こんなことを書いてます
【解説】平成29年度 環境省 土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の解答に挑戦 (その5)
本記事では平成29年度 土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の問題21から問題25の解答に挑戦していきます。
可能な限り理解しやすいように解説しようと思います。
前回の問題16~20に関しては、以下の記事を参照下さい。
土壌汚染調査技術管理者試験の勉強法は、過去問を攻略することが基本です。
可能な範囲で多くの問題を解いていこうと私は考えています。
ただし、この記事はあくまでもM&A環境デューデリジェンス(環境DD)や土壌汚染調査の基礎的な知識を習得するために書いています。
もちろん、読者の方(あなた)の土壌汚染調査技術管理者試験勉強にとって有益な情報になれば良いとも考えています。
私は土壌汚染調査技術管理者試験の専門家ではありません。したがって、解答に対するアプローチや考え方が、本来の正解と異なる可能性がございます。
その点を事前にご了承願います。
問題に対して私の知識が足りていない場合は、知り合いの環境コンサルタントに少しヒントをもらって問題を解くようにしています。
では、問題21からです。いざ、合格率 約10%への挑戦です。
過去問題 平成29年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 21
問題 21 有害物質使用特定施設の排水が地下ピットを経由して排水処理施設で処理されていた。
下の図は、当該有害物質使用特定施設を廃止した場合に行われる法第3条調査の単位区画内におけるこれらの施設の平面図である。
試料採取を省略しない場合に最低限必要となる試料採取数として次に掲げるもののうち、もっとも適当なものはどれか。
なお、試料採取等対象物質は第二種特定有害物質であり、漏洩等の事故履歴はない。地表から0~5cmと5~50cmの試料を合わせて1試料とする。
(1)1つ
(2)3つ
(3)4つ
(4)5つ
(5)6つ
土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載を確認しました。
同一単位区画内に土壌汚染が存在するおそれが多い部分が複数存在し、汚染のおそれが生じた場所の位置がそれぞれ異なる場合もある。
例えば、地表に当該特定有害物質の保管場所があり、地下に当該特定有害物質に係わる配管が敷設されている場合等である。
この場合は、調査実施者は汚染のおそれが生じた場所の位置(深さ)ごとに土壌汚染が存在するおそれが多いと認められる地点において試料を採取する。
問題21に関しては以下の土壌汚染が存在するおそれが多い部分が存在し、それぞれの汚染のおそれが生じた場所の位置(深さ)が異なります。
有害物質使用特定施設(地上):地表面
地上配管:地表面
地下ピット深さ2m:地表面より2m下
地下配管深さ2m:地表面より2m下
排水処理施設深さ3m:地表面より3m下
地下配管深さ1m:地表面より1m下
したがって、第二種特定有害物質を採取する場合、地表面、地表面より1m下、地表面より2m下、地表面より3m下の4つの場所と深度になります。
したがって、私の回答は「(3)」です。
過去問題 平成29年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 22
問題 22 法の土壌汚染状況調査における土壌試料の運搬・保管・保存方法に関する次のA~Eの記述のうち、不適当なものの組み合わせはどれか。
A測定の対象を第二種特定有害物質とする場合の試料容器の材質は、対象物質が溶出及び吸着しないものとしなければならない。
B測定の対象を第二種特定有害物質とする場合の土壌試料は、礫・大きな植物根等を除いた後、容器に保存しなければならない。
C測定の対象を第一種特定有害物質とする場合の土壌試料は、容器内に空げきが残らないように詰めて密栓する。
D土壌試料は、容器の内側が結露しないように運搬しなければならない。
E測定の対象を第二種特定有害物質とする場合の土壌試料は、ただちに試験を行えない場合、採取試料を凍結保存しなければならない。
(1)A、C
(2)A、D
(3)B、E
(4)C、D
(5)D、E
AとBとEの記載に関して、土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載を確認しました。
採取した土壌は、礫・大きな植物根等を除いた後、ガラス製容器又は測定の対象物質が溶出及び吸着しない容器に収める。
なお、ほう素及びその化合物・ふっ素及びその化合物はガラス製容器から溶出するおそれがあるため、ガラス製容器に保存しない。
採取試料は速やかに分析室へ搬入し、直ちに測定を行う。測定を直ちに行えない場合には、冷暗所に保存し、できるだけ速やかに測定を行う。
AとBの記載は適切でEが不適当です。
Cの記載に関して、土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載を確認しました。
試料容器はJISK0094「試料容器及び洗浄」に準拠した容器を使用することとし、採取試料は試料容器になるべく空間ができないように詰める。
試料容器には地点名(区画名)、採取深さ、採取日時を記入し、原則として0~4℃の冷暗所で保管することを基本とし、保冷箱や保冷剤等を利用して採取試料の運搬や保管を行う。
Cの記載は適切です。
Dの記載に関して、土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載を確認しました。
採取した土壌ガスは、常温暗所で容器の内側が結露しないように運搬及び保管する。
土壌ガスの分析は、現地で行う場合には採取から24時間以内に、現地以外の分析室で行う場合には採取から48時間以内に行うこととする。
土壌ガスの採取容器は、内側が結露しないように運搬及び保管するとの記載がありますが、土壌試料は、容器の内側が結露しないように運搬しなければならないという記載は確認できませんでした。
したがって、Dは不適当であると判断します。
問題22の私の回答は「(5)」です。
過去問題 平成29年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 23
問題 23 法の土壌ガス、土壌溶出量及び土壌含有量の測定に関する次のA~Eの記述のうち、適当なものの組み合わせはどれか。
A 土壌ガス濃度は、有効数字を2桁までとし、その下の桁を四捨五入して表示する。
B 第一種特定有害物質の土壌溶出量の定量下限値は、土壌溶出量基準値の10分の1を目安にする。
C 第二種特定有害物質の土壌溶出量の報告値は、検液中の濃度で表示する。
D 土壌溶出量基準において「検液中に検出されないこと」とは、告示で定められた方法により測定した結果がその方法の検出下限値を下回ることをいう。
E 第二種特定有害物質の土壌含有量の報告値は、測定された調査対象物質の量を測定対象の土壌の湿重量1kgに含まれる量に換算して表示する。
(1)A、B
(2)A、C
(3)B、C
(4)B、E
(5)C、D
Aの記載に関して、土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載を確認しました。
土壌ガス中の試料採取等対象物質の濃度は、次式を用いて体積濃度(単位volppm)で算出し、有効数字を2桁として3桁目以降を切り捨てて表示する。
定量下限値は、ベンゼン以外の試料採取等対象物質については0.1volppm、ベンゼンについては0.05volppmとし、これらの濃度未満の場合を不検出とする。
したがって、Aの記載は誤りです。
Bの記載に関して、土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載を確認しました。
土壌溶出量調査では、定量下限値は土壌溶出量基準の1/10を目安とする。
土壌溶出量基準が「検出されないこと」となっている4項目については、シアン化合物0.1mg/L、総水銀0.0005mg/L、アルキル水銀0.0005mg/L、ポリ塩化ビフェニル0.0005mg/L、有機りん化合物0.1mg/Lとする。
したがって、Bの記載は正しいです。
「土壌の汚染に係る環境基準の見直し及び土壌汚染対策法の特定有害物質の見直し等に伴う土壌汚染対策法の運用について」により、基準値が複数物質の濃度の和で設定されている物質(具体的には1,2-ジクロロエチレン及び1,3-ジクロロプロペン)の測定結果の取扱方法は以下のとおりです。
・シス体とトランス体が両方とも定量下限値以上の場合は、シス体とトランス体の測定値の和を測定値とし、報告値は有効数字を2桁として、3桁目以降を切り捨てて表示する。
・シス体とトランス体のいずれか一方が定量下限値未満で、いずれか一方が定量下限値以上の場合は、定量下限値以上の方の測定値を測定値とし、報告値は有効数字を2桁として、3桁目以降を切り捨てて表示する。
・シス体とトランス体が両方とも定量下限値未満の場合は、「定量下限値未満」と表示することとする。
今年度の土壌汚染調査技術管理者試験の為に覚えておくべき内容だと思います。
Cの記載に関して、土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載を確認しました。
土壌汚染対策法施行規則第6条第3項第4号の環境大臣が定める土壌溶出量調査に係る測定方法は、別表の特定有害物質の種類の欄に掲げる特定有害物質について平成3年8月環境庁告示第 46 号(土壌の汚染に係る環境基準について)付表に掲げる方法により作成した検液ごとに、別表の測定方法の欄に掲げるとおりとする。
また、環境省の土壌環境基準 別表のWebページで以下の記載を確認しました。
環境上の条件のうち検液中濃度に係るものにあっては付表に定める方法により検液を作成し、これを用いて測定を行うものとする。
したがって、Cの記載は正しいです。
Dの記載に関して、環境省の土壌環境基準 別表のWebページで以下の記載を確認しました。
「検液中に検出されないこと」とは、測定方法の欄に掲げる方法により測定した場合において、その結果が当該方法の定量限界を下回ることをいう。
したがって、Dの記載は誤りです。
Eの記載に関して、土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載を確認しました。
1別表の特定有害物質の種類の欄に掲げる特定有害物質について付表に掲げる方法により作成した検液ごとに、別表の測定方法の欄に掲げる方法により試料採取等対象物質の量を測定すること。
2付表の2により作成した試料の重量とこれを摂氏105度で約4時間乾燥して得たものの重量とを比べて当該試料に含まれる水分の量を測定し、1により測定された試料採取等対象物質の量を当該乾燥して得たもの1キログラムに含まれる量に換算すること。
したがって、Eの記載は誤りです。
問題23の私の回答は「(3)」です。
過去問題 平成29年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 24
問題 24 法の土壌ガスの採取に関する次の記述のうち、もっとも不適当なものはどれか。
⑴採取孔は、直径15~30mm程度、深さ0.8~1.0mの裸孔を、鉄棒等の打込み等により穿孔する。
⑵保護管には、管頭をゴム栓、パッカー等で密栓することができるステンレス管、アルミ管等を用いる。
⑶捕集バッグ法で土壌ガスを採取する際は、脱気した状態の捕集バッグを気密容器に入れ、
捕集バッグに付属する合成樹脂製のスリーブを導管に接続した後、気密容器を吸引ポンプに接続する。
⑷採取した土壌ガスは、クーラーバッグに保冷剤とともに格納するなど、冷暗所で運搬及び保管する。
⑸土壌ガスの分析は、現地で行う場合には採取から24時間以内に、現地以外の分析室で行う場合には採取から48時間以内に行うこととする。
(1)と(2)の記載に関して、土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載を確認しました。
採取孔
直径 15~30 mm 程度、深さ 0.8~1.0mの裸孔で、鉄棒等の打込み等により穿孔したもの。
地表面がアスファルト、コンクリート等で舗装されている場合にあっては、コアカッター、ドリル等で舗装面を削孔して設置する。
保護管
ステンレス管、アルミ管等の試料採取等対象物質を吸着しない材質の管であって、底面又は下部側面に開口部を持ち、上部50 cm以上が無孔管であり、管頭をゴム栓、パッカー等で密栓することができるもの。
これを採取孔内に採取孔(舗装面を削孔して設置した採取孔にあっては、舗装面を含む。)と保護管との間を気体が通過しないように密閉して設置する。
したがって、(1)と(2)の記載は正しいです。
(3)の記載に関して、土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載を確認しました。
捕集バッグ法における捕集部の組立て
脱気した状態の捕集バッグを気密容器に入れ、捕集バッグに付属する合成樹脂製のスリーブを導管に接続した後、気密容器を吸引ポンプに接続する。
したがって、(3)の記載は正しいです。
(4)と(5)の記載に関して、土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載を確認しました。
採取した土壌ガスは、常温暗所で容器の内側が結露しないように運搬及び保管する。
土壌ガの分析は、現地で行う場合には採取から 24 時間以内に、現地以外の分析室で行う場合には採取から48時間以内に行うこととする。
したがって、(5)の記載は正しくて(4)の記載は誤りです。
問題24の私の回答は「(4)」です。
過去問題 平成29年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 25
問題 25 地下水試料の採取のための観測井の設置に関する次のA~Dの記述のうち、正誤の組み合わせとしてもっとも適当なものはどれか。
A 観測井のスクリーン設置区間は、被圧帯水層の場合には、調査時において地下水位が確認された深度にスクリーンの上端を設置し、下端は被圧帯水層の底までとする。
B 観測井の仕上がり孔径は、採水前のパージのしやすさを考慮すると50mm以上の大きい孔径が望ましい。
C 掘削に泥水を使用した場合、泥膜が孔壁を保護して崩壊を防ぐことができるため、井戸材料を設置後も泥膜を除去しないよう注意する。
D 比較的軟らかい地盤において打ち込み井戸を観測井として設置する場合は、先端に孔をあけた鋼管等を直接地面に打ち込む。
ABCD
(1)正正誤誤
(2)正誤正正
(3)誤正誤誤
(4)誤誤誤正
(5)誤正誤正
Aの記載に関して、土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載を確認しました。
観測井のスクリーン区間は、被圧帯水層の場合には帯水層の全層となるよう設定する。
また、不帯水層の場合にはボーリング調査の際に地下水位が確認された深さより又はそれよりも少し浅いところ(地下水位の変動範囲の上端であると想定される深さ付近)がスクリーン区間の上端になるように設定し、スクリーン区間の下端が当該帯水層の底となるよう設定する。
したがって、Aの記載は誤りです。
Bの記載に関して、土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載を確認しました。
観測井の仕上がり孔径について、一般的な水位計や採水器具を使用し地下水位や地下水質を測定することや、揚水ポンプ等を挿入して採水前のパージを実施しやすいことを考慮すると、大きい口径(内径 50 mm 以上)とする方が適応性は高い。
また、各種の水理試験や揚水等に使用することは考えず、地下水の水位や水質の測定のみに活用する場合は、小口径(25 mm)程度の観測井でもそれに合った水位計や採水器具等を使用することで目的の達成が可能である。
したがって、Bの記載は正しいです。
Cの記載に関して、土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載を確認しました。
観測井内を良好な状態(井戸内水が自然状態の地下水に絶えず置換できるような状態)に保つため、掘削直後には掘削泥水等による孔壁の汚れ等を除去し、恒常的に井戸内洗浄を行う必要がある。
井戸内洗浄の方法としては清水注入、水中ポンプを利用する方法及びエアリフトを利用する方法等がある。
なお、洗浄により発生する泥水及びスライム(掘りかす)については、必要に応じて特定有害物質の濃度を測定し、濃度・性状に応じ適正な処理・処分を行う。
したがって、Cの記載は誤りです。
Dの記載に関して、土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載を確認しました。
打ち込み井戸を利用する方法では、スクリーン管を鋼管内に内蔵した採取管を直接地面に打ち込む。
所定の深さまで採取管を打ち込んだ後、鋼管先端に取り付けたコーンを外し(押し出し)、鋼管内に内蔵したスクリーン管のスクリーン部分を帯水層中に露出させることで簡易な井戸を設置し、当該所定の深さの地下水試料を採取する。
この方法は、所定の採水深さまでスクリーン部分が露出しない状態で鋼管が挿入されるため、鋼管内部への泥や砂の侵入を防ぐことが可能であり、井戸内の洗浄が最小限ですむ利点がある。この方法を打撃貫入式のボーリングマシンで打ち込むことにより、深さ 20 m 程度までの任意の深さでの地下水試料の採取が可能であり、地下水試料採取の終了後は鋼管及びスクリーン管を抜管することが可能である。
このほか、先端に項を開けた(スクリーン部を付けた)内径 40 mm 程度までの鋼管やステンレス管を直接地面に打ち込んで井戸を設置する方法で、比較的軟らかい地盤で利用できる。
設置可能な井戸の深さは、地盤条件にもよるが 10 m 程度までのことが多い。
したがって、Dの記載は正しいです。
問題25の私の回答は「(5)」です。
なんとか、問題25まで回答することができました。
環境デューデリジェンスの基礎知識の為に、今後も残りの問題を解いていこうと思います。
もし、あなたが土壌汚染調査技術管理者試験の対策の為にこの記事を読んでいるのであれば、ズバリ!まだ、間に合います!
焦らずに、一問一問を読んで理解してみてください!頑張ってください!
この土壌汚染調査技術管理者試験には、多くの参考書が販売されています。
できることはしておきましょう!
もし、あなたが購入されるなら自分に合った参考書をちゃんと選んでください。
私は、土壌汚染問題の基礎が分かる本を買いました。
参考書では、問題の答えだけが説明されているものもあります。
しかし、それでは応用力がつきません。
他の選択肢に関しても、なぜ正解なのかを知っておくべきです。
既に上述していますが、私の個人的な見解と知識で解いていきますので、答えや答えを導く過程が間違っていたらすいません。
仮に間違っていたとしても、私は責任を取りませんのでご了承下さい(笑)。
頑張ってひとつひとつ、ダブルチェック的な観点で調べてみてください。
残りの問題は以下の記事から回答を確認できます。
【まだ間に合う!】平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の解説
最後までこの記事を読んで頂きありがとうございました。