こんなことを書いてます
平成30年度 環境省 土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の解答に挑戦 (その2)
さて、前回の平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の解答に挑戦(その1)の問題1~5に続き、問題6~10を考えていきます。
色々な問題に関して、解き方や問題に対するアプローチの方法は人それぞれです。
例えば、□+□=6の答えに1+5=6があり、2+4=6があるのと同じです。
つまり、私は答えを導き出す過程は多種多様で良いと考えています。
この記事の中の問題に対する私の答えも他の方とアプローチが異なっている可能性があります。
仮に私と読者の方の考え方が異なっていても、最終的には回答が正解であれば問題ないと思います。
あと、私の個人的な見解と知識で解いていきますので、答えや答えを導く過程が間違っていたらすいません。仮に間違っていたとしても、私は責任を取りませんのでご了承下さい(笑)。
この記事は、あくまでも M&A 環境デューデリジェンス(環境DD)や土壌汚染調査の基礎的な知識を習得するための勉強です。
さらに問題に対して私の知識が足りていない場合は、知り合いの環境コンサルタントに少しヒントをもらって問題を解くようにしています。
では、問題6からです。いざ、合格率 約10%への挑戦です。
試験について詳細を知りたい読者の方は、以下を環境省のウェブサイトを参照してください。
過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 6
問題 6 工場において法の特定有害物質による汚染のおそれを推定するために聴取調査を行った。
聴取調査の結果とその結果から推定される汚染のおそれのある特定有害物質のうち、もっとも不適当なものの組み合わせはどれか。
この問題に関しても、分らないことだらけなので色々と調べてみました。
1の記述に関しては、塩化ビニル配水管の押出し成形ということです。
経験上、多くの押出し成形は産業用ロボットが作業をしているイメージです。
素材を圧縮して金型から押出し、必要な形状を形成するという作業ですので、問題に記載されている限られた情報を考慮してもクロロエチレンはこの作業にマッチしないというのが私の見解です。
したがって、私の見解では、回答が「(1)」になりました。
残りの記述も念のため、確認していきます。
2の記述に関して、私が調べたところ、テトラクロロエチレン(別名:パークレン)は1980年代から環境問題となり、その後、ドライクリーニングの溶剤、工場等での脱脂洗浄剤としての利用は減少しているそうです。
ここで注意すべき点は、テトラクロロエチレンの使用は規制されていますが、禁止されているわけではないということです。
ただ、この記述の趣旨からすると、1980年代というタイミングと問題に記載されている限られた情報では、テトラクロロエチレンの環境リスクの可能性を否定することはできないですよね。
3の記述に関して、私はアマルガムなんて知りませんでした。
読者の方は、ご存知でしたか?
関係ない話ですが、アマガエルみたいな物質ですよね(笑)。
調べてみると水銀と他の金属との合金でした。
一般的には、虫歯の詰め物に使用されているそうです。
原材料が水銀という点と限られた情報を考慮すると、水銀の環境リスクの可能性を否定することはできません。
4の記述のクレー射撃に関連するものと鉛の結びつきに関しては、昔から知っていました。
5の記述の感光体といえば、セレンと砒素ですよね。この記述に関しても私は知っていました。
過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 7
問題 7 法の有害物質使用特定施設の使用が廃止された土地について、土地の利用予定として次に掲げるもののうち、都道府県知事の確認による調査義務の一時的免除を受けられないものはどれか。
⑴ クリーニング工場を廃止して、借地契約を結び日帰り温泉施設が新設される場合
⑵ めっき工場を廃止して土地を売却し、クリーニング工場が新設される場合
⑶ めっき工場の有害物質使用特定施設を廃止し、引き続き残った建屋を倉庫として事業を継続する場合
⑷ 大学が敷地内の有害物質使用特定施設を廃止し、引き続き大学の敷地として利用する場合
⑸ オフィス商業複合ビルの 3 階に入居していた試験研究機関が有害物質使用特定施設を廃止し、ビルから移転した場合。なお、ビルは存続している。
この問題は、(1)の記載内容を読んで、これは一時的な免状を受けることができないと直感で思いました。
なんたって、日帰り温泉施設ですからね。土地使用が大きく変更されていことになります。
そんな場所に潜在的な汚染が存在する可能性を放置できるはずがありません。
したがって、私の見解では、回答が「(1)」になります。
ただし、念の為、詳細を土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)(土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドライン)で確認しました。
2は土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインの具体的な以下の例に該当します。
ただし、クリーニング工場に一般人の人が立ち入れないということが想定条件です。
A工場が工場を廃止して土地を売却し、当該土地にB工場が新設される場合(B工場の敷地に一般の人が立ち入ることができない場合に限る。)
3は土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインの具体的な以下の例に該当します。
A工場が有害物質使用特定施設を廃止し、引き続き当該土地の敷地全体が一般の人が立ち入れないかたちでA工場として使用される場合
4は土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインの具体的な以下の例に該当します。
A大学(注:大学の敷地は一般の人が立ち入る。)が有害物質使用特定施設を廃止し、引き続きA大学の敷地として使用される場合
5は土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインの具体的な以下の例に該当します。
オフィスビル(注:オフィスビルは一般の人が立ち入る。)の一角に入居していたA研究所がビルから退出する場合(オフィスビル全体を「事業場」とみなし、その建替えの際に土壌汚染状況調査を行う。)
過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 8
問題 8 法の土壌汚染のおそれの把握(地歴調査)において、入手・把握すべき情報に関する次の記述のうち、もっとも適当なものはどれか。
⑴ 調査実施者は調査時点から 50 年前までを目途に遡って情報の入手・把握を行う。それ以前に工場又は事業場として利用されていた場合は、工場又は事業場が開設された時期まで可能な限り遡る。
⑵ 特定施設の設置届、変更届は公的届出資料であるが、届出先の行政庁以外にも特定施設の設置者が副本や写しを保管しているので、廃止しようとする特定施設の設置届、変更届については、土地の所有者等から入手することもできる。
⑶ 土地の登記簿(登記事項証明書)は土地の所有者しか法務局に請求できないため、土地の所有者に入手を依頼する。
⑷ 地図類や書籍類は一般公開資料であり、地歴調査の資料としての利用において著作権を侵害することはない。
⑸ 安全データシート(SDS)は製造・販売業者が化学物質及び化学物質を含んだ製品を他の事業者に譲渡・提供する際に交付する文書で、原則再発行されないため入手困難である。
この問題も土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインを読みながら調べてみました。
1に関して、調査を遡る期間は1945年頃を目処にするそうです。1945年といえば、第二次世界大戦(太平洋戦争)後ですね。
おそらく、当時から米軍が空中写真をなどを用いて日本列島を記録していたからだと推定しています。あと、戦時中の資料は残っていないということも影響していると考えられます。
2に関しては、当たり前のことが当たり前に書かれていると思います。
3に関しては、土地の所有者以外の第三者でも登記簿(登記事項証明書)の入手が法務局で可能です。
4の著作権は普通に考えて適用されますよね。ケースによっては、商用利用が認められる場合もあると思いますが、法律に基づく調査だからといって、著作権を無視することはできません。
5に関して、私の感覚では、安全データシート(SDS)の入手は困難ではありません。インターネットでも検索すれば入手できる可能性があります。
過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 9
問題 9 法の土壌汚染のおそれの把握(地歴調査)において、以下のとおり化学薬品の使用状況等の情報を入手・把握し、この情報をもとに試料採取等対象物質を特定した。試料採取等対象物質として次に掲げるもののうち、もっとも適当なものはどれか。
〈入手・把握した情報の内容〉
調査対象地は事業場の敷地全体であり、有害物質使用特定施設が設置されており、ジクロロメタンを使用していた。製品検査室では過マンガン酸カリウム、ふっ酸、二クロム酸カリウムを使用していた。1980 年代に燃料用の給油所と地下タンクが設置されており、レギュラーガソリンを取り扱っていた。
⑴ ジクロロメタン、ベンゼン、鉛及びその化合物
⑵ ジクロロメタン、マンガン、ベンゼン
⑶ ジクロロメタン、ふっ素及びその化合物、ベンゼン
⑷ ジクロロメタン、ふっ素及びその化合物、六価クロム化合物、ベンゼン
⑸ ジクロロメタン、ふっ素及びその化合物、六価クロム化合物、ベンゼン、鉛及びその化合物
この問題を整理していくと、以下の物質が使用されていたことになります。
・ジクロロメタン
・過マンガン酸カリウム
・ふっ酸
・二クロム酸カリウム
・1980 年代のレギュラーガソリン
ジクロロメタンは特定有害物質ですので、資料採取等対象物質になります。
過マンガン酸カリウム、ふっ酸、二クロム酸カリウムは、いずれも土壌汚染対策法で定められている特定有害物質ではないですが、各々の安全データシート(SDS)を確認してみました。
私がインターネットで確認した過マンガン酸カリウムのSDSの適用法令には、土壌汚染対策法の記載はありませんでした。
私がインターネットで確認したふっ酸のSDSの適用法令には、土壌汚染対策法の記載がありました。ふっ素及びその化合物に該当します。
私がインターネットで確認した二クロム酸カリウムのSDSの適用法令には、土壌汚染対策法の記載がありました。六価クロム化合物に該当します。
あとは、1980 年代に燃料用の給油所と地下タンクに関してですが、この点に関しては以下の記事を参照ください。有鉛ガソリンの年代のことも記載しています。
つまり、私の見解では、回答が「(4)」になります。
過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 10
問題10 法の土壌汚染のおそれの把握(地歴調査)における聴取調査と現地調査に関する次の記述のうち、もっとも不適当なものはどれか。
⑴ 聴取調査の相手として、特定有害物質を使用する工程の現場責任者、環境管理担当者、化学物質管理担当者等、特定有害物質の取り扱いや廃棄物の管理に詳しい者を選ぶ。
⑵ 聴取調査の結果を記録簿に整理し、相手方にも内容の確認を取ることが望ましい。
⑶ 現地調査の結果、資料調査で確認されている敷地の境界や敷地形状と実状が整合しない場合は、土地の所有者等と協議の上、調査対象地の範囲を確認し、必要に応じて敷地の測量を行う。
⑷ 現地調査で、特定有害物質の取り扱いが不適切なため地下へ浸透した可能性があると認められるときは、その土地を土壌汚染のおそれが比較的多いと認められる土地に区分する。
⑸ 現地調査は調査対象地の建物・施設の状況や、特定有害物質の取り扱い状況等を確認するために行うもので、閉鎖された工場や事業場の土地である場合は、実施しなくてよい。
回答記述を上から読んでいくと(1)と(2)と(3)と(4)はその通りだという印象でした。
ということは、私の回答は「(5)」になるわけですが、(5)も念の為に確認です。
「いやいや、現地調査は稼働中の工場でも閉鎖された工場でも実施しないといけません。」
この問題は、ラッキー問題ですね。
なんとか、問題10まで回答することができました。
環境デューデリジェンスの基礎知識の為に、今後も残りの問題を解いていこうと思います。
一方でこの土壌汚染調査技術管理者試験には、多くの参考書が販売されています。
もし、読者の方が購入されるなら自分に合った参考書をちゃんと選んでください。
私は、土壌汚染問題の基礎が分かる本を買いました。
参考書では、問題の答えだけが説明されているものもあります。しかし、それでは応用力がつきません。他の選択肢に関しても、なぜ正解なのかを知っておくべきです。
あと、既に上述していますが、私の個人的な見解と知識で解いていきますので、答えや答えを導く過程が間違っていたらすいません。
仮に間違っていたとしても、私は責任を取りませんのでご了承下さい(笑)。
頑張ってひとつひとつ、ダブルチェック的な観点で調べてみてください。
最後までこの記事を読んで頂きありがとうございました。