こんなことを書いてます
【解説】平成29年度 環境省 土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の解答に挑戦 (その6)
本記事では平成29年度 土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の問題26から問題30の解答に挑戦していきます。
可能な限り理解しやすいように解説しようと思います。
前回の問題21~25に関しては、以下の記事を参照下さい。
土壌汚染調査技術管理者試験の勉強法は、過去問を攻略することが基本です。
可能な範囲で多くの問題を解いていこうと私は考えています。
ただし、この記事はあくまでもM&A環境デューデリジェンス(環境DD)や土壌汚染調査の基礎的な知識を習得するために書いています。
もちろん、読者の方(あなた)の土壌汚染調査技術管理者試験勉強にとって有益な情報になれば良いとも考えています。
私は土壌汚染調査技術管理者試験の専門家ではありません。したがって、解答に対するアプローチや考え方が、本来の正解と異なる可能性がございます。
その点を事前にご了承願います。
問題に対して私の知識が足りていない場合は、知り合いの環境コンサルタントに少しヒントをもらって問題を解くようにしています。
では、問題26からです。いざ、合格率 約10%への挑戦です。
過去問題 平成29年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 26
問題 26 人為的原因による土壌汚染のおそれと自然由来の土壌汚染のおそれがある土地で法の土壌汚染状況調査を実施した結果を下の図に示す。調査結果の評価に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1) 人為的原因による土壌汚染がないと評価される単位区画の数は21である。
(2) 自然由来の土壌汚染があると評価される単位区画の数は4である。
(3) 自然由来特例区域に指定される単位区画の数は24である。
(4) 人為的原因による土壌汚染と自然由来の土壌汚染の両方がある区画の数は9である。
(5) 試料採取を省略したために第二溶出量基準不適合と評価される単位区画の数は10である。
(1)の条件では、人為的原因による土壌汚染がないと評価される単位区画の数は20です。
一番左下の区画が不適合区画だと私は判断しました。
図で整理しています。
(1)の条件は誤りです。
(2)と(3)の条件を理解する為に図を作成してみました。
自然由来の土壌汚染があると評価される単位区画の数=自然由来特例区域に指定される単位区画と私は考えています。
白い区画は、対象外区画を見えやすくしてみました。
青い区画は自然由来の土壌汚染の調査結果で適合した結果が出ています。
その他の黄色の区画が自然由来特例区域に指定される単位区画になると考えています。
合計24区画です。
(2)の条件は誤りで、(3)の条件は正しいです。
(4)の条件を確認する為に図を作成しました。
図で整理してみると、人為的原因による土壌汚染と自然由来の土壌汚染の両方がある区画の数は7区画でした。
(4)の条件は誤りです。
(5)の条件を確認する為に図を作成しました。
図で整理してみると、試料採取を省略したために第二溶出量基準不適合と評価される単位区画の数は14区画でした。
(5)の条件は誤りです。
したがって、私の回答は「(3)」です。
うーん。ちょっとこの問題に関しては、自信がないですね。特に(5)の条件は考え方が合っているか不明です。
過去問題 平成29年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 27
問題 27 法の土壌汚染状況調査を実施したところ、鉛及びその化合物について下の表に示す結果を得た。単位区画の汚染状態の評価に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)単位区画Aは第二溶出量基準不適合かつ土壌含有量基準不適合である。
(2)単位区画Bは土壌溶出量基準、土壌含有量基準の両方に適合である。
(3)単位区画Cは土壌溶出量基準不適合(第二溶出量基準適合)かつ土壌含有量基準不適合である。
(4)単位区画Dは第二溶出量基準不適合かつ土壌含有量基準適合である。
(5)第二溶出量基準に不適合であった単位区画は2つある
まず、鉛及びその化合物の基準値を確認しました。
土壌溶出量基準:0.01mg/L
土壌含有量基準:150mg/kg
第二溶出量基準:0.3mg/L
(1)から(5)の条件を図に反映してみました。
問題27の私の回答は「(2)」です。
過去問題 平成29年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 28
問題 28 公有水面埋立地において実施した法の水面埋立地特例の調査の結果の評価に関する次の記述のうち、もっとも適当なものはどれか。
⑴ 第一種特定有害物質が基準不適合となった場合は、30m格子ごとのボーリング調査結果で汚染状態を評価する。
⑵ 第二種及び第三種特定有害物質が30m格子ごとのボーリング調査で基準不適合となった場合、30m格子内のすべての単位区画でボーリング調査を行い、その結果で単位区画ごとに汚染状態を評価する。
⑶ 第二溶出量基準に不適合であった場合は、専ら水面埋立て用材料由来の汚染としては取り扱われない。
⑷ 昭和55年に造成が開始された公有水面埋立地(廃棄物が埋められていない土地)において、試料採取等を省略した場合、第二溶出量基準及び土壌含有量基準に不適合とみなされる。
⑸ 試料採取の一部を省略した場合、土壌溶出量基準及び土壌含有量基準に適合した試料採取地点を含む単位区画を除いた調査対象地全域が基準不適合と評価される。
土壌汚染対策法のガイドラインで(1)から(5)の記載内容を確認しました。
(1)の記載に関して、土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載を確認しました。
なお、旧法においては、試料採取等対象物質が第二種特定有害物質又は第三種特定有害物質である場合にあっては、30m格子内にある単位区画のうち最大で5区画において試料採取することとしていたが、第一種特定有害物質と同様に30m格子内の1地点で行うこととしたので留意されたい。
土壌汚染対策法のガイドラインの改訂第3版で上記の記載を確認しました。
第一種特定有害物質と同様に30m格子内の1地点で行うことと記載されているので、(1)の記載は正しいです。
一方、第二種特定有害物質又は第三種特定有害物質も第一種特定有害物質と同様に30m格子内の1地点で行うことと記載されており、平成31年の土壌汚染対策法の改正で変更になった点です。
改正による変更されている部分は、試験に出題されやすいので詳細を理解しておく必要があります。
(2)の記載に関して、土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載を確認しました。
水面埋立て土砂由来汚染調査ではボーリング調査を30m格子ごとに行い、試料採取等対象物質の種類ごとに土壌汚染の状態を評価する。
したがって、30m格子内の全ての単位区画は、土壌汚染の状態が同一となる。
したがって、(2)の記載は誤りです。
(3)の記載に関して、土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載を確認しました。
昭和52年3月15日以降に公有水面埋立法による公有水面の埋立て又は干拓の事業により造成が開始された土地であり、かつ、当該土壌汚染が当該造成時の水面埋立に用いられた土砂に由来すると認められるものにあっては、廃棄物の最終処分場制度が整備された後の埋立地であり、第二溶出量基準を超えるような高濃度の土壌汚染は想定されない。
したがって、(3)の記載は誤りです。
(4)の記載に関して、土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載を確認しました。
昭和52年3月15日以降に公有水面埋立法による公有水面の埋立て又は干拓の事業により造成が開始された土地であり、かつ、当該土壌汚染が当該造成時の水面埋立に用いられた土砂に由来すると認められるものにあっては、廃棄物の最終処分場制度が整備された後の埋立地であり、第二溶出量基準を超えるような高濃度の土壌汚染は想定されないことから、試料採取等対象物質について土壌溶出量基準及び土壌含有量基準に適合しない汚染状態にあるものとみなす。
したがって、(4)の記載は誤りです。
(5)の記載に関して、土壌汚染対策法のガイドラインで以下の記載を確認しました。
試料採取等を一部の試料採取地点において省略した場合、試料採取等を省略した30m格子内の単位区画は、公有水面の埋立て又は干拓による造成の開始日に従って土壌溶出量基準に不適合かつ土壌含有量基準に不適合な土地、あるいは第二溶出量基準に不適合かつ土壌含有量基準に不適合な土地と評価される。
したがって、(5)の記載は誤りです。
問題28の私の回答は「(1)」です。
過去問題 平成29年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 29
問題 29 法の土壌汚染状況調査において、一部対象区画からなる30m格子①~③を対象に、5地点均等混合法による土壌調査を行い、下の図の結果を得た。
この後、30m格子内の汚染範囲の確定のための試料採取等は行わなかった。この調査結果の評価に関する次のA~Eの記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
A ①内の単位区画の土壌溶出量は、すべて土壌溶出量基準不適合(第二溶出量基準適合)であるとみなされる。
B ①内の単位区画の土壌含有量は、すべて土壌含有量基準不適合であるとみなされる。
C ②内の単位区画は、すべて土壌溶出量基準及び土壌含有量基準適合であるとみなされる。
D ③内の単位区画の土壌溶出量は、すべて第二溶出量基準不適合であるとみなされる。
E ③内の単位区画の土壌含有量は、すべて土壌含有量基準不適合であるとみなされる。
(1) A、B、C
(2) A、C、D
(3) C、D
(4) C、E
(5) D、E
私はこの問題で、えつ!?土壌溶出量で5地点均等混合法って何で?となりました。
さらに法の土壌汚染状況調査って書いてあるので、チンプンカンプンでした。
しかし、土壌汚染対策法のガイドラインを読んでみると、記載されているではありませんか…。
5地点均等混合法による試料採取等の結果、土壌溶出量又は土壌含有量の一方が基準に適合しなかったときは、基準に適合しなかった項目についてのみ、30m格子内の汚染範囲確定を行えばよい。
当該汚染範囲の確定のための試料採取では、30m格子内の全ての一部対象区画(5地点均等混合法による試料採取を行った一部対象区画も含む)から土壌を採取し、混合せずに1試料ずつ個別に測定する。
30m格子内の汚染範囲確定のための調査を行った一部対象区画の土壌汚染の状態は、一部対象区画ごとの調査結果に基づいて評価する。
あまり例は多くないが、5地点均等混合法による試料採取で土壌溶出量基準に不適合であったが、個別試料で土壌溶出量を測定した結果全ての一部対象区画で土壌溶出量基準に適合したときは、土壌溶出量基準に適合と評価する。
土壌含有量についても同様に評価する。
ちょっとビックリでした。
Aの条件では、第二溶出量基準適合であると言い切れる根拠がありません。
Bの条件では、すべて土壌含有量基準適合であるとみなされます。
Cの条件では、土壌溶出量基準及び土壌含有量基準適合であるとみなされます。
Dの条件では、土壌溶出量基準適合なので二溶出量基準不適合ではありません。
Eの条件では、すべて土壌含有量基準不適合であるとみなされます
したがって、問題29の私の回答は「(4)」です。
過去問題 平成29年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 30
問題 30 法の自然由来特例の調査の結果、地点Aで土壌溶出量基準不適合及び土壌含有量基準適合、地点Bで土壌溶出量基準適合及び土壌含有量基準不適合という結果であった。
このときの単位区画C~Eの評価として下の表に掲げるもののうち、正しいものはどれか。
まず、土壌汚染対策法のガイドラインを読み込んで、以下の記載を確認しました。
二つの試料採取等区画A、Bにおいて自然由来の土壌汚染のおそれに対する土壌汚染状況調査を行ったとき、調査対象地全域を試料採取等区画A、Bの汚染状態のうち、土壌溶出量の値の大きい方及び土壌含有量の値の大きい方の汚染状態にあると評価する。
ただし、試料採取を行った単位区画Aと単位区画Bを含む30m格子内の単位区画は、それぞれ試料採取等区画A、試料採取等区画Bと同じ汚染状態にあるとみなす。
注意してください。
上述の記載は、土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第3版)の記載内容です。
実は土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)とは少し記載が異なります。
違いを図で整理してみました。
まずは、壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)の考え方です。
したがって、正解の図はこうなります。
したがって、問題30の私の回答は「(5)」です。
しかし、私の理解が正しければ土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第3版)では以下の理解になります。
したがって、正解の図がこうなります。
土壌汚染対策法の改正により解答が異なるということです。
しっかり理解しておきましょう!
なんとか、問題30まで回答することができました。
環境デューデリジェンスの基礎知識の為に、今後も残りの問題を解いていこうと思います。
もし、あなたが土壌汚染調査技術管理者試験の対策の為にこの記事を読んでいるのであれば、ズバリ!まだ、間に合います!
焦らずに、一問一問を読んで理解してみてください!頑張ってください!
この土壌汚染調査技術管理者試験には、多くの参考書が販売されています。
できることはしておきましょう!
もし、あなたが購入されるなら自分に合った参考書をちゃんと選んでください。
私は、土壌汚染問題の基礎が分かる本を買いました。
参考書では、問題の答えだけが説明されているものもあります。
しかし、それでは応用力がつきません。
他の選択肢に関しても、なぜ正解なのかを知っておくべきです。
既に上述していますが、私の個人的な見解と知識で解いていきますので、答えや答えを導く過程が間違っていたらすいません。
仮に間違っていたとしても、私は責任を取りませんのでご了承下さい(笑)。
頑張ってひとつひとつ、ダブルチェック的な観点で調べてみてください。
残りの問題は以下の記事から回答を確認できます。
【まだ間に合う!】平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の解説
最後までこの記事を読んで頂きありがとうございました。