平成31年 改正土壌汚染対策法

土壌溶出量基準に適合しない汚染状態にある要措置区域等内の帯水層に接する場合における土地の形質の変更の施行方法の基準(Appendix-12)の解読

土壌汚染対策法のガイドライン改訂第3版の土壌溶出量基準に適合しない汚染状態にある要措置区域等内の帯水層に接する場合における土地の形質の変更の施行方法の基準

 

土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン 改訂第3版のAppendixは参考資料として付属されており、Appendix No.1からAppendix No.25まであります。

 

土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドラインの本文を読んで、土壌汚染問題に関する調査などの知識を得るということは必須であり、環境デューデリジェンスの知識や技術の向上にも必要なことです。

 

一方で私の経験上、土壌汚染問題や土壌汚染調査の本質的な事項は意外にも付属しているAppendixに多く記載されていると考えています。

つまり、土壌汚染問題を理解する為の基礎情報や補足情報が記載されているということです。

 

なぜ、土壌汚染問題に関する基礎情報や補足情報が環境デューデリジェンスに必要かということですが、環境デューデリジェンスの結果はM&A取引を行う企業間同士で共有されます。

そして、環境DDの結果に関して議論されるわけです。

 

議論の際に当然、環境面や土壌汚染問題の知識がない担当者の方や経営層がいる可能性はあります。

そのようなケースでは、基礎情報や補足情報を丁寧に説明するということが非常に効果的であり、重要なのです。あくまでも私の経験の話ですが…(笑)。

 

更に環境省の土壌汚染調査管理技術者試験でも、Appendixに記載されている内容が問題として出題されいます。

実際、土壌汚染調査管理技術者試験の問題を解いていると、結構の頻度でAppendixを参照しています。

 

そこで、環境デューデリジェンスの知識や技術の向上を考慮して、Appendixに記載されている内容を学んでみることにしました。

 

私は海外M&Aの環境デューデリジェンスを多数経験していますが、やはり国内の環境デューデリジェンスに適用されることが多い土壌汚染対策法のルールを知っておくことは重要だと考えています。

土壌汚染対策法では○○で、海外の法規制では○○ですという例え話は、とても説得力がありますし、理解しやすいですからね。

 

今回は、Appendix No.12の土壌溶出量基準に適合しない汚染状態にある要措置区域等内の帯水層に接する場合における土地の形質の変更の施行方法の基準についてです。

 

私なりの解釈や概要を整理していきます。

このAppendix No.12は文章量が多く、内容が複雑なのでじっくりと読み込む必要があります。

 

 

土壌溶出量基準に適合しない汚染状態にある要措置区域等内の帯水層に接する場合における土地の形質の変更の施行方法の基準に係る基本的考え方

 

要措置区域内の土地の形質の変更の施行方法の基準に係る基本的考え方

 

要措置区域では、都道府県知事は、汚染除去等計画の提出があった場合において、当該汚染除去等計画に記載された実施措置が環境省令で定める技術的基準に適合していないと認める時は、その提出があった日から起算して 30 日以内に限り、当該提出をした者に対し、その変更を命ずることができます。

実施措置の種類ごとの技術的基準(実施の方法)は、土壌汚染対策法施工規則 別表第8に定めるとおりです。

 

土壌汚染対策法施工規則 別表第8の措置の種類は以下のとおりです。

 

🔷 地下水の水質の測定

🔷 原位置封じ込め

🔷 遮水工封じ込め

🔷 地下水汚染の拡大の防止

🔷 土壌汚染の除去

🔷 遮断工封じ込め

🔷 不溶化

🔷 舗装

🔷 立入禁止

🔷 土壌入換え

🔷 盛土

 

 

すべての実施措置に共通する事項の1つとして、以下のことが記載されています。

 

土壌溶出量基準に適合しない土壌が要措置区域内の帯水層に接する場合の土地の形質の変更の施行方法が、環境大臣が定める基準に適合していることにより、人の健康にかかる被害が生ずるおそれがないようにすること

 

 

 

形質変更時要届出区域内の土地の形質の変更の施行方法の基準に係る基本的考え方

 

形質変更時要届出区域では、都道府県知事は、土地の形質の変更の届出があった場合において、その施行方法が一定の基準に適合しないと認めるときは、届出を受けた日から14日以内に限り、施行方法に関する計画の変更を命ずることができます。

 

その施行方法の一定の基準の一つとして、土地の形質の変更に当たり基準不適合土壌が帯水層に接する場合にあっては、環境大臣が定める施行方法の基準により土地の形質の変更を行うことされています。

ただし、自然由来特例区域等又は埋立地特例区域に該当する土地の区域内において土地の形質の変更を行う場合、及び埋立地管理区域において一定の施行方法に従い土地の形質の変更を行う場合においては、当該基準を適用しないこととしています。

 

 

難しいことが沢山記載されていますが、要は帯水層に接する場合の土地の形質の変更の施行は定められた方法で適切に実施しましょうということです。

その定められた方法(環境大臣が定める施行方法の基準)は以下に記載する通りです。

 

 

 

土壌溶出量基準に適合しない汚染状態にある要措置区域等内の帯水層に接する場合における土地の形質の変更の施行方法

 

環境大臣が定める施行方法の基準は、次のとおりです。

主要な留意事項が4つあります。

 

その1 土地の形質の変更の方法は、次のイからハまでのいずれにも該当する方法とすること

 

イ  土地の形質の変更に着手する前に、当該土地の形質の変更の範囲の側面を囲み、基準不適合土壌の下にある準不透水層(厚さが1m以上であり、かつ、透水係数が毎秒1μm(1×10-6m/秒)以下である地層又はこれと同等以上の遮水の効力を有する地層をいう。)であって最も浅い位置にあるものの深さまで、鋼矢板その他の遮水の効力を有する構造物を設置すること。

 

 土地の形質の変更が終了するまでの間、イの構造物により囲まれた範囲の土地の地下水位が当該構造物を設置する前の地下水位を超えないようにすること。

 

 最も浅い位置にある準不透水層より深い位置にある帯水層まで土地の形質の変更を行う場合には、次のいずれにも該当するものであこと。

 

① 土地の形質の変更を行う準不透水層より浅い位置にある帯水層内の基準不適合土壌又は特定有害物質が当該準不透水層より深い位置にある帯水層に流出することを防止するために必要な措置を講ずること。

 

② 最も浅い位置にある準不透水層より深い位置にある帯水層までの土地の形質の変更が終了した時点で、当該土地の形質の変更が行われた準不透水層が本来の遮水の効力を回復すること。

 

その2 要措置区域等(区域内の土地の土壌の第一種特定有害物質による汚染状態が土壌溶出量基準に適合せず、かつ、第二溶出量基準に適合する土地の区域又は区域内の土地の土壌の第二種特定有害物質若しくは第三種特定有害物質による汚染状態が土壌溶出量基準に適合しない土地の区域に限る。)内の土地の形質の変更の方法は、次のイ又はロのいずれかの方法とすること

 

イ  前号イからハまでのいずれにも該当する方法

 次の⑴から⑶までのいずれにも該当する方法

 

(1) 次の①から④までの措置により地下水位を管理すること。

①当該土地の形質の変更の範囲の土地の土壌の特定有害物質による汚染に起因する地下水汚染の拡大を的確に防止できると認められる地点に揚水施設を設置し、地下水を揚水すること。

 

②①により揚水した地下水に含まれる特定有害物質を除去し、当該地下水の水質を排出水基準に適合させて公共用水域に排出するか、又は当該地下水の水質を排除基準に適合させて下水道に排除すること。

 

③当該土地の形質の変更の範囲の土地の土壌の特定有害物質による汚染に起因する地下水汚染が拡大するおそれがあると認められる当該土地の形質の変更の範囲の周縁の土地に観測井を設け、定期的に地下水位を観測し、当該土地の形質の変更が終了するまでの間、当該周縁の土地の地下水位を確認すること。

 

④③の観測の結果、当該土地の形質の変更の範囲の土地の地下水位が当該周縁の土地の地下水位を超えていると認められる場合には、当該土地の形質の変更の範囲の土地の土壌の特定有害物質による汚染に起因する地下水汚染の拡大を防止するための措置を講ずること。

 

(2) 次の①及び②の措置により地下水の水質を監視すること。

 

①当該土地の形質の変更の範囲の土地の土壌の特定有害物質による汚染に起因する地下水汚染が拡大するおそれがあると認められる当該土地の形質の変更の範囲の周縁の土地に観測井を設け、1月に1回以上定期的に地下水を採取し、当該土地の形質の変更が終了するまでの間、当該地下水に含まれる特定有害物質の量を規則第6条第2項第2号の環境大臣が定める方法により測定すること。

 

②①の測定の結果、地下水汚染が当該土地の形質の変更の範囲の土地の区域外に拡大していると認められる場合には、当該土地の形質の変更の範囲の土地の土壌の特定有害物質による汚染に起因する地下水汚染の拡大を防止するための措置を講ずること。

 

(3) 最も浅い位置にある準不透水層より深い位置にある帯水層まで土地の形質の変更を行う場合には、その1 土地の形質の変更の方法のいずれにも該当する方法とすること。

 

その3 前2号(前2号とは要措置区域等のことです)の土地の形質の変更を行う場合にあっては、原位置封じ込め、遮水工封じ込め、地下水汚染の拡大の防止又は遮断工封じ込めの実施措置が既に講じられている土地については、土地の形質の変更が終了した時点で当該措置のための構造物等を原状に回復する措置が講じられていること

 

その4 1号(土地のことです)又は第2号(要措置区域等のことです)の土地の形質の変更を行う場合にあっては、基準不適合土壌又は特定有害物質の飛散、揮散又は流出を防止するために必要な措置を講ずること

 

 

土地の形質の変更の方法(その1)と要措置区域等内の土地の形質の変更の方法(その2)が別々に整理されています。

その3では要措置区域等内の土地の形質の変更の方法に追加事項が記載されています。

その4では、共通して基準不適合土壌又は特定有害物質の飛散、揮散又は流出を防止するために必要な措置を講ずることと記載されています。

 

 

 

要措置区域等内の土地の汚染状態の確認

 

土要措置区域における実施措置の実施又は土地の形質の変更、並びに形質変更時要届出区域における土地の形質の変更を行う際、土壌溶出量基準に適合しない土壌が要措置区域等内の帯水層に接する場合の土地の形質の変更の施行方法の基準は、平成31年環境省告示第5において定められています。

具体的には、第一種特定有害物質による汚染状態が第二溶出量基準に適合しない土地にあっては、鋼矢板その他の遮水壁により土地の形質の変更の範囲を囲むこととし、それ以外の場合にあっては、地下水の水質の監視及び地下水位の管理を行うことによって、土地の形質の変更を行うことができます。

したがって、鋼矢板その他の遮水壁により土地の形質の変更の範囲を囲むこと以外の施行方法を行うとする者は、汚染除去等計画や土地の形質の変更計画を作成する前に、要措置区域等内の土地の土壌の汚染状態が第一種特定有害物質による第二溶出量基準に適合していることを確認しなければなりません

 

なお、この確認方法については、【土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン本編 5.3.4 第二溶出量基準に不適合な土壌汚染の存在範囲を把握する調査】に記述されています。

 

なお、【5.3.4 第二溶出量基準に不適合な土壌汚染の存在範囲を把握する調査】の記載内容(要約)は以下のとおりです。

 

第二溶出量基準に不適合な汚染状態の土壌の範囲を把握する調査は、原位置封じ込めや遮水工封じ込め等の実施措置の実施や、一般管理区域において準不透水層まで遮水壁を打ち込まずに土地の形質の変更を行う場合に行われます。

 

当該調査は、土壌汚染状況調査の結果を参考に、実施措置を実施する区域内に第二溶出量基準に不適合な土壌が認められる場合、又は、第二溶出量基準に不適合な土壌が認められるおそれがある場合に実施します。

 

第二溶出量基準に不適合な土壌が認められるおそれがある場合とは、地歴調査において措置の対象となった特定有害物質の使用・貯蔵等が多い場合が挙げられます。

 

なお、第一種特定有害物質では、原液を使用していた場合、帯水層の底面付近について第二溶出量基準に不適合な範囲が存在する可能性があることに留意が必要です。

 

また、第二種特定有害物質については、措置の対象となった特定有害物質の土壌含有量が高い場合等も参考となります。

 

なお、【土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン本編 5.3.3 実施措置を実施するための基準不適合土壌のある範囲及び深さを把握する調査】、又は 【土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン本編 5.3.2 目標土壌溶出量及び目標地下水濃度を設定するための基準不適合土壌のある範囲及び深さを把握する調査】と同時に実施することも可能です。

 

実施措置の実施に当たって、第二溶出量基準に適合しない汚染状態の土壌の範囲を確認する場合、その旨を汚染除去等計画に記載する必要があります。

 

以下、当該告示で定める基準に適合するように土地の形質の変更を行うための代表的なケースの施行手順及び留意すべき事項を記載します。

 

 

 

土壌溶出量基準に適合しない汚染状態にある要措置区域等内の帯水層に接する場合における土地の形質の変更の施行方法の代表的なケース

 

最も浅い帯水層の中で土地の形質の変更を行う場合

 
土地の形質の変更の範囲を囲むように遮水壁(鋼矢板、ケーシング等)を設置することにより、内部の地下水と外部の地下水を遮断した後に、揚水により土地の形質の変更の範囲より1m以上深い深さまで地下水位を低下させた(又は内部の地下水をすべて揚水した)上で、土地の形質の変更をする場合

 

イメージ図を以下に記載します。

 

土地の形質の変更の範囲を囲むように遮水壁を設置、揚水により土地の形質の変更の範囲より1m以上深い深さまで地下水位を低下させた上で、土地の形質の変更をする場合

 

<施行手順>

①準不透水層まで遮水壁を設置し、内部の地下水と外部の地下水を遮断する(内部の土壌や地下水が外部に拡散しないようにする。)。

 

②遮水壁で封じ込められた内部の地下水を揚水により回収し、土地の形質の変更の範囲より1m以上深い深さまで地下水位を低下させる(又は内部の帯水層内の地下水をすべて揚水する。)。

 

③土地の形質の変更の工事を行う(土地の形質の変更の範囲はすべて地下水位よりも1m以上浅い深さまでとする。)。

 

④土地の形質の変更の工事完了後、遮水壁を除去する。

 

<留意事項>

ア.土地の形質の変更が終了するまでの間、地下水モニタリングを実施し、遮水壁を設置した場所の内部から外部に汚染の拡散が認められた場合には、地下水揚水等の対策を講ずる。

 

イ.遮水壁により最も浅い帯水層における地下水の流向が変化することが想定される場合は、実施中の地下水モニタリングにおける観測井の位置が適切であるかを評価し、不適切であれば新たな観測井を設置するなどにより、地下水汚染が拡大していないことを確認する。

 

ウ.遮水壁は準不透水層を貫通させないものとし、遮水壁の下端から、準不透水層底部までの間隔は、0.5m以上確保するものとする。

 

エ.土地の形質の変更が終了するまでの間、遮水壁を設置した場所の土地の地下水位は、外部の地下水位と同じか又は低く維持するものとする。

 

オ.土地の形質の変更が実施された後は、実施措置において行うこととされている地下水モニタリングを適切に実施する。

 

 

 

土地の形質の変更の場所を囲むように遮水壁を設置することにより、内部の地下水と外部の地下水を遮断した後に、土地の形質の変更をする場合(地下水の揚水を行うこと無く施行できる場合(土地の形質の変更の場所が帯水層に接する程度までである場合)に限定)

 

イメージ図を以下に記載します。

 

土地の形質の変更の場所を囲むように遮水壁を設置することにより、内部の地下水と外部の地下水を遮断した後に、土地の形質の変更をする場合

 

 

<施行手順>

①準不透水層まで遮水壁を設置し、内部の地下水と外部の地下水を遮断する(内部の土壌や地下水が外部に拡散しないようにする。)。

 

②土地の形質の変更の工事を行う。

 

③土地の形質の変更の工事完了後、地下水モニタリングが適切に実施できるよう、遮水壁を設置した場所の地下水中の特定有害物質の濃度が、土地の形質の変更を行う前と同等以下となるよう、揚水等で回収し、入れ換え、又は浄化した上で遮水壁を除去する。

 

<留意事項>

ア.土地の形質の変更が終了するまでの間、地下水モニタリングを実施し、遮水壁を設置した場所の内部から外部に汚染の拡散が認められた場合には、地下水揚水等の対策を講ずる。

 

イ.遮水壁により最も浅い帯水層における地下水の流向が変化することが想定される場合は、実施中の地下水モニタリングにおける観測井の位置が適切であるかを評価し、不適切であれば新たな観測井を設置するなどにより、地下水汚染が拡大していないことを確認する。

 

ウ.遮水壁は準不透水層を貫通させないものとし、遮水壁の下端から、準不透水層底部までの間隔は、0.5m以上確保するものとする。

 

エ.土地の形質の変更が終了するまでの間、①の構造物により囲まれた場所の土地の地下水位は、外部の地下水位と同じか、又は低く維持するものとする。

 

オ.土地の形質の変更が実施された後は、実施措置において行うこととされている地下水モニタリングを適切に実施する。

 

 

 

土地の形質の変更の場所の地下水位を管理しつつ、地下水の水質の監視を行いながら、土地の形質の変更を行う場合(第一種特定有害物質による汚染状態が第二溶出量基準に適合しない場合は適用対象外)

 

イメージ図を以下に記載します。

 

地下水位を管理して施行する方法 地下水の水質を監視して施行する方法1

 

 

上述の施行方法の基準の適用対象は、次の汚染状態の土壌の土地です。

 

①第一種特定有害物質による汚染状態が土壌溶出量基準に適合しないが、第二溶出量基準に適合している土壌の土地

 

②第二種及び第三種特定有害物質による汚染状態が土壌溶出量基準に適合していない土壌の土地(第二溶出量基準に適合しない土壌の土地も含む。)

 

土地の形質の変更の場所の地下水位を管理しつつ、地下水の水質の監視を行いながら、土地の形質の変更を行う場合、当該土地の形質の変更の範囲の周縁や近傍の場所の地下水の汚染状態によっては、地下水の揚水に伴い、新たな地下水汚染の拡大や土壌汚染を生ずるおそれがあります。

したがって、汚染除去等計画又は土地の形質の変更計画を作成するにあたっては、土地の形質の変更の範囲近傍の地下水の汚染状態に留意しなければなりません。

 

 

<施行手順>

①当該土地の形質の変更の範囲の土地の土壌の特定有害物質による汚染に起因する地下水の汚染の拡大を的確に防止できると認められる地点に揚水施設を設置し、地下水を揚水する。

 

②①により揚水した地下水に含まれる特定有害物質を除去し、当該地下水の水質を排出水基準に適合させて公共用水域に排出するか、又は当該地下水の水質を排除基準に適合させて下水道に排除する。

 

③当該土地の形質の変更の範囲の土地の土壌の特定有害物による汚染に起因する地下水の汚染が拡大するおそれがあると認められる当該土地の形質の変更の範囲の周縁の土地に観測井を設け、定期的に地下水位を観測し、当該土地の形質の変更が終了するまで間、当該周縁の土地の地下水位を確認する。

 

④当該土地の形質の変更の範囲の土地の土壌の特定有害物質による汚染に起因する地下水の汚染が拡大するおそれあると認められる当該土地の形質の変更の範囲の周縁に観測井を設け、1ヶ月に1 回以上定期的に地下水を採取し、当該土地の形質の変更が終了するまでの 間、当該地下水に含まれる特定有害物質の量を規則第6条2項第2号の環境大臣が定める方法により測定する。

 

 

<留意事項>

ア. ③の観測の結果、当該土地の形質の変更の範囲の土地の地下水位が当該周縁の土地の地下水位を超えていると認められた場合、当該土地の形質の変更の範囲の土地の土壌の特定有害物質による汚染に起因する地下水の汚染の拡大を防止するための措置を講ずる。

 

イ. ④の測定の結果、地下水の汚染が当該土地の形質の変更の範囲の土地の区域外に拡大していると認められる場合には、当該土地の形質の変更の範囲の土地の土壌特定有害物質による汚染に起因する地下水の汚染の拡大を防止するための措置を講ずること。

 

 

<地下水位の管理及び地下水の水質の監視方法の例>

 

ⅰ) 測定位置

当該土地の形質の変更の範囲の土地の土壌の特定有害物質による汚染に起因する地下水の汚染が拡大するおそれがあると認められる当該土地の形質の変更の範囲の周縁の土地です。

 

ⅱ) 測定項目

地下水の水質は、区域指定を受けた特定有害物質。なお、遮水壁を併用しない場合(遮水機能を有しない土留め壁も含め)、隣接する区域で指定を受けた特定有害物質も対象とすることが望ましいです。

地下水位については、土壌の掘削を伴う場合、掘削時、掘削面より上位に水面がないことを目視等で確認し、その記録を残す必要があります。

 

ⅲ) 測定頻度

水質及び水位の測定頻度は、土地の形質の変更の期間中、少なくとも1か月ごとです(形質変更期間が1か月未満の場合、その間少なくとも1回)。

 

ⅳ) 測定期間

当該土地の形質の変更が終了するまでです。

なお、水位の変動(工事完了に伴う水位の上昇等)により、第一種に限らない特定有害物質の移動が考えられるため土地の形質の変更に起因する地下水位の変動がなくなるまでの間は水質の測定を続けることが望ましいです。

 

 

 

下位帯水層まで土地の形質の変更を行う場合

 

土地の形質の変更の場所を囲むように遮水壁を設置することにより、内部の地下水と外部の地下水を遮断した後に、最も浅い位置にある帯水層内の基準不適合土壌及び地下水を掘削・揚水等により除去した上で、下位帯水層の土地の形質の変更をする場合

 

イメージ図を以下に記載します。

 

土地の形質の変更の場所遮水壁を設置、最も浅い位置にある帯水層内の基準不適合土壌及び地下水を除去、下位帯水層の土地の形質の変更をする場合

 

<施行手順>

①準不透水層まで遮水壁(ケーシングを除く。)を設置し、内部の地下水と外部の地下水を遮断する(内部の土壌や地下水が外部に拡散しないようにする。)。

 

②遮水壁(ケーシングを除く。)を設置した場所の基準不適合土壌をすべて掘削等により除去する。

 

③遮水壁(ケーシングを除く。)を設置した場所の地下水を揚水等で回収し、入れ換え、又は浄化する。

 

④遮水壁(ケーシングを除く。)を設置した場所の下位帯水層までの土地の形質の変更の工事を行う。

 

⑤下位帯水層の土地の形質の変更の工事終了後、当該土地の形質の変更が行われた準不透水層が本来の遮水の効力を回復するように、最も浅い位置にある帯水層と下位帯水層の間に準不透水層を構築する。

 

⑥⑤の準不透水層を構築後、遮水壁を除去する。

 

<留意事項>

ア. 土地の形質の変更が終了するまでの間、地下水モニタリングを実施し、遮水壁を設置した場所の内部から外部に汚染の拡散が認められた場合には、地下水揚水等の対策を講ずる。

 

イ. 遮水壁により最も浅い帯水層における地下水の流向が変化することが想定される場合は、実施中の地下水モニタリングにおける観測井の位置が適切であるかを評価し、不適切であれば新たな観測井を設置するなどにより、地下水汚染が拡大していないことを確認する。

 

ウ. 遮水壁は準不透水層を貫通させないものとし、遮水壁の下端から、準不透水層底部までの間隔は、0.5m以上確保するものとする。

 

エ. 土地の形質の変更が終了するまでの間、①の構造物により囲まれた場所の土地の地下水位は、外部の地下水位と同じか、又は低く維持するものとする。

 

オ. 最も浅い位置にある帯水層と下位帯水層の間に構築された準不透水層は、当該土地の形質の変更が行われる前の準不透水層と同等以上の遮水の効力を有することとする。

 

カ. 準不透水層を構築する材料については、その材料に含まれる特定有害物質が原因となって健康被害が生ずることのない品質を有し、また、準不透水層と同等以上の遮水の効力を有するものとする。

 

キ. 土地の形質の変更が実施された後は、実施措置において行うこととされている地下水モニタリングを適切に実施する。

 

 

 

土地の形質の変更の場所を囲むようにケーシングを設置することにより、内部の地下水と外部の地下水を遮断した後に、最も浅い位置にある帯水層内の基準不適合土壌及び地下水を掘削・揚水等により除去等した上で、下位帯水層の土地の形質の変更をする場合

 

イメージ図は以下に記載する通りです。

 

土地の形質の変更の場所にケーシングを設置、最も浅い位置にある帯水層内の基準不適合土壌及び地下水を除去等、下位帯水層の土地の形質の変更をする場合

 

<施行手順>

①準不透水層までケーシングを設置し、内部の地下水と外部の地下水を遮断する(内部の土壌や地下水が外部に拡散しないようにする。)。

 

②ケーシングを設置した場所の土壌をすべて掘削等により除去する。

 

③ケーシングを設置した場所の地下水を揚水等で回収し、入れ換え、又は浄化する。

 

④ケーシングを設置した場所の下位帯水層までの土地の形質の変更の工事を行う。

 

⑤下位帯水層の土地の形質の変更の工事完了後、当該土地の形質の変更が行われた準不透水層が本来の遮水の効力を回復するように、最も浅い位置にある帯水層と下位帯水層の間に準不透水層を構築する。

 

⑥⑤の準不透水層を構築後、遮水壁を除去する。

 

<留意事項>

ア.土地の形質の変更が終了するまでの間、地下水モニタリングを実施し、遮水壁を設置した場所の内部から外部に汚染の拡散が認められた場合には、地下水揚水等の対策を講ずる。

 

イ.ケーシングにより最も浅い帯水層における地下水の流向が変化することが想定される場合は、実施中の地下水モニタリングにおける観測井の位置が適切であるかを評価し、不適切であれば新たな観測井を設置するなどにより、地下水汚染が拡大していないことを確認する。

 

ウ.ケーシングは準不透水層を貫通させないものとし、ケーシングの下端から、準不透水層底部までの間隔は、0.5m以上確保するものとする。

エ.ケーシングの設置においてはケーシング内部の水位が外部の水位より高くなることが見込まれるが、係る水位の状態は地下水汚染の拡大しやすい状態であり望ましい状況ではないことから、内部の水位については揚水等により速やかに外部の水位と同じか、又は低くするものとする。

 

オ.下位帯水層まで土地の形質の変更の工事を行うに当たっては、必要に応じて、遮水材によりケーシング下部の遮水効果を確実にした上で行う。

 

カ.最も浅い位置にある帯水層と下位帯水層の間に構築された準不透水層は、当該土地の形質の変更が行われる前の準不透水層と同等以上の遮水の効力を有するものとする。

 

キ.遮水材については、その材料に含まれる特定有害物質が原因となって健康被害が生ずることのない品質を有し、また、準不透水層と同等以上の遮水の効力を有するものとする。

 

ク.土地の形質の変更が実施された後は、実施措置において行うこととされている地下水モニタリングを適切に実施する。

 

 

 

土地の形質の変更の場所を囲むように遮水壁を設置することにより、内部の地下水と外部の地下水を遮断した後に、最も浅い位置にある帯水層内の基準不適合土壌及び地下水を掘削・揚水等により除去等した上で、下位帯水層に打設された既存杭の引抜き及び撤去を行う場合

 

1.最も浅い帯水層の中の土地の形質の変更の場所のみ撤去する場合

 

イメージ図は以下に記載する通りです。

 

汚染土壌及び地下水除去後の引抜き:遮水壁を設置する場合

 

<施行手順>

①準不透水層まで遮水壁を設置し、内部の地下水と外部の地下水を遮断する(内部の土壌や地下水が外部に拡散しないようにする。)。

 

②遮水壁で封じ込められた内部の地下水を揚水により回収し、土地の形質の変更の場所より1m以上深い深さまで地下水位を低下させる(又は内部の帯水層内の地下水をすべて揚水する。)。

 

③土地の形質の変更の工事を行う(土地の形質の変更の場所はすべて地下水位よりも1m以上浅い深さまでとする。)。

 

④既存杭を土地の形質の変更の場所のみ撤去する行為について杭が中空の構造である場合は、不透水材の充填等の杭頭処理を行う。

 

⑤④の杭頭処理後、遮水壁を除去する。

 

<留意事項>

ア.土地の形質の変更が終了するまでの間、地下水モニタリングを実施し、遮水壁を設置した場所の内部から外部に汚染の拡散が認められた場合には、地下水揚水等の対策を講ずる。

 

イ.遮水壁により最も浅い帯水層における地下水の流向が変化することが想定される場合は、実施中の地下水モニタリングにおける観測井の位置が適切であるかを評価し、不適切であれば新たな観測井を設置するなどにより、地下水汚染が拡大していないことを確認する。

 

ウ.遮水壁は準不透水層を貫通させないものとし、遮水壁の下端から、準不透水層底部までの間隔は、0.5m以上確保するものとする。

 

エ.土地の形質の変更が終了するまでの間、①の構造物により囲まれた場所の地下水位は、外部の地下水位と同じか、又は低く維持するものとする。

 

オ.既存杭が中空の構造である場合に杭頭処理として充填する不透水材は、その材料に含まれる特定有害物質が原因となって健康被害が生ずることのない品質を有し、また、不透水層(厚さが5m以上であり、かつ、透水係数が毎秒 100 ナノメートル(1.0×10-7m/秒)以下の地層)と同等以上の遮水の効力を有するものとする。

 

カ.土地の形質の変更が実施された後は、実施措置において行うこととされている地下水モニタリングを適切に実施する。

 

 

 

2.汚染土壌及び地下水除去後の引抜き:遮水壁(ケーシングを除く。)を設置する場合

 

イメージ図は以下に記載するとおりです。

 

汚染土壌及び地下水除去後の引抜き :遮水壁(ケーシングを除く。)を設置する場合

 

 

<施行手順>

①準不透水層まで遮水壁(ケーシングを除く。)を設置し、内部の地下水と外部の地下水を遮断する(内部の土壌や地下水が外部に拡散しないようにする。)。

 

②遮水壁(ケーシングを除く。)を設置した場所の基準不適合土壌をすべて掘削等により除去する。

 

③遮水壁(ケーシングを除く。)を設置した場所の地下水を揚水等で回収し、入れ換え、又は浄化する。

 

④遮水壁(ケーシングを除く。)を設置した場所の下位帯水層までの土地の形質の変更の工事を行う。

 

⑤下位帯水層の土地の形質の変更の工事終了後、当該土地の形質の変更が行われた準不透水層が本来の遮水の効力を回復するように、最も浅い位置にある帯水層と下位帯水層の間に準不透水層を構築する。

 

⑥⑤の準不透水層を構築後、遮水壁を除去する。

 

<留意事項>

ア.土地の形質の変更が終了するまでの間、地下水モニタリングを実施し、遮水壁(ケーシングを除く。)を設置した場所の内部から外部に汚染の拡散が認められた場合には、地下水揚水等の対策を講ずる。

 

イ.遮水壁(ケーシングを除く。)により最も浅い帯水層における地下水の流向が変化することが想定される場合は、実施中の地下水モニタリングにおける観測井の位置が適切であるかを評価し、不適切であれば新たな観測井を設置するなどにより、地下水汚染が拡大していないことを確認する。

 

ウ.遮水壁(ケーシングを除く。)は準不透水層を貫通させないものとし、遮水壁(ケーシングを除く。)の下端から、準不透水層底部までの間隔は、0.5m以上確保するものとする。

 

エ.土地の形質の変更が終了するまでの間、遮水壁を設置した内部の地下水位は、外部の地下水位と同じか、又は低く維持するものとする。

 

オ.杭引抜き時、引抜き場所に基準不適合土壌及び地下水がないことを確認する。

 

カ.既存杭を引抜いた跡地においては、最も浅い位置にある帯水層と下位帯水層の間に準不透水層を構築する。

 

キ.遮水材については、その材料に含まれる特定有害物質が原因となって健康被害が生ずることのない品質を有し、また、準不透水層と同等以上の遮水の効力を有するものとする。

 

ク.土地の形質の変更が実施された後は、実施措置において行うこととされている地下水モニタリングを適切に実施する。

 

 

 

2.汚染土壌及び地下水除去後の引抜き:ケーシングを設置する場合

 

イメージ図は以下に記載するとおりです。

 

ケーシングを設置する場合

 

<施行手順>

①準不透水層までケーシングを設置し、内部の地下水と外部の地下水を遮断する(内部の土壌や地下水が外部に拡散しないようにする。)。

 

②ケーシングを設置した場所の土壌をすべて掘削等により除去する。

 

③ケーシングを設置した場所の地下水を揚水等で回収し、入れ換え、又は浄化する。

 

④ケーシングを設置した場所の下位帯水層までの土地の形質の変更の工事を行う。

 

⑤下位帯水層の土地の形質の変更の工事完了後、当該土地の形質の変更が行われた準不透水層が本来の遮水の効力を回復するように、最も浅い位置にある帯水層と下位帯水層の間に準不透水層を構築する。

 

⑥⑤の準不透水層を構築後、遮水壁を除去する。

 

<留意事項>

ア.土地の形質の変更が終了するまでの間、地下水モニタリングを実施し、ケーシングを設置した場所の内部から外部に汚染の拡散が認められた場合には、地下水揚水等の対策を講ずる。

 

イ.ケーシングにより最も浅い帯水層における地下水の流向が変化することが想定される場合は、実施中の地下水モニタリングにおける観測井の位置が適切であるかを評価し、不適切であれば新たな観測井を設置するなどにより、地下水汚染が拡大していないことを確認する。

 

ウ.ケーシングは準不透水層を貫通させないものとし、遮水壁の下端から、準不透水層底部までの間隔は、0.5m以上確保するものとする。

 

エ.ケーシングの設置においてはケーシング内部の水位が外部の水位より高くなることが見込まれるが、係る水位の状態は地下水汚染の拡大しやすい状態であり望ましい状況ではないことから、内部の水位については揚水等により速やかに外部の水位と同じか、又は低くするものとする。

 

オ.下位帯水層まで土地の形質の変更の工事を行うに当たっては、必要に応じて、遮水材によりケーシング下部の遮水効果を確実にした上で行う。

 

カ.杭打設時、打設場所に基準不適合土壌及び地下水がないことを確認する。

 

キ.土地の形質の変更が実施された後は、実施措置において行うこととされている地下水モニタリングを適切に実施する。

 

 

 

土地の形質の変更の場所を囲むように遮水壁を設置することにより、内部の地下水と外部の地下水を遮断した後に、最も浅い位置にある帯水層内の基準不適合土壌及び地下水
を掘削・揚水等により除去等した上で、下位帯水層に杭の打設を行う場合

 

1. 土壌及び地下水を除去した上で杭の打設を行う場合:遮水壁(ケーシングを除く。)を設置する場合

 

イメージ図は以下に記載する通りです。

 

土壌及び地下水を除去した上で杭の打設を行う場合:遮水壁を設置する場合

 

<施行手順>

①準不透水層まで遮水壁(ケーシングを除く。)を設置し、内部の地下水と外部の地下水を遮断する(内部の土壌や地下水が外部に拡散しないようにする。)。

 

②遮水壁(ケーシングを除く。)を設置した場所の基準不適合土壌をすべて掘削等により除去する。

 

③遮水壁(ケーシングを除く。)を設置した場所の地下水を揚水等で回収し、入れ換え、又は浄化する。

 

④遮水壁(ケーシングを除く。)を設置した場所の下位帯水層までの土地の形質の変更の工事を行う。

 

⑤④の土地の形質の変更の工事完了後、遮水壁を除去する。

 

<留意事項>

ア.土地の形質の変更が終了するまでの間、地下水モニタリングを実施し、遮水壁(ケーシングを除く。)を設置した場所の内部から外部に汚染の拡散が認められた場合には、地下水揚水等の対策を講ずる。

 

イ.遮水壁(ケーシングを除く。)により最も浅い帯水層における地下水の流向が変化することが想定される場合は、実施中の地下水モニタリングにおける観測井の位置が適切であるかを評価し、不適切であれば新たな観測井を設置するなどにより、地下水汚染が拡大していないことを確認する。

 

ウ.遮水壁(ケーシングを除く。)は準不透水層を貫通させないものとし、遮水壁(ケーシングを除く。)の下端から、準不透水層底部までの間隔は、0.5m以上確保するものとする。

 

エ.土地の形質の変更が終了するまでの間、遮水壁を設置した内部の地下水位は、外部の地下水位と同じか、又は低く維持するものとする。

 

オ.杭打設時、打設場所に基準不適合土壌及び地下水がないことを確認する。

 

カ.土地の形質の変更が実施された後は、実施措置において行うこととされている地下水モニタリングを適切に実施する。

 

 

 

2. 土壌及び地下水を除去した上で杭の打設を行う場合:ケーシングを設置する場合

 

イメージ図は以下に記載する通りです。

 

土壌及び地下水を除去した上で杭の打設を行う場合:ケーシングを設置する場合

 

<施行手順>

①準不透水層までケーシングを設置し、内部の地下水と外部の地下水を遮断する(内部の土壌や地下水が外部に拡散しないようにする。)。

②ケーシングを設置した場所の土壌をすべて掘削等により除去する。

③ケーシングを設置した場所の地下水を揚水等で回収し、入れ換え、又は浄化する。

④ケーシングを設置した場所の下位帯水層までの土地の形質の変更の工事を行う。

⑤下位帯水層の土地の形質の変更の工事完了後、当該土地の形質の変更が行われた準不透水層が本来の遮水の効力を回復するように、最も浅い位置にある帯水層と下位帯水層の間に準不透水層を構築する。

⑥⑤の準不透水層を構築後、遮水壁を除去する。

 

<留意事項>

ア.土地の形質の変更が終了するまでの間、地下水モニタリングを実施し、ケーシングを設置した場所の内部から外部に汚染の拡散が認められた場合には、地下水揚水等の対策を講ずる。

 

イ.ケーシングにより最も浅い帯水層における地下水の流向が変化することが想定される場合は、実施中の地下水モニタリングにおける観測井の位置が適切であるかを評価し、不適切であれば新たな観測井を設置するなどにより、地下水汚染が拡大していないことを確認する。

 

.ケーシングは準不透水層を貫通させないものとし、遮水壁の下端から、準不透水層底部までの間隔は、0.5m以上確保するものとする。

 

エ.ケーシングの設置においてはケーシング内部の水位が外部の水位より高くなることが見込まれるが、係る水位の状態は地下水汚染の拡大しやすい状態であり望ましい状況ではないことから、内部の水位については揚水等により速やかに外部の水位と同じか、又は低くするものとする。

 

オ.下位帯水層まで土地の形質の変更の工事を行うに当たっては、必要に応じて、遮水材によりケーシング下部の遮水効果を確実にした上で行う。

 

カ.杭打設時、打設場所に基準不適合土壌及び地下水がないことを確認する。

 

キ.土地の形質の変更が実施された後は、実施措置において行うこととされている地下水モニタリングを適切に実施する。

 

 

 

 

3.設置したケーシング内に不透水層を構築した後、杭の打設を行う場合

 

イメージ図は以下のとおりです。

 

設置したケーシング内に不透水層を構築した後杭の打設を行う場合

 

<施行手順>

①準不透水層までケーシングを設置し、内部の地下水と外部の地下水を遮断する(内部の土壌や地下水が外部に拡散しないようにする。)。

 

②ケーシングを設置した場所の土壌をすべて掘削等により除去する。

 

③ケーシングを設置した場所の地下水を揚水等で回収し、入れ換え、又は浄化する。

 

④ケーシングを設置した場所に不透水材を充填する。

 

⑤ケーシングの引き抜きを行う

 

⑥不透水材を充填した場所の下位帯水層までの土地の形質の変更の工事を行う。

 

<留意事項>

ア.土地の形質の変更時、第一帯水層は、実施中の地下水モニタリングにて汚染拡散を監視する。地下水濃度の上昇等異常が認められれば、地下水揚水等の対策を講ずる。

 

イ.なお、ケーシングにより第一帯水層の地下水流向が変化することが想定される場合は、実施中の地下水モニタリングの位置の妥当性を評価し、不適であれば新たな観測井を設置する。

 

.ケーシングは準不透水層を貫通させないものとし、ケーシングの下端から、準不透水層底部までの間隔は、0.5m以上確保するものとする。

 

エ.ケーシングの設置においてはケーシング内部の水位が外部の水位より高くなることが見込まれるが、係る水位の状態は地下水汚染の拡大しやすい状態であり望ましい状況ではないことから、内部の水位については揚水等により速やかに外部の水位と同じか、又は低くするものとする。

 

オ.不透水材については、その材料に含まれる特定有害物質が原因となって健康被害が生ずることのない品質を有し、また、不透水層と同等以上の遮水の効力を有するものとする。

 

カ.土地の形質の変更が実施された後は、実施措置において行うこととされている地下水モニタリングを適切に実施する。

 

 

 

 

土地の形質の変更の場所の地下水位を管理しつつ、地下水の水質の監視を行いながら、土地の形質の変更をする場合における留意事項

 

土地の形質の変更の場所の地下水位を管理しつつ、地下水の水質の監視を行いながら、土地の形質の変更をする施行方法は、遮水壁を準不透水層まで打設して地下水流動を遮断してから土地の形質の変更を行わず、土地の形質の変更の場所の地下水を揚水しながら土地の形質の変更を行うものです。

したがって、土地の形質の変更の場所を含め、周辺の土地の地下水の汚染状態が明らかであり、地下水汚染が土地の形質の変更の場所のみあるいはその周縁のみに存在していれば、当該揚水に伴い汚染地下水を回収することにあり、土地の形質の変更に伴い新たな汚染の拡大を防止できます。

しかしながら、周辺の土地において高濃度の地下水汚染が散在しているような状態であることが明らかである場合や地下水の汚染状態が不明な場合にあっては、地下水の揚水に伴い、高濃度の汚染地下水を引き込み新たな土壌汚染を引き起こすおそれがあるので、留意しなければなりません。

 

また、深さ限定調査により要措置区域等の指定を受けた土地では、土地の形質の変更の範囲より1m深い深さより以深において試料採取等調査により土壌汚染の有無を確認していないことから、1m深い深さより以深に汚染の生じた場所の位置が存在している場合、当該汚染に起因した地下水汚染が生じているおそれがあります。

したがって、深さ限定調査により要措置区域等の指定を受けた土地において、深部に汚染が生じた場所の位置が存在する場合、地下水の水質の測定対象物質として指定を受けた特定有害物質のみならず、土地の形質の変更の着手前に深部に存在するおそれがある土壌汚染に起因した地下水の汚染の有無及び汚染状態を把握することが望ましいです。

 

環境大臣が定める基準に適合する旨の都道府県知事の確認を受けた施行方法により、土地の形質の変更が行われたことの確認を都道府県知事が施行後に行えるよう、その工事記録については適切に管理・保管する必要があります。

以下に工事記録に係る書類の例を以下に記載します。

 

①土地の形質の変更が終了するまでの間に実施した地下水モニタリングの結果を表す書類

 

②遮水材及び不透水材について、その材料に含まれる特定有害物質が原因となって健康被害が生ずることのない品質を有し、また、両者がそれぞれ、準不透水層又は不透水層と同等以上の遮水の効力を有するものであることを証する書類(遮水材又は不透水材の材料試験や透水係数に係る試験結果、現場写真等)

 

また、上記以外の事項は、以下の【記録とその保管】を参照してください。

 

 

 

記録とその保管

 

1. 土地の形質の変更の記録書類

 

土地の形質の変更の記録は、電子情報等でできるだけ多くの情報を保存し、継承することが望ましいです。

通常の管理行為、軽易な行為等の届出を必要としない土地の形質の変更も含めて、土地の形質の変更の際に記録することが望ましい書類を以下に記載します。

 

土地の形質の変更に伴う出来形の管理や記録方法、記録写真の撮影方法等については、土木工事施行管理基準及び規格値(案)(国土交通省、平成 30 年3月改定)及び写真管理基準(案) (国土交通省、平成 29 年3月改定)を参考としています。

これらの基準等は、常に最新版を参考にして下さい。

 

①土地の形質の変更に係る書類(申請書、届出書等)

 

②工事の掘削場所に係る記録

 

③掘削深さに係る記録

 

④掘削面の状況(土質等)

 

⑤土壌試料の採取位置図及び写真等

 

⑥特定有害物質の測定結果

 

⑦当該要措置区域等に係る汚染の除去等の措置の記録

 

⑧土地の形質の変更に伴い埋設された産業廃棄物や構造物の基礎コンクリートが産業廃棄物となったもの等、基準不適合土壌以外のものが発生した場合、これらが適切に分別され、基準不適合土壌と区別して処理・処分が行われたことを表す記録

 

⑨その他(措置等と一体となって行われる土地の形質の変更の場合等の措置との関係を示す記録)

 

2. 保管と承継

 

関係法令にその保管が規定されている書類についてはその法令を遵守し、その他の書類については、土地の所有者等、事業者、関係官公署、その他関係者の役割分担に応じて保管されることが望ましいです。

土地の所有者等が保管する書類については、土地の所有者等に変更等が生じた場合には承継することが望ましいです。

特に土地の所有者等にとっては、将来、新たな土地の形質の変更を行う際の認定調査における土壌汚染のおそれの把握の判断に係る資料となることから、要措置区域等における土地の形質の変更に伴い用いる埋め戻し材料や盛土材料等に関する情報(埋め戻す又は盛り立てる場所、土量、搬出場所の土地利用履歴、汚染状態に関する情報等)は重要です。

 

 

最後に…

 

今回は、Appendix No.12土壌溶出量基準に適合しない汚染状態にある要措置区域等内の帯水層に接する場合における土地の形質の変更の施行方法の基準について、私なりに整理してみました。

 

学ぶべきことが沢山あったと実感しています。

施工例は複数ケースあることが理解できるため、現場レベルでどの施工方法が最適なのかを理解した上で実施する必要がありますね。

しかし、このAppendix No.12の記事は、作成するのに時間がかかりました(笑)。

 

 

 

さて、私は小説を寝る前に本としてゆっくり読みたいタイプの人間ですが、勉強で読む本や参考書はスマートフォンやタブレットで通勤中にAmazon Kindleで読み込むタイプです。

以下の本を何回も参考書のように読んでいます。

 

 

 

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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