こんなことを書いてます
環境デューデリジェンスのプロポーザル作成時の確認事項
この記事では、主に環境デューデリジェンスのプロポーザルを作成する際に必要な確認事項を書いていきます。
「誰に必要な確認事項なの?」という点ですが、企業内で環境DDを実施する担当者にも環境コンサルタント会社にも必要な確認事項です。
そもそもプローポーザルって何?という読者の方もいると思います。
プロポーザルは、提案書や計画書という名称で使用されることもあります。
このプロポーザルは、金額のみを提示するお見積書ではなく、以下の点が含まれていることが一般的です。
・対象地の情報
・環境DDの目的
・業務仕様
・成果品の種類
・スケジュール
・プロジェクトの金額
・見積もり条件
・その他(チームメンバー構成、連絡体制、環境DDで注目する事項など)
プロポーザルの作成は、環境コンサルタント会社が行いますが、企業内で環境DDを実施する環境担当者もプロポーザルに関して、大体のことを理解しておく必要があります。
なぜなら、企業内で環境DDを実施する担当者が、環境コンサルタント会社に「フェーズ 1 のプロポーザルを作成してください」とだけ伝えてプロポーザルの提出を依頼しても、環境コンサルタント会社は適切なプロポーザルを作成することができません。
理由は簡単です。
依頼内容が漠然としており、プロポーザルを作成する為の情報が足りないからです。
企業内で環境DDを実施する担当者がプロポーザルを作成する為に必要な情報を提供して、環境コンサルタント会社は適切なプロポーザルを作成することができるのです。
ここからは、プロポーザルを作成する為に必要な基本情報などを書いています。
なぜ、環境デューデリジェンスにプロポーサルの作成が必要なのか?
なぜ、プロポーザルの作成が必要であるかという点を書いておきます。
環境デューデリジェンスは、M&A案件毎にサービスの内容が異なる傾向にあります。
もちろん、大まかな内容が変わることはありません。
しかし、案件毎という観点で言えば、例えば、環境・労働安全衛生のコンプライアンス評価や環境・社会・ガバナンス(ESG)評価などの業務タスクの追加、報告書の型式(型式的な報告書か表形式の概要報告書か)などが挙げられます。
私の経験上、環境コンサルタント会社によって報告書の型式は異なっていますし、複数の環境コンサルタント会社から同じ環境DD案件に対して提案される業務タスクも細かい部分で異なっていました。
再度の記載になりますが、環境デューデリジェンスのサービスと言っても、M&A案件毎に内容が異なるということです。
そういった観点から話を進めていくと、仮に以前から買い手企業と環境コンサルタント会社にお付き合いがあったとしても、前回依頼した案件とサービス内容が異なる可能性があり、その異なる点を企業の環境DDの担当者と環境コンサルタント会社は互いに理解をしておかなければなりません。
そして、両社が共通の理解をするという点で、一番良い方法として「文書として残しておく」ということです。
既にあなたはお気づきだと思いますが、「文書として残しておく」=「プロポーザル(提案書、計画書など)の作成」です。
万が一、環境DDが終盤に差し掛かった時に、企業の環境DDの担当者と環境コンサルタント会社の間に環境リスクの評価方法や成果品の認識などの齟齬が発生するとM&A取引にも大きな影響を与える可能性があります。
こういった情報共有のリスクの発生を未然に防ぐために、環境デューデリジェンスに関するプロポーザルを作成し、業務仕様などに関する共通理解を企業の環境DDの担当者と環境コンサルタント会社が持っておくことが必要となります。
人は意外と思い込みで生きているものです。さらに忙しさに追われると…..。
察してください。とても重要だということを…..。
企業の環境DDの担当者と環境コンサルタント会社の間に業務仕様の理解の齟齬が発生したケースを図にしてみました。

環境デューデリジェンスのプロポーザルの作成に必要な情報とは?
では、プロポーザルはどのような情報を基に作成されるのか?ということを書いていきます。
まず、プロポーザル作成の為には、企業の環境DDの担当者と環境コンサルタント会社の間での情報の共有が必要となります。
企業の環境DDの担当者は適切なプロポーザルを受取る為に、環境コンサルタント会社は適切な提案を含んだプロポーザルを提出することができるようにする為の情報の共有です。
特殊な環境デューデリジェンスであれば、かなり詳細な項目や条件を企業の環境DDの担当者は、環境コンサルタント会社に提供しなければいけません。
また、環境コンサルタント会社はもちろんのこと必要な情報を入手しなければなりません。
では、早速、プロポーザルを作成する為に必要な基本情報を整理していきます。
対象地の住所は利益相反の確認において、入手済みであることを前提とします。
もし、あなたが「利益相反の確認って何?」となっている場合、以下の記事を参照ください。

環境デューデリジェンスのプロポーザルを作成する為の基本情報の抜粋
・M&A取引の対象となる売り手企業の業種
・環境DDの対象となる土地又は工場の規模
・M&A取引における環境DDのスケジュール
・M&A取引の想定される規模
・環境DDの業務仕様
・報告書の言語や様式
・見積り通貨の確認(日本円、米国ドル、ユーロなど)
・企業間の契約条項の確認
・買い手企業の環境DDに関するポリシー
・可能であれば、環境DDの予算の幅
箇条書きで書いてみましたが、図にしてみました。


いくつかの情報をピックアップしてみましたが、各々の基本情報の把握には適切な意味があります。
M&A案件のDD期間が短期間であり、情報収集に複数の制限があるなどの環境DDでは、企業の環境DDの担当者と環境コンサルタント会社の効率の良い協働が重要となります。
企業の環境DDの担当者は、可能な限り適切な情報を環境コンサルタント会社へ、環境コンサルタント会社は適切なプロポーザル作成する為に可能な限り必要な情報を企業の環境DDの担当者から受取りましょう。
環境DDの業務仕様の確認に関しては、プロジェクトの費用に大きく影響を与える項目になるので、以下の記事を参照にM&A取引の目的、条件や制限などに適した業務仕様を企業の環境DDの担当者と環境コンサルタント会社で検討することが望ましいです。

最後まで記事を読んで頂きありがとうございました。