平成31年 改正土壌汚染対策法

土壌ガス調査に係る採取及び測定の方法(Appendix-5)の解読

土壌汚染対策法のガイドライン改訂第3版の土壌ガス調査に係る採取及び測定の方法

 

土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン 改訂第3版のAppendixは参考資料として付属されており、Appendix No.1からAppendix No.25まであります。

 

土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドラインの本文を読んで、土壌汚染問題に関する調査などの知識を得るということは必須であり、環境デューデリジェンスの知識や技術の向上にも必要なことです。

 

一方で私の経験上、土壌汚染問題や土壌汚染調査の本質的な事項は意外にも付属しているAppendixに多く記載されていると考えています。

つまり、土壌汚染問題を理解する為の基礎情報や補足情報が記載されているということです。

 

なぜ、土壌汚染問題に関する基礎情報や補足情報が環境デューデリジェンスに必要かということですが、環境デューデリジェンスの結果はM&A取引を行う企業間同士で共有されます。

そして、環境DDの結果に関して議論されるわけです。

 

議論の際に当然、環境面や土壌汚染問題の知識がない担当者の方や経営層がいる可能性はあります。

そのようなケースでは、基礎情報や補足情報を丁寧に説明するということが非常に効果的であり、重要なのです。あくまでも私の経験の話ですが…(笑)。

 

更に環境省の土壌汚染調査管理技術者試験でも、Appendixに記載されている内容が問題として出題されいます。

実際、土壌汚染調査管理技術者試験の問題を解いていると、結構の頻度でAppendixを参照しています。

 

そこで、環境デューデリジェンスの知識や技術の向上を考慮して、Appendixに記載されている内容を学んでみることにしました。

 

私は海外M&Aの環境デューデリジェンスを多数経験していますが、やはり国内の環境デューデリジェンスに適用されることが多い土壌汚染対策法のルールを知っておくことは重要だと考えています。

土壌汚染対策法では○○で、海外の法規制では○○ですという例え話は、とても説得力がありますし、理解しやすいですからね。

 

今回は、Appendix No.5土壌ガス調査に係る採取及び測定の方法についてです。

 

私なりの解釈や概要を整理していきます。

 

土壌ガス調査に係る採取及び測定の方法を定める件

 

 

土壌ガス調査に係る採取及び測定の方法を定める件は、平成15年3月に環境省告示第16号とし公表されています。

この告示の最終改正は平成31年1月です。環境省告示は第10号です。

 

さて、みなさんもご存知のとおり、土壌汚染対策法の調査には土壌ガス調査があります。

土壌ガス調査は第1種特定有害物質(揮発性有機化合物)を対象とした調査です。

 

土壌汚染対策法では、土壌汚染対策法施行規則第6条第2項第1号に土壌中の気体又は地下水の採取の方法及び気体に含まれる試料採取等対象物質の量の測定の方法が規定されています。

 

土壌ガス調査の土壌ガスの採取方法

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さて、まずは採取方法について記載してきますが、土壌ガス調査の主な流れは以下のとおりです。

 

1.採取孔(採取する穴)を作る

2.保護管を挿入

3.採取管を保護管に挿入

4.30分以上放置

5.捕集バッグを含む土壌ガス吸引装置を準備

6.土壌ガス試料の採取

7.土壌ガスの分析

 

1~6を図にすると以下のようなイメージです。

 

土壌ガス調査に係る採取及び測定の方法 土壌ガス調査の流れ

 

あなたのイメージ通りでしたか?

イメージ通りでなかったという方も心配する必要はありません。

土壌汚染対策法では上の図の各作業に関して、詳細な手順や決め事が定められています。

 

各機器ごとに作業を整理してみました。

 

採取孔(土壌ガスを採取する為の穴):

直径15~30mm程度深さ0.8~1.0mの裸孔で、鉄棒等の打込み等により穿孔したもの。地表面がアスファルト、コンクリート等で舗装されている場合にあっては、コアカッター、ドリル等で舗装面を削孔して設置する。

 

採取孔のイメージは下の図のとおりです。

 

土壌ガス調査に係る採取及び測定の方法 採取孔

 

 

保護管(土壌ガスを採取する為の穴が崩れないように穴を保護する管):

ステンレス管、アルミ管等の試料採取等対象物質を吸着しない材質の管であって、底面又は下部側面に開口部を持ち、上部50cm以上が無孔管であり、管頭をゴム栓、パッカー等で密栓することができるもの。

これを採取孔内に採取孔(舗装面を削孔して設置した採取孔にあっては、舗装面を含む。)と保護管との間を気体が通過しないように密閉して設置する。

採取管(保護管の中に挿入する土壌ガスが吸引されて通る管):

材質は、ふっ素樹脂製管等の化学反応、吸着反応等によって土壌中の土壌ガスの分析結果に影響を与えず、かつ、土壌ガスに含まれる物質によって腐食されにくいものとする。

保護管の内部がこの材質である場合にあっては、採取管は保護管を延長したものとすることができる。

内径は、試料である土壌ガスの流量、採取管の強度、洗浄のしやすさ等を考慮して選ぶこととする。

長さは保護管の開口部付近まで挿入できるものとする。

一度使用した採取管を再度使用する場合には、よく洗浄した後に使用することとする。

導管(土壌ガス吸引装置と採取管をつなぐ管):

材質は、ふっ素樹脂製管等の化学反応、吸着反応等によって土壌ガスの分析結果に影響を与えず、かつ、土壌ガスに含まれる物質によって腐食されにくいものとする。

内径は、採取管の外径に対し著しく細くないものとし、試料である土壌ガスの流量、導管の長さ、吸引ポンプの能力等を考慮して選ぶこととする。

長さはできるだけ短くする。導管は採取管を延長したものとすることができる。

捕集部(土壌ガスを集める部分):

ガラス製若しくはステンレス製の減圧捕集瓶、合成樹脂フィルム製の捕集バッグ又は試料採取等対象物質を吸着する捕集濃縮管のいずれかとする。

導管等との接続には、シリコーンゴム管、ふっ素ゴム管、軟質塩化ビニル管、肉厚ゴム管等を用いることとする。

捕集バッグを使用するのが一般的です。

捕集バッグは、土壌ガスを気体の状態で捕集するための内容量約1~3Lのふっ素樹脂、ポリプロピレン等の合成樹脂フィルム製のバッグで、試料採取等対象物質の吸着、透過又は変質を生じないもの。

吸引装置(土壌ガスを地中から吸引する装置):

吸引ポンプ及びガス流量計又は気密容器とする。

気密容器などがあります。

気密容器とは捕集バッグを用いて土壌ガスを採取する場合に使用する、その内部を減圧状態にすることにより内部に装着した捕集バッグに土壌ガスを吸入させる容器です。

 

保護管、採取管、導管、捕集部及び吸引装置のイメージは以下の図のとおりです。

 

土壌ガス調査に係る採取及び測定の方法 保護管

 

 

土壌ガス調査の土壌ガス試料の採取

 

 

試料の採取は、表層から0.8~1.0m下の地点において、次のいずれかの方法により土壌ガスを採取して行います。

ただし、雨天及び地上に水たまりがある状態の場合には、土壌ガス調査を実施することはできません。

また、雨天又は地上に水たまりがある状態以外の場合において、土壌ガス調査地点に地下水が存在することから土壌ガスの採取が困難であるときは、試料の採取は土壌ガス調査地点の地下水を適切に採取できる方法により採取して行うことになります。

 

したがって、地下水が浅い部分に存在する場合は、土壌ガスを採取するのではなく、地下水を採取して分析し、評価することになります

 

 

土壌汚染対策法で定められている土壌ガスの採取方法は以下のとおりです。

 

(1)減圧捕集瓶法

(2)減圧捕集瓶を用いた食塩水置換法

(3)捕集バッグ法

(4)捕集濃縮管法

 

上述の方法の中でも、個人的には捕集バッグ法が一般的だと考えています。

あくまでも私個人の経験の範囲ですが…..(笑)。

 

 

捕集バッグ法の流れは以下のとおりです。

 

採取孔の設置

採取孔を削孔して孔内に保護管を挿入し、保護管の上部をゴム栓等で密栓した後、一定時間放置する。放置する時間は30分以上とし、地点による時間のばらつきをできる限り小さくすることとする。

捕集バッグの準備

捕集バッグについて、試料採取等対象物質の吸着、透過又は変質を生じないこと及び漏れが無いことを確認する。一度使用した捕集バッグを再度使用する場合には、清浄乾燥空気(合成空気)等を充てんして乾燥し、赤外線ランプで40℃程度に加熱して吸着された気体を脱離した後、空気を排出する操作を数回繰り返す方法その他の方法により、分析の妨害となる物質を除去した後に使用することとする。

捕集部の組立て

脱気した状態の捕集バッグを気密容器に入れ、捕集バッグに付属する合成樹脂製のスリーブを導管に接続した後、気密容器を吸引ポンプに接続する。

採取管及び導管の取り付け

保護管上部の密栓を開封後、速やかに保護管内に採取管を挿入し、保護管の開口部付近から土壌ガスを採取できるように採取管を設置する。

吸引ポンプ等により採取管の容量の約3倍の土壌ガスを吸引した後、採取管に導管を接続する。

土壌ガスの採取

吸引ポンプにより気密容器内を減圧し、土壌ガスを捕集バッグ内に採取する。管径の大きい導管を用いる場合には、導管内に土壌ガスを満たした状態で行う。

土壌ガスを採取した後、スリーブをシリコーンゴム栓で密栓する。

 

既に記載していますが、以下の図のイメージです。

 

土壌ガス調査に係る採取及び測定の方法 土壌ガス調査の流れ

 

 

土壌ガス調査の土壌ガス試料の運搬及び保管

 

 

私の経験上、土壌ガス試料を採取後に長距離で運搬することはあまりありませんでした。殆どのプロジェクトで土壌ガスの現地分析が実施されていました。

土壌ガス試料を分析する機器を現場に持ち込んで、現地で土壌ガス試料を採取した順番に土壌ガスを分析するという方法です。

土壌ガス試料を分析する機器に関しては、この記事で後述します。

 

土壌ガス試料の運搬及び保管に関する注意事項が土壌汚染対策法のガイドラインに記載されています。

 

土壌ガス試料の運搬及び保管の方法

採取した土壌ガスは、常温暗所で容器の内側が結露しないように運搬及び保管する。土壌ガスの分析は、現地で行う場合には採取から24時間以内に、現地以外の分析室で行う場合に採取から48時間以内に行うこととする。

 

私はこの現地なら24時間、室内分析なら48時間以内というルールが理解できません(笑)。

室内分析の方が、分析環境条件が整っているということだと考えています。

 

    土壌ガス試料の運搬及び保管による濃度減少の評価

🔹 現地以外の分析室で分析を行う場合には、以下の方法により運搬及び保管による濃度の減少の程度を評価する。

🔹 現地で既知の濃度の試料(標準ガス等)を、採取した土壌ガスと同様の方法により減圧捕集瓶若しくは捕集バッグに保管し、又は捕集濃縮管内の捕集剤に吸着させたテスト用試料を2体作成する。

🔹 テスト用試料を採取した土壌ガスと同じ状態で運搬及び保管し、分析する。

🔹 テスト用試料の既知の濃度と分析結果の平均との差が±20%未満の場合には、土壌ガスの分析結果をそのまま土壌ガス中の試料採取等対象物質の濃度とする。

🔹 テスト用試料の既知の濃度と分析結果の平均との差が±20%以上の場合には、次式により求めた濃度を土壌ガス中の試料採取等対象物質の濃度とする。

 

テスト用試料の既知の濃度

濃度=土壌ガスの分析結果×────────────────

テスト用試料の分析結果の平均

 

私は経験上、現地分析しかプロジェクトで経験したことがないので、実際に上述の運搬及び保管による濃度減少の評価を実施したことはありません。

したがって、土壌ガス試料を運搬し、室内分析される方は、上記のポイントを良く理解しておく必要があります。

 

 

土壌ガス調査の分析機器の検出器の違い

 

 

土壌ガス試料の分析方法は、以下の分析機器を使用することが土壌汚染対策法で規定されています。

 

光イオン化検出器を用いるガスクロマトグラフ法(GC-PID)

水素イオン化検出器を用いるガスクロマトグラフ法(GC-FID)

電子捕獲型検出器を用いるガスクロマトグラフ法(GC-ECD)

電気伝導度検出器を用いるガスクロマトグラフ法(GC-ELCD)

ガスクロマトグラフ質量分析法(GC-MS)

 

各方法の頭文字の正式名称は以下のとおりです。

 

GC-PID:GasChromatography(GC)PhotoIonizationDetector(PID)

GC-FID:GasChromatography(GC)FlameIonizationDetector(FID)

GC-ECD:GasChromatography(GC)ElectronCaptureDetector(ECD)

GC-ELCD:GasChromatography(GC)ElectrolyticConductivityDetector(ELCD)

GC-MS:GasChromatography(GC)MassSpectrometry(PID)

 

経験上、私は環境DDのプロジェクトで光イオン化検出器を用いるガスクロマトグラフ法(GC-PID、水素イオン化検出器を用いるガスクロマトグラフ法(GC-FID)及び電気伝導度検出器を用いるガスクロマトグラフ法(GC-ELCD)しか見たことがありません。

したがって、上述の三つの検出器を用いた分析が土壌ガス調査では一般的なのではないでしょうか。

 

 

整理すると、土壌ガス分析では下記の何れかの分析機器で土壌ガス試料を分析することになります。

 

◆ ガスクロマトグラフ光イオン化検出器(GC-PID)を用いるガスクロマトグラフ、水素イオン化検出器を用いるガスクロマトグラフ(GC-FID)、電子捕獲型検出器を用いるガスクロマトグラフ(GC-ECD)、電気伝導度検出器を用いるガスクロマトグラフ(GC-ELCD)又はこれらの検出器を2種類以上組み合わせて用いるガスクロマトグラフ分析装置

◆ 試料を吸着管に吸着させたのち、吸着管を加熱して試料採取等対象物質をガスクロマトグラフに導入する装置

◆ ガスクロマトグラフ質量分析計

 

 

ちなみにGCは以下のような分析機器です。

土壌ガス調査に係る採取及び測定の方法 GCPID 310

 

詳細は、日本電子株式会社さんのホームページを参照ください。

 

 

上記の分析機器を用いた現地での土壌ガス試料の分析作業風景は以下のとおりです。

土壌ガス調査に係る採取及び測定の方法 現地分析 写真

 

インターネットで検索して、一番分りやすい写真でしたので株式会社 大東環境科学さんのホームページを参照とさせて頂きました。

 

 

次は各検出器ごとの特徴です。

 

分析方法ごとの分析が可能な特定有害物質は、異なります。

つまり、土壌ガス調査の対象物質によって、使用できる分析機器が制限されると言うことです。

 

土壌汚染対策法のガイドラインには以下の記載があります。

×印が付いている分析機器と特定有害物質は土壌ガス調査を実施する前に要確認ですね。

土壌ガス調査に係る採取及び測定の方法 GC-PID

 

 

土壌ガス試料の分析方法

 

 

ここからの記事は、私もインターネットで調べながら書いていますが、かなり技術的な内容になります。

つまり、マニアックな内容です。

可能な限り簡単に、分りやすく説明していきますが、みなさんの期待に応えられない可能性があります。

その点はご了承ください。

 

まずは分析に関する最低限の条件です。

 

🔶 土壌ガス試料の分析では、土壌ガスに含まれる試料採取等対象物質の濃度の定量が可能であり、かつ、定量下限値が0.1volppm以下(ベンゼンにあっては0.05volppm以下)である分析方法を用いる必要があります。

🔶 分析装置は、定量下限値付近の変動係数が10~20であることが確認されたものを用いる必要があります。

🔶 分析は精度が確保できる環境であれば、室内、車内又は野外のいずれにおいても実施することができます。

 

 

次に試薬について記載していきます。土壌汚染対策法のガイドラインでは土壌ガス調査の分析に使用する試薬に関して、詳細な内容が規定されています。

 

混合標準液原液

・すべての試料採取等対象物質が1mg/ml含む混合標準液の原液とする必要があります。ただし、2以上の標準液の原液を用いて、すべての試料採取等対象物質を 50 μg/ml 含む混合標準液を調製してもよいです。

・混合標準液の原液アンプルは冷暗所で保管することが必要です。

・計量法(平成4年法律第51号)第136条若しくは同法第144条の規定に基づく証明書又はこれらに相当する証明書が添付された混合標準ガス(ただし、当該混合標準ガスが市販されていない場合には、当分の間、製造事業者が濃度を保証するガスとすることができる。)を使用することができます。

◆混合標準液

・混合標準液の原液1mlを容量20mlの全量フラスコにとり、メタノールを標線まで加えて20mlとし、すべての試料採取等対象物質を50μg/ml含む混合標準液としたものとする必要があります。ただし、2以上の標準液の原液を用いて、すべての試料採取等対象物質を 50 μg/ml 含む混合標準液を調製してもよいです。

・調製は使用時に行うことが必要です。

メタノール

規格K8891に定める試薬が必要です。

◆ヘリウム

純度99.999vol%以上が必要です。

◆窒素

純度99.999vol%以上が必要です。

 

ちなみにヘリウムと窒素はキャリアーガスと言って、土壌ガス試料の気体を分析機器の中のカラムまで運ぶ役目をします。

 

 

次に器具及び装置について記載していきます。土壌汚染対策法のガイドラインでは土壌ガス調査の分析に使用する器具及び装置に関して、詳細な内容が規定されています。

 

 

◆器具

・検量線用ガス瓶内容量1Lのガラス製の瓶であって、絶対圧力1kPa(7.5mmHg)以下を1時間以上保持できるものが必要です。規格K0050の9.3.2(全量フラスコの校正方法)に準じて内容量の測定がされたものを用いることが必要です。

・ガスタイトシリンジは0.1~10mlを採取できるものが必要です。精度の確認がされたものを用いる必要があります。ガスタイトシリンジは、空試験用、低濃度測定用、高濃度測定

用の3本(同一ロットのもの)を用意することが望ましいです。

・マイクロシリンジは1~200μlを採取できるものが必要です。精度の確認がされたものを用いる必要があります。マイクロシリンジは、空試験用、低濃度測定用、高濃度測定用の3本(同一ロットのもの)を用意することが望ましいです。

 

土壌ガス分析に用いられるマイクロシリンジは以下のような注射器みたいなものです。

土壌ガス調査に係る採取及び測定の方法 マイクロシリンジ

 

 

次に操作について記載していきます。土壌汚染対策法のガイドラインでは土壌ガス調査の分析の操作に関して、詳細な内容が規定されています。

 

土壌汚染対策法のガイドラインでは土壌ガス分析の操作に関して、直接捕集法の場合捕集濃縮管法の場合が規定されています。

私の経験上、直接捕集法の場合のみしか実施したことがないので捕集濃縮管法の場合の詳細な情報が必要な方は、土壌汚染対策法のガイドラインを参照ください。

私が経験していないことを書くことは控えさせて頂きます。

 

◆操作 

 

直接捕集法の場合

減圧捕集瓶法、減圧捕集瓶を用いた食塩水置換法又は捕集バック法により土壌ガスを採取した場合には、その一定量を正確に分取して分析装置に導入し、分析結果を記録します。

・土壌ガスを分析装置に直接導入する場合の導入量は0.2~1 mlとし、作成した検量線の範囲内に入るように調節する必要があります。0.2~1 mlの導入量では検量線の範囲内に入らない場合には、試料採取等対象物質を含まない空気により土壌ガスを希釈したものを分析装置に導入する必要があります。

・加熱脱着装置を介して分析装置に土壌ガスを導入する場合には、一定量を通気させ、吸着管に試料採取等対象物質を吸着させる必要があります。その後、吸着管を試料採取等対象物質が十分に脱離する温度まで加熱し、キャリアガスとともに分析装置に導入する必要があります。

・導入量は作成した検量線の範囲内に入るように調節する必要があります。検量線の範囲内に入らない場合には、試料採取等対象物質を含まない空気により土壌ガスを希釈したものを加熱脱着装置及び分析装置に導入する必要があります。ただし、加熱脱着装置は、土壌ガスの測定ごとに、再生温度でキャリアガスを通気し、洗浄を行うことが重要です。

 

土壌ガス中の試料採取等対象物質の濃度は、クロマトグラムから物質のピ-ク面積又はピ-ク高さを測定し、作成した検量線と比較して求めることになります。

 

物質のピ-ク面積又はピ-ク高さに関する説明を図で整理してみました。

図の左側が分析チャートで右側が検出されたの濃度です。

 

土壌ガス調査に係る採取及び測定の方法 分析チャート

 

 

次に検量線の作成について記載していきます。土壌汚染対策法のガイドラインでは土壌ガス調査の分析の検量線の作成に関して、詳細な内容が規定されています。

 

土壌汚染対策法のガイドラインでは土壌ガス分析の検量線の作成に関して、直接捕集法の場合捕集濃縮管法の場合混合標準ガスを試薬として用いる場合が規定されています。

私の経験上、直接捕集法の場合混合標準ガスを試薬として用いる場合のみしか実施したことがないので捕集濃縮管法の場合の詳細な情報が必要な方は、土壌汚染対策法のガイドラインを参照ください。

 

◆検量線の作成

 

直接捕集法の場合

・検量線用ガス瓶について漏れ試験を行う必要があります。また、一度使用した検量線用ガス瓶を再度使用する場合には、分析の妨害となる物質を除去する必要があります。

・検量線用ガス瓶を1kPa(7.5 mmHg)以下に減圧する必要があります。

・混合標準液5μl(試料採取等対象物質がベンゼンである場合には、3μl)をマイクロシリンジで量り採り、検量線用ガス瓶に注入する必要があります。

・検量線用ガス瓶の弁を開放し、試料採取等対象物質を含まない空気を流入させて検量線用ガス瓶内の圧力状態を大気圧に戻した後、弁を閉じて密閉する必要があります。このとき、混合標準液は気化した状態となり、各第一種特定有害物質の濃度(0℃、1気圧換算)は以下の表のとおりとする必要があります。これを標準ガスとすることになります。

土壌ガス調査に係る採取及び測定の方法 特定有害物質の濃度

 

・検量線用ガス瓶について漏れ試験から標準ガス作成と同様の操作により、最初に作成した標準ガスを上回る2水準以上の濃度(2水準とする場合の濃度は、最初に作成した標準ガスの5倍及び 50 倍程度を目安として、分析装置の定量範囲内で設定する。)の標準ガスを調製する必要があります。

・作成した計3水準以上の標準ガスを分析装置に導入し、試料採取等対象物質についての検量線(気体の量とピーク高さ又はピーク面積との関係線)を作成する必要があります。検量線の作成は、土壌ガスの分析時に併せて行う必要があります。

 

混合標準ガスを試薬として用いる場合

混合標準液の原液に代えて混合標準ガスを試薬として用いる場合には、直接捕集法の場合と同様に3水準以上の濃度の標準ガス又は標準試料を作成し、これらについて試料採取等対象物質についての検量線を作成することが必要です。

 

以下に検量線を作成する際のイメージを図にしてみました。分析機器に接続したパソコン上で検量線を作成します。

 

土壌ガス調査に係る採取及び測定の方法 検量線の作成

 

次が最後になります(笑)。

 

◆定量及び計算

土壌汚染対策法のガイドラインでは土壌ガス分析の定量及び計算に関して詳細な内容が規定されています。

 

土壌ガス中の試料採取等対象物質の濃度は、以下の式を用いて体積濃度(単位 volppm)で算出し、有効数字を2桁として3桁目以降を切り捨てて表示します。

定量下限値は、ベンゼン以外の試料採取等対象物質については 0.1 volppm、ベンゼンについては 0.05 volppm とし、これらの濃度未満の場合を不検出とします。

 

C = (Vc/Vs) × 103

C :土壌ガス中の試料採取等対象物質の濃度(volppm)

Vc:検量線から求めた土壌ガス中の試料採取等対象物質の量(μl)

Vs:分析に用いた土壌ガスの量(ml)

 

分析機器を用いると、土壌ガス試料の分析濃度は計算してくれます。

 

ここで重要なのは、以下の文章です。

 

有効数字を2桁として3桁目以降を切り捨てて表示します。

 

つまり、土壌ガス試料の分析の結果、濃度が0.23568ppmであった場合、報告書に記載すべき数値は0.23pmということです。

 

最後に…

 

 

今回は、Appendix No.5土壌ガス調査に係る採取及び測定の方法について、私なりに整理してみました。

 

学ぶべきことが沢山あったと実感しています。

 

土壌ガス調査は土壌汚染対策法に基づく調査です。

土壌汚染対策法に基づく調査では、この記事の内容に準拠した調査が必要になります。

実際に土壌ガス調査を請け負う人はもちろんのこと、土壌ガス調査を発注する企業の担当者の方も詳細を知っておくべきですね。

 

あなたはどうでしたか?

 

だんだん、環境デューデリジェンスに関する知識が増えてきて、一段、一段、階段を上っている感じではないですか?

しかし!!もっともっと、この環境デューデリジェンスは奥が深いです。

 

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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