こんなことを書いてます
環境デューデリジェンス(環境DD)とは?
突然ですが、読者のみなさん(あなた)に質問です。
デューデリジェンスってご存知ですか?
環境デューデリジェンスの基礎を学んでいく前に、あなたがデューデリジェンス(Due diligence)って何?となっている可能性もあるので、私のデューデリジェンスの解釈をこの記事では図などを含めて説明していきます。
もし、あなたが「デューデリジェンスの意味とか知らないよ!」とか「デューデリジェンスって英語?フランス語?それって美味しいの?」となっていても、安心してください。
デューデリジェンスを知らなければ「環境デューデリジェンスの専門サイト」で学びの最初の一歩が踏み出せなくなるという訳ではありません。
知っていれば、なお良いというレベルです。
なぜなら、私も正確なデューデリジェンスの意味を深く理解していません(笑)。
でも、安心して下さい。
このサイトの記事を読んでもらえれば次第に環境デューデリジェンスの概要が理解できると思います。
デューデリジェンス(DD)とは?
私の経験上、M&A案件で使用されるデューデリジェンスという言葉のニュアンスは、買収を検討している企業と売却を検討している企業の売買交渉時に生じる情報格差を解消する為の調査です。
うん?どういう意味?となると思います。
上記のような説明を、誰かにしても1回で理解してくれる方は少ないです…。
したがって、毎回、毎回、誰かに説明をしては、その都度、相手の頭の上の❓マークを見てきたので、近頃では環境デューデリジェンスの業務内容を説明する時に「信用調査」という言葉を使用するようになりました。
信用調査:企業と企業が取引する際に、取引相手のことを知るために行う調査です。
私の考えとしては、デューデリジェンスはこの信用調査に近いものがあります。
どうですか?
あなたは、なんとなくM&Aで行われるデューデリジェンスのイメージができそうですか?
M&A取引の言葉を用いて整理してみると、「売却を検討している企業が開示する情報」と「買収を検討している企業が事前に知っておきたい情報」に嘘偽りや著しい乖離がないかを確認するということです。
他の例で表現すると….例えば、今、あなたは購入したいドライヤーがあるとします。
あなたはそのドライヤーを購入する前に本当に良い製品なのかをアマゾンのレビューを見たり、同じドライヤーを持っている知人に話を聞いてみたり、大型家電量販店に行って実物のドライヤーを手に取ってみたりされると思います。
まさにこの行動がデューデリジェンスではないかと私は考えています。
本当に金額相応に価値がある評判通りの良いものなのか、CMで華やかに表現されている情報や口コミに嘘偽りがないかを確認してから購入する。
つまり、売り手と買い手の情報格差を解消するという行動です。
M&A案件のデューデリジェンスは、先ほどの例の「モノ」の対象が「ドライヤー」から「企業や土地や工場など」に代わったものと理解してください。
あと、これだけは忘れないでください。
この「環境デューデリジェンスの専門サイト」では、海外又は国内M&A案件のデューデリジェンスの1つである環境面に特化した環境デューデリジェンスのことを書いていきます。
その他の専門DDに関しての記載はございません。
ただ、さすがにDDに関連する専門用語のいくつかを知っておく必要があります。
例えば、FA。
Financial Adviser(ファイナンシャルアドバイザー)のこです。
以下の記事を参照ください。

デューデリジェンスのトピックと各DD専門アドバイザーとは?
企業や工場が売買対象とされるM&A案件では、以下の図のようにデューデリジェンスにおいて、いくつかのトピックに関する情報が売り手企業から買い手企業に開示されます。
基本的に買い手企業は、各DD専門アドバイザーを雇い、売り手企業により開示された情報を徹底的に精査します。
代表的なDDの対象となるトピックは以下のとおりです。
- 🔹 財務
- 🔹 ビジネス
- 🔹 法務
- 🔹 税務
- 🔹 環境
- 🔹 人事 など
整理してみると以下のような図になりました

そして、各DD専門アドバイザーが売り手企業自体や売り手企業が所有する工場などに対してDDを実施することにより、売り手企業から提供された開示情報だけでは見えなかった売り手企業の情報や事実を確認していきます。
実際のデューデリジェンスはかなりシビアな業務ですが、この専門サイトではあなたとのイメージの共有が重要だと考えていますので、以下のように図で整理しています

上の図では、提供された開示情報だけでは見えなかった売り手企業の情報や事実を各DD専門アドバイザーが発見しています。
この発見事項の質やその重要性によっては、M&A取引が不成立となることもあります。
上の図のケースでは、深刻な土壌汚染問題、不正な財務処理履歴、主要な取引先とのトラブルなどの情報や事実がDDによって明確にされていることから、基本的には買い手企業は一旦、立ち止まってM&A取引の進め方を検討します。
つまり、デューデリジェンスの結果はM&A取引の最終決定に大きな影響を与えるということです。

No Goのパターン(M&A取引を進めないという判断)を事例として説明しましたが、売り手企業の経営状況や操業状況などに著しい懸念事項がなかったという結果も立派なデューデリジェンスの結果であり、成果です。
先ほどからDD専門アドバイザーという単語を使用していますが、M&A取引のトピックに応じて各専門のアドバイザーがいます。
例えば、法務関係の専門アドバイザーは弁護士さんです。
環境デューデリジェンスの専門アドバイザーは、私の経験上、環境コンサルタント会社のコンサルタントや技術者です。
つまり、環境デューデリジェンス(環境DD)はいくつかある専門DDの分野の1つであるということです。
これも私の経験の話になってしまうのですが、環境デューデリジェンスは法務デューデリジェンス、不動産デューデリジェンスと業務内容を重複することがあります。
したがって、DD期間中に各DD専門アドバイザーが連携を取って、発見事項の詳細を明確にしていくということもあります。

環境デューデリジェンス(環境DD)とは? – 基本編 –
ここで1つ、私からの質問です。
「あなたはどのタイミングで環境デューデリジェンス(環境DD又はEDD)という言葉を知りましたか?」
- 🔸日本経済新聞の記事の中ですか?
- 🔸インターネットの記事の中ですか?
- 🔸専門書の中ですか?
- 🔸環境DD業務に携わるようになってからですか?
日本国内において環境デューデリジェンスの知名度はまだまだ低く、多くの人が社会人になってから1度聞くか否かの単語だと思います。
一方で、M&A業界などによってはビジネス会議などにおいて頻繁的に飛び交う言葉でもあります。
つまり、一定の業界やビジネス層の専門用語という認識で問題はありません。
例えば、あなたが社会人であれば、属されている業界の専門用語があると思います。
あなたが学生であれば、研究分野や専攻分野に専門用語あると思います。
それと同等の単語だと理解してください。
週刊誌業界なら、「〆(しめ)」や「飛び込み」といった専門用語です。
土壌汚染業界なら「地歴調査」や「TPH」といった言葉と専門性は同じです。
つまり、専門用語=専門的な知識が必要という先入観を取り除いてください。
環境デューデリジェンスの業務は、業務内容をある程度の時間をかけて理解してしまえば、それほど困難な業務ではありません。
ただし一方で、経験が必要であるということも事実です。
しかし、よく考えてみて下さい。
何か新しい事を始める時に、誰にだって最初の一歩があります。
100歩飛ばしはありえません。このことも事実です。
もしかすると、あなたが専門性という観点で、環境デューデリジェンス業務を実施するのに資格がいるのではないかと思っているかもしれません。
したがって、ここで資格について書いてみます。
まずは、環境デューデリジェンスの評価などを実施する者、つまりは環境コンサルタント会社などの環境コンサルタントや技術者のことを書きます。
環境コンサルタント会社などの環境コンサルタントや技術者は、環境デューデリジェンスの業務仕様が法律(例えば、土壌汚染対策法)の要求事項に沿うものであったり、一定条件のもとで規格(ASTMなど)に準拠したものであった場合、その評価の過程においてプロフェッショナルジャッジメント (専門的な判断) を行うことから資格を有しなければいけないケースがあります。
日本国内であれば土壌汚染調査技術管理者、海外であればEnvironmental Professional (EP)です。
ただし、法律の要求事項に沿うような環境デューデリジェンスは、私の経験上、数が多くありません。
多くの環境デューデリジェンスは自主的な位置づけです。
つまり、一般的な環境デューデリジェンス業務を実施するために資格は必要ありません。
もちろん、環境コンサルタント会社へ環境デューデリジェンス業務を発注する企業の環境担当者も資格等は必要ありません。
環境デューデリジェンス(環境DD)とは? – 詳細編 –
上述の通り、デューデリジェンスとは、買収を検討している企業と売却を検討している企業の売買交渉時に生じる情報格差を解消する為の調査です。
この「情報格差」の情報の部分が環境のデューデリジェンス = 環境デューデリジェンスです。
環境デューデリジェンスとは、M&A案件において売却を検討している企業(売り手企業)が保有する土地や工場の汚染状況などに関して、買収を検討している企業(買い手企業)がデューデリジェンス期間内に、土壌汚染等の環境面に関する潜在的な懸念事項の有無を把握する為の調査です。
基本的にこの「環境デューデリジェンスの専門サイト」では、買い手企業が行う環境デューデリジェンスについて書いていきますが、他にも売り手企業がM&A取引前に行うSeller’s 環境デューデリジェンスがあります。
環境DDの種類に関しては、別の記事で紹介する予定です。
次に環境DDで調査される主な項目を紹介します。
🔹既存 (過去) の土壌・地下水汚染の状況
🔹潜在的な土壌・地下水汚染の有無
🔹処分が必要なPCBやアスベスト材の有無
🔹環境法及び労働安全衛生法の法令違反 など
私の経験上、一般的な環境デューデリジェンスでは企業の買収判断に影響を与える可能性が高い (つまりは、M&A取引完了後の企業のビジネスリスクとなる可能性が高い) 土壌・地下水汚染のリスクの有無の把握が重要視されます。
例えば、「既存 (過去) の土壌・地下水汚染の状況」や「潜在的な土壌・地下水汚染の有無」の項目では、M&A取引のクロージング後に土壌汚染問題が表面化した場合、土壌・地下水汚染の浄化費用は高額なケースが多いことから企業経営の圧迫などの重大な問題に発展することがあります。
企業経営の圧迫は、株主の訴訟問題まで発展するケースもあります。
また、敷地外への地下水汚染の流出などにより周辺住民からの訴訟問題や企業の風評被害に発展するケースもあります。
土壌汚染問題に関しては、多くの書籍があります。是非、一度手にとってみてください。
「環境法及び労働安全衛生法の法令違反」の項目では、M&A取引のクロージング後に重大な法令違反が発覚した場合、行政命令により工場などの操業が停止になる可能性があります。
いずれの項目も、リスクの把握という観点で重要であることが理解できると思います。
つまり、ここも私の経験の話になりますが、環境デューデリジェンスは以下の条件に基づいてM&A取引におけるデューデリジェンス期間に他の財務DDや法務DD、ビジネスDDなどと同様に実施される傾向にあります。
- 🔸M&A取引の対象企業(売り手企業)が化学物質や油類のような有害物質を取り扱う産業に該当する場合
- 🔸初期的なスクリーニングにおいて土壌汚染等の発生リスクが高いと判断される場合
- 🔸対象企業(売り手企業)の土地が歴史的な土壌汚染の履歴を有する可能性が高い場合
上の箇条書きの内容を図に整理すると以下のとおりです

以下の記事が環境DDについて追加の知識を得るには最適です。

他にも環境デューデリジェンスを知るための情報はこのサイトにたくさん投稿されています。是非、参考にしてみてください。
また、土壌汚染に関しては、多くの参考書が販売されています。
もし、読者の方が購入されるなら自分に合った参考書をちゃんと選んでください。
私は、土壌汚染問題の基礎が分かる本を買いました。
さて、私は小説を寝る前に本としてゆっくり読みたいタイプの人間ですが、勉強で読む本や参考書はスマートフォンやタブレットで通勤中にAmazon Kindleで読み込むタイプです。
以下の本を何回も参考書のように読んでいます。
そして、最近は通勤中や散歩中にAmazon Audibleで本を聞いています。
もちろん、自分の知識になりそうな本です。
今聞いているのは、バリュエーションの教科書:企業価値・M&Aの本質と実務です。
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もしかしたら、あなたが読んでみたい本があるかもしれません。
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最後まで長文を読んで頂き有難う御座いました!