土壌汚染調査技術管理者試験

平成30年度 環境省 土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の解答に挑戦 (その5)

平成30年度 環境省 土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の解答に挑戦 (その5)

 

さて、この記事では問題 21~25を解いていきます。

前回の記事でも書いていますが、色々な問題に関して、解き方や問題に対するアプローチの方法は人それぞれです。

□+□=12の答えに6+6=12があり、10+2=12があるのと同じです。

 

つまり、私は答えを導き出す過程は多種多様で良いと考えています。

 

この記事の中の問題に対する私の答えも他の方とアプローチが異なっている可能性があります。仮に私と読者の方の考え方が異なっていても、最終的には回答が正解であれば問題ないと思います。

あと、私の個人的な見解と知識で解いていきますので、答えや答えを導く過程が間違っていたらすいません。仮に間違っていたとしても、私は責任を取りませんのでご了承下さい。

 

この記事は、あくまでも M&A 環境デューデリジェンス(環境DD)や土壌汚染調査の基礎的な知識を習得するための勉強です。

さらに問題に対して私の知識が足りていない場合は、知り合いの環境コンサルタントに少しヒントをもらって問題を解くようにしています。

では、問題21からです。いざ、合格率 約10%の壁への挑戦です。

 

もしかしたら、合格率が10%の壁なんて壊して突破できないと考えている方がいるかもしれません。

私も問題を解きながら、調べることが多々あるので本当に難しい試験だと実感しています。

ただ、次の1回のチャレンジでその大きな壁が共鳴するように崩れる可能性があるかもしれません。

 

試験について詳細を知りたい読者の方は、以下を環境省のウェブサイトを参照してください。

環境省 土壌汚染調査技術管理者試験について

 

 

茶ポール
茶ポール
やっと21問目ですか….。
のみエコ
のみエコ
そうです。地道に1問1問解いていると、かなりの時間が必要になりますね。
茶ポール
茶ポール
ここは我慢やな。てか、あと何問あるねん?
のみエコ
のみエコ
です、です。調査の問題は、35問までです。

 

過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 21

 

問題21 法の土壌汚染状況調査において土壌ガスが採取できない場合の地下水調査に関する次のA~Dの記述のうち、適当なものの組み合わせはどれか。

 

A 地下水試料採取時に十分な水量が確保できなかったので、5mまで掘り増しした。

B 試料採取孔設置後、すみやかに地下水を採取するため、パージは行わなかった。

C 採取した地下水はガラス容器に入れ、保冷剤を入れたクーラーボックスに入れて運搬した。

D 採取した地下水に著しい濁りがみられたので、試料を孔径 0.45 nm のメンブランフィルターでろ過して検液とした。

 

(1) A、B

(2) A、D

(3) B、C

(4) B、D

(5) C、D

 

この問題も例外なく、土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインで確認です。

Aの記載に関して、土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインは以下の記載がありました。5mまで掘るのは掘り過ぎですね。

 

地下水の試料採取深度は、土壌ガスと同じく地表から概ね 0.8~1.0mとするが、十分に水深が確保できず、採水が困難な場合は、最大2m程度まで掘り増しすることとする。

 

Bの記載に関して、土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインは以下の記載がありました。通常の地下水の採取とは異なりますね。

 

試料採取孔設置後、速やかに地下水を採取するため、パージは原則不要である。

 

Cの記載に関して、土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインは以下の記載がありました。

 

試料容器は、JIS K 0094 の試料容器及び洗浄に準拠した容器を使用することとし、地点名(区画名)、採水日時を記入する。

採取試料の運搬や保管は、0~4℃の冷暗所で保管することを基本とし、保冷箱や保冷剤等を利用して採取試料の運搬や保管を行う。

 

Dの記載に関して、土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインは以下の記載がありました。第一種特定有害物質が対象なので、メンブランフィルターは必要ありません。

 

採取した地下水試料に濁りが認められる場合には、調査対象物質が第二種特定有害物質又は第三種特定有害物質の場合に限り、試料を 10分から 30分程度静置した後の上澄み液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターでろ過してろ液を取り、これを検液とする。

 

つまり、私の見解ですとBとCが正しいので回答「(3)」です。

 

過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 22

 

問題 22 法の適用外となる岩盤に関する次の記述のうち、もっとも適当なものはどれか。

 

⑴ 造成地において 3,000 m2 以上の土地の形質の変更を予定しているが、過去に造成に使われた材料は法の適用外となる岩盤を掘削したものであったことから、現状は土壌化していたとしても法第4条の土地の形質の変更の届出の必要はない。

 

⑵ 隣接する単位区画ではいずれも深度 9 m から安山岩で構成された基盤が出現していた。ボーリング調査において、深度 2 m から 50 cm 連続して安山岩が確認されたので、 2 m 以深を岩盤と判断した。

 

⑶ ボーリング調査時に深度 5.5 m から花崗岩が出現したが、土壌採取用のボーリングマシンで掘削していたため、花崗岩の厚さが 50 cm 以上であることを確認するまで掘削できなかった。

この場合、実際の地質を確認していないため、既往のボーリング柱状図と併せて岩盤と判断することは認められない。

 

⑷ 調査対象地の地盤について、原位置において指圧程度で土粒子に分離できる状態であったが、既往のボーリング柱状図には風化岩と記載されていたことから、法の適用外となる岩盤と判断した。

 

⑸ マグマ等が固結した火成岩、堆積物が固結した堆積岩、及びこれらの岩石が応力や熱により再固結した変成岩で構成された地盤は、岩盤とみなされるため法の適用外となる。

 

まず、法の適用外となる岩盤となる岩盤を土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインで調べてみました。調べてみたところ、このような記載がありました。

 

土壌汚染対策法の適用外となる岩盤の定義

マグマ等が直接固結した火成岩、堆積物が固結した堆積岩及びこれらの岩石が応力や熱により再固結した変成岩で構成された地盤は、岩盤とみなされ土壌汚染対策法の適用外とする。

ここで、固結した状態とは、原位置において指圧程度で土粒子に分離できない状態をいう

 

したがって、私の見解では回答は「(5)」になります。

 

では、(1)~(4)のケースだと何故、ダメなのでしょうか?

土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインに以下の記載がありました。

 

岩盤を掘削した材料を用いて造成された土地において、新たに法第3条や法第4条による調査義務が生じた場合、その時点で材料が細粒化や泥濘化している状態であるときは法の対象となる土壌として扱われることになる。

地下に存在する岩盤については、土壌汚染調査を目的としたボーリングでは、難透水性の地層のように厚さ 50 cmの確認ができない場合がある。このような場合は、可能な範囲で岩盤試料を採取するとともに、既往の公表された地質資料(地質図・地盤図やボーリング柱状図など)と併せて判断するものとし、その結果を報告書に記載する。なお、巨礫を岩盤と誤る場合もあることから、岩盤の判断については、注意が必要である。

岩盤の表層部は、風化作用により軟質化や細粒化している場合がある。この風化部の扱いについては、風化の深度(厚さ)や性状が岩種・地形・気候等により異なることから、個々の事例において適切に対応することが望ましい。

 

やはり、回答は(5)ですね。

 

過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 23

 

問題23 法の自然由来特例の調査の試料採取位置を示した次の図のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

なお、A~Cについては自然由来による基準不適合のおそれがある地層の位置はわかっているが、DとEについては不明である。

 

(1) A、D

(2) A、E

(3) B、D

(4) B、E

(5) C、E

過去問題 平成30年 土壌汚染調査技術管理者試験 問題23

 

土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインに以下の記載がありました。

 

試料採取等区画の中心において基準不適合土壌が存在するおそれが多いと認められる地層の位置が明らかでない場合は次に掲げる土壌を採取する。

①表層の土壌及び深さ5~50 cm までの土壌

このとき、表層の土壌と深さ5~50 cm までの土壌を同じ重量混合する

②深さ1mから10mまでの1mごとの土壌

 

この上述の記載は、Dに該当しますね。

 

試料採取等区画の中心において基準不適合土壌が存在するおそれが多いと認められる地層の位置が明らかである場合は、上記①又は②の土壌のうち、当該地層内にある土壌を採取する。

 

①又は②の土壌が当該地層内に採取する土壌がない場合にあっては、当該地層内の任意の位置の土壌を採取する。

 

この上述の記述は、Bに該当しますね。したがって、ACは正しくないという見解になります。

Aは自然由来汚染がある地層以外の土壌を採取する図になっていますよね。

 

地表面が舗装されている場合は、土壌汚染のおそれが多いと認められる地層(以下「自然由来の汚染がある地層」という。)の位置が不明な場合、明らかな場合とも、舗装や砕石を取り除いた土壌の表面を基準に深度を設定する。

 

この上述の記述もDに関することが言えるので、Eは正しくないということになります。

私の見解では、回答が「(3)」になります。

 

過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 24

 

問題24 下の図は、トリクロロエチレンを使用していた有害物質使用特定施設が廃止されたことにより法第 3 条調査の対象となった土地における施設配置を示している。

この土地についての土壌汚染状況調査における全部対象区画を評価するための試料採取地点及び一部対象区画を評価するための試料採取地点を示した次の図のうち、正しいものはどれか。

過去問題 平成30年 土壌汚染調査技術管理者試験 問題24-1

 

トリクロロエチレンは第一種特定有害物質なので、土壌ガス調査を実施することになります。

まずは、土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインを読みながら、土壌汚染のおそれの区分を調べてみました。

土壌汚染のおそれの区分に関しては、以下の記載がありました。

 

土壌汚染が存在するおそれがないと認められる土地

特定有害物質又は特定有害物質を含む固体若しくは液体の埋設等を行っていた土地や、その使用等又は貯蔵等を行っていた施設の敷地からその用途が全く独立している状態が継続している土地を指す。

土地の用途としては、従業員の福利厚生目的等事業目的の達成以外のために利用している土地である。

具体的には、調査対象地の履歴を可能な限り過去に遡った結果、当初から、専ら次のような用途のみに利用されていた土地が該当する。

 

・ 山林、緩衝緑地、従業員用の居住施設や駐車場、グラウンド、体育館、未利用 地等

土壌汚染が存在するおそれが少ないと認められる土地

直接に特定有害物質又は特定有害物質を含む固体若しくは液体の使用等又貯蔵等を行っていた施設の敷地ではないが、当該敷地から、その用途が全く独立しているとはいえない土地を指す。

土地の用途としては、事業目的の達成のために利用している土地であって、特定有害物質又は特定有害物質を含む固体若しくは液体の埋設等、使用等又は貯蔵等を行う施設の敷地以外の土地である。

具体的には、当該施設の設置時から、専ら次のような用途のみに利用されていた土地で、直接に特定有害物質の埋設等、使用等又は貯蔵等をしていない土地が該当すると考えられる。

 

・ 事務所(就業中の従業員が出入りできるものに限る。)、作業場、資材置き場、倉庫、従業員用・作業車用通路、事業用の駐車場、中庭等の空き地(就業中の従業員が出入りできるものに限る。)、複数の工場棟を有する場合において有害物質使用特定施設と一連の生産プロセスを構成していない工場棟の敷地等

土壌汚染が存在するおそれが比較的多いと認められる土地

・ 特定有害物質又は特定有害物質を含む固体若しくは液体の埋設等が行われた土地

・ 特定有害物質又は特定有害物質を含む固体若しくは液体の使用等又は貯蔵等を行っていた施設の敷地

・ 上記の施設を設置している土地、当該施設と繋がっている配管、当該施設と配管で繋がっている施設及びその建物、当該施設及びその関連施設の配水管及び排水処理施設

 

さらに問題の図を各おそれの区分で色分けしてみました。

 

土壌汚染が存在するおそれがないと認められる土地が青色です。

土壌汚染が存在するおそれが少ないと認められる土地が黄色です。

土壌汚染が存在するおそれが比較的多いと認められる土地が赤色です。

過去問題 平成30年 土壌汚染調査技術管理者試験 問題24-2

 

ここで土壌ガス調査に関する試料採取等の概要を土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインで調べて、整理してみました。

ついでに図に試料採取地点を記載してみました。

 

土壌汚染が存在するおそれが比較的多いと認められる土地:全部対象区画内の1地点

土壌汚染が存在するおそれが少ないと認められる土地:30m格子内の1地点

土壌汚染が存在するおそれがないと認められる土地:必要なし

 

過去問題 平成30年 土壌汚染調査技術管理者試験 問題24-3

 

トリッキーだったのは、緑のハンマードリルの地点です。

土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインに以下の記載がありました。

 

試料採取地点は単位区画内に土壌汚染が存在するおそれが多いと認められる部分がある場合は、その部分における任意の地点とし、それ以外の場合は試料採取等区画の中心とする。

 

一部対象区画は「土壌汚染の存在するおそれが多い部分(土地)」が単位区画内に存在しないので、試料採取等区画の中心を試料採取地点とする。

 

ただし、一部対象区画を含む 30m格子の中心を含む単位区画が全部対象区画である場合は、全部対象区画の試料採取地点をもって 30m格子の試料採取地点とすることができることとする。

 

図のとおり、私の見解では回答は「(2)」です。

 

過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 25

 

問題25 法の水面埋立地特例の調査に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 

⑴ 第一種特定有害物質に対しては、土壌ガス調査又はボーリング調査を行う必要がある。

 

⑵ 第二種特定有害物質に対しては、表層から深さ 50 cm までの土壌の調査又はボーリング調査を行う必要がある。

 

⑶ 第一種特定有害物質に対するボーリング調査の試料採取深度は、表層、深さ 1 m から10 m までの 1 m ごと(帯水層の底面より深い部分は除く。)とする必要がある。

 

⑷ 第二種特定有害物質に対するボーリング調査の試料採取深度は、表層、深さ 50 cm、深さ 1 m から 10 m までの 1 m ごと(帯水層の底面より深い部分は除く。)とする必要がある。

 

(5) 第三種特定有害物質に対するボーリング調査の試料採取深度は、水面埋立て用材料の上端から、表層、深さ 1 m から 10 m までの 1 m ごと(帯水層の底面より深い部分は除く。)とする必要がある。

 

正直なところ、水面埋立地特例の調査はチンプンカンプンです。

なので、毎度毎度ですが土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインで調べてみました。

そして、以下の記載を確認しました。

 

第一種特定有害物質の試料採取深度

①表層の土壌

②深さ1mから 10mまでの1mごとの土壌。ただし、地表から深さ 10m以内に帯水層の底面がある場合における当該底面よりも深い部分の土壌を除く。

③地表から深さ 10m以内に帯水層の底面が存在する場合は、その底面の土壌

第二種特定有害物質及び第三種特定有害物質の試料採取深度

①表層の土壌及び深さ5~50 cm までの土壌  表層の土壌及び深さ5~50 cm の土壌を同じ重量混合すること

②深さ1~10mまでの1mごとの土壌。ただし、地表から深さ 10m以内に帯水層の底面がある場合における当該底面よりも深い部分の土壌を除く。

③地表から深さ 10m以内に帯水層の底面が存在する場合は、その底面の土壌

 

記載内容をよく読んでみると、回答がみえてきました。

私の見解では、回答が「(3)」になります。

 

 

やはり5問解くだけでも、時間がかかりますね。

本番の試験の際は、頭をフルに活用する必要がありますね。

 

一方でこの土壌汚染調査技術管理者試験には、多くの参考書が販売されています。

 

もし、読者の方が購入されるなら自分に合った参考書をちゃんと選んでください。

私は、土壌汚染問題の基礎が分かる本を買いました。

参考書では、問題の答えだけが説明されているものもあります。しかし、それでは応用力がつきません。他の選択肢に関しても、なぜ正解なのかを知っておくべきです。

 

あと、既に上述していますが、私の個人的な見解と知識で解いていきますので、答えや答えを導く過程が間違っていたらすいません。

仮に間違っていたとしても、私は責任を取りませんのでご了承下さい(笑)。

頑張ってひとつひとつ、ダブルチェック的な観点で調べてみてください。

 

 

最後まで一緒に問題の回答を考えて頂き有難う御座いました。

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