笑)。

 

 

話をNDAの内容に戻します。

どのNDAも書いてある内容は殆ど同じですが、いつも気になるのが「秘密保持が適用される期間」です。

1年3年5年10年といった期間が基本ですが、中にはあえて期間を指定せず、永久的にというNDAも存在します。

 

個人的には、永久的に1つのNDAを企業が管理できるのかという点が正直疑問に残りますが…..。

 

まあ、NDAにサインをする人、またはNDAを取り扱う人はそこ部分も見越して締結する義務があるということです。

 

M&AにおけるNDA(秘密保持契約など)に関するリテラシー

 

NDA ?

 

たかが守秘義務だろ?と考えておられる方は実は多いのではないかと私は考えています。

 

飲み屋の席での同僚との会話、家族とのコミュニケーションの中、恋人へのグチ、色々な場面で「えっ!?」そんな大事な話をこんな場所でして良いの?というシーンに出くわすことがあります。

重要な情報が漏洩していないか?っと私は緊張するわけです。

読者の方も経験ありませんか?飲み屋の隣の席から企業名やらプロジェクト内容やらが聞こえてくることが….。

 

もし、顧客がたまたま居合わせたらとんでもないことになりかねないケースです。

 

ただ、実際のところ、NDAに関する法的拘束力は弱いというのが現状です。

日本国内において数千の企業が、プロジェクト毎や新規顧客に対して多くのNDAを日々締結していると思います。

しかし、一方で守秘義務違反で訴訟問題になっているケースをあまり聞いたことがありません。

実際にインターネットで検索しても大きな事件に関連したものはありませんでした。

 

なら、NDAの法的拘束力が弱いからと言って、NDAの締結内容を軽視して良いのかという議論になります。

 

そんなはずはありません!

NDAをM&A案件で取扱う関係者はプロフェッショナルであると私は認識しています。

つまり、最終的にはリテラシーの問題ということになりますね。

NDAは締結が基本ですが、結ぶ以前に守秘義務を徹底するという認識が必要です。

 

最後に…

 

私は環境デューデリジェンスの担当なので、全てを完璧に説明できるわけではありません。

あくまでも私の経験上からの説明であることをご了承願います。

 

もし、当該記事内容に関して、複眼的観点よりM&A仲介事業会社の目線で更に詳細は情報を入手したい方は以下のリンクを参照ください。

 

秘密保持契約書(NDA)の解説とひな形使用時の注意点 M&Aの情報漏洩対策のために

 

秘密情報を「特定の会社以外が知ると自社が損害を被る可能性のある情報」と定義し、M&Aにおける秘密保持契約の重要性について説明されている記事です。

記事は株式会社FUNDBOOKさんのWebページにリンクしています。

 

 

ビジネスDDの専門チームや法務DDの専門チーム、ファイナンシャルアドバイザーが使用する言葉や単語にも興味あり、気になる単語や文言はよくインターネットでその意味を調べてきました。

 

ちなみに環境デューデリジェンスって何?となった読者の方は以下の記事を参照ください。

 

環境デューデリジェンスとは?環境デューデリジェンス(環境DD)とは? 突然ですが、読者のみなさん(あなた)に質問です。 デューデリジェンスっ...

 

この環境デューデリジェンスの専門サイトは、M&A係る人又は今後M&Aに係ってみたい人に環境デューデリジェンスに関する知識や情報をを少しでも多く知ってもらう為の普及活動をしているサイトです。

 

最後まで読んで頂き有難う御座いました。