土壌汚染調査技術管理者試験

平成30年度 環境省 土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の解答に挑戦 (その6)

平成30年度 環境省 土壌汚染調査技術管理者試験の過去問の解答に挑戦 (その6)

 

さて、この記事では問題 26~30を解いていきます。

前回の記事でも書いていますが、色々な問題に関して、解き方や問題に対するアプローチの方法は人それぞれです。

□+□=100の答えに1+99=100があり、50+50=100があるのと同じです。

 

つまり、私は答えを導き出す過程は多種多様で良いと考えています。

 

この記事の中の問題に対する私の答えも他の方とアプローチが異なっている可能性があります。仮に私と読者の方の考え方が異なっていても、最終的には回答が正解であれば問題ないと思います。

あと、私の個人的な見解と知識で解いていきますので、答えや答えを導く過程が間違っていたらすいません。仮に間違っていたとしても、私は責任を取りませんのでご了承下さい。

 

この記事は、あくまでも M&A 環境デューデリジェンス(環境DD)や土壌汚染調査の基礎的な知識を習得するための勉強です。

さらに問題に対して私の知識が足りていない場合は、知り合いの環境コンサルタントに少しヒントをもらって問題を解くようにしています。

では、問題26からです。いざ、合格率 約10%の壁への挑戦です。

 

もしかしたら、合格率が10%の壁なんて壊して突破できないと考えている方がいるかもしれません。

私も問題を解きながら、調べることが多々あるので本当に難しい試験だと実感しています。

ただ、次の1回のチャレンジでその大きな壁が共鳴するように崩れる可能性があるかもしれません。

 

試験について詳細を知りたい読者の方は、以下を環境省のウェブサイトを参照してください。

環境省 土壌汚染調査技術管理者試験について

 

 

茶ポール
茶ポール
コツコツ貯金が一番たまる。
のみエコ
のみエコ
そうです。塵も積もれば山となるです。
茶ポール
茶ポール
ここは開き直って、勉強やな。
のみエコ
のみエコ
です、です。千里の道も一歩から。それに調査の問題は、この記事が終わればあと5問ですよ。

 

過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 26

 

問題26 第二種特定有害物質を対象とした法第4条調査における土壌試料採取に関する次のA~Eの記述のうち、適当なものの組み合わせはどれか。

 

A  ふっ素溶液の配管が深さ 70 cm に埋設されており、地上をグラウンドとして使用してきた地点において、深さ 70 ~ 120 cm の土壌を均等に採取した。

 

B 砒ひ素を使用していた工場があった時代の地表面(現在の地表面からの深さ 80 cm)に対して、深さ 80 ~ 85 cm 及び深さ 85 ~ 130 cm の土壌をそれぞれ分けて均等に採取した。

 

C 砒ひ素を使用していた工場があった時代の地表面(現在の地表面からの深さ 9.8 m)に対して、深さ 9.8 ~ 10.3 m より土壌を採取した。

 

D 地表面がアスファルトで覆われていたため、アスファルト下の砕石及び砂利を取り除いた土壌表面を基準に深さ 0 ~ 5 cm 及び深さ 5 ~ 50 cm の土壌をそれぞれ分けて均等に採取した。

 

E 六価クロムについて汚染のおそれが生じた場所の位置が深さ方向に複数存在する地点であったため、もっとも汚染のおそれの程度が高い位置を選び、その位置から深さ 50 cm までの土壌を採取した。

 

(1)A、B、E

(2)A、D

(3)B、C

(4)C、D

(5)D、E

この手の問題は、AからEまでの記載内容を確認していくしかありません。

そこで、土壌汚染対策法の土壌汚染調査のガイドラインを参照しながら、第二種特定有害物質を対象とした土壌試料採取のパターンを図で整理してみました。

 

過去問題 平成30年 土壌汚染調査技術管理者試験 問題26

 

作成した図を基に各記載の正誤を確認してみました。

 

Aの記載は、特に違和感はありません。パターン3ですね。

Bの記載は、パターン3になるはずです。

Cの記載は、以下の土壌汚染対策法の土壌汚染調査のガイドラインの記載を参照にしました。

 

試料採取は地表から深さ 10mまでの土壌に限って行う。

 

Dの記載は、パターン2ですね。特に違和感はありません。

Eの記載は、汚染のおそれが生じた場所の位置が深さ方向に複数存在するは、パターン4になるはずです。

 

私の見解では、回答が「(2)」になります。

 

過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 27

 

問題 27 法の土壌ガス調査の試料採取と測定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 

(1) 試料採取地点が厚さ 20 cm のコンクリートで舗装されていたので、地表から2 mの採取孔を設置した。

 

(2) 上部 70 cm が無孔管となっているアルミ製の保護管を採取孔に挿入し、ただちに土壌ガスを採取した。

 

(3) 土壌ガスを採取してから現地で測定するまでの間、土壌ガスを採取した捕集バッグを氷を入れたクーラーボックス内に保管した。

 

(4) 土壌ガス中のトリクロロエチレン、シス‒1,2‒ジクロロエチレン、クロロエチレンの濃度を、現地で2 eV のUVランプを搭載した GC‒PID で測定した。

 

(5) 土曜日の午後 8 時に土壌ガス試料を採取したが、日曜日は事業所の都合で作業ができなかったので、月曜日の午前 8 時に土壌ガス中の特定有害物質の濃度を現地で測定した。

 

この問題も基本は土壌汚染対策法の土壌調査のガイドラインで確認です。

土壌汚染対策法の土壌調査のガイドラインに以下の記載がありました。

 

採取孔

直径 15~30 mm 程度、深さ 0.8~1.0mの裸孔で、鉄棒等の打込み等により穿孔したもの。

地表面がアスファルト、コンクリート等で舗装されている場合にあっては、コアカッター、ドリル等で舗装面を削孔して設置する。

土壌ガスの試料採取深度は、土壌汚染のおそれが生じた場所の位置(深さ)に関わらず、地表から 0.8~1.0m下とする。地表面がコンクリートやアスファルト等で被覆されている場合においても、後述する第二種特定有害物質(重金属等)及び第三種特定有害物質(農薬等)を対象とした土壌溶出量調査及び土壌含有量調査とは異なり、コンクリートやアスファルト等の表面を基準とする。

試料採取地点においてコンクリートやアスファルト等による被覆やその下の砕石が地表面から1m下まで分布する場合は 2.5.2(2)1)に従い、同じ単位区画内の任意の地点で土壌その他の試料の採取を行うことができる。

保護管

ステンレス管、アルミ管等の試料採取等対象物質を吸着しない材質の管であって、底面又は下部側面に開口部を持ち、上部 50 cm以上が無孔管であり、管頭をゴム栓、パッカー等で密栓することができるもの。これを採取孔内に採取孔(舗装面を削孔して設置した採取孔にあっては、舗装面を含む。)と保護管との間を気体が通過しないように密閉して設置する。

運搬及び保管の方法

採取した土壌ガスは、常温暗所で容器の内側が結露しないように運搬及び保管する。土壌ガスの分析は、現地で行う場合には採取から 24 時間以内に、現地以外の分析室で行う場合には採取から 48時間以内に行うこととする。

 

現地で 10.2 eV のUVランプを搭載した GC‒PIDでトリクロロエチレン、シス‒1,2‒ジクロロエチレン、クロロエチレンの分析が可能なことを土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインで確認しました。

10.2 eVだと四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、1,1,1,-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタンの分析ができないことになっていました。

したがって、私の見解では、回答が「(4)」になります。

 

過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 28

 

問題28 法において土壌汚染が自然に由来するかどうかを判定する方法に関する次の記述のうち、もっとも不適当なものはどれか。

⑴ 人為的原因や水面埋立て用材料由来による土壌汚染の可能性が考えにくく、土壌汚染が地質的に同質な状態で広がっていることは、その土地の汚染が自然由来と判定する条件のひとつである。

 

⑵ 含有量の測定(全量分析)の分析結果が自然由来の土壌汚染と考えられる範囲内にあることは、自然由来の土壌汚染と判断する目安のひとつである。

 

⑶ 地表から深くなるにつれて土壌中に含まれる汚染物質の含有量が大きくなる傾向を示した場合、自然由来の土壌汚染である可能性がある。

 

⑷ 土壌溶出量は土壌の pH、酸化還元状態などの影響を受けにくいため、基準不適合土壌の分布が使用履歴場所等と関連して局在性がないことを示す指標には適している。

 

(5) ふっ素及びその化合物の土壌含有量が基準不適合であった場合は、人為的原因によるものである可能性が高い。

 

自然由来汚染に関する記載を土壌汚染対策法の土壌汚染調査ガイドラインで調べてみました。

土地の土壌の特定有害物質による汚染状態が専ら自然に由来するかどうかの判定方法として、土壌溶出量基準に適合しない場合土壌含有量基準に適合しない場合の記載がありました。

 

土壌溶出量基準に適合しない場合

土地の土壌の特定有害物質による汚染状態が専ら自然に由来するか否かを判断するに際しては、汚染原因が不明であること、土壌汚染状況調査において土壌汚染が地質的に同質な状態で広がっていることに加え、特定有害物質の種類等、特定有害物質の含有量の範囲等、特定有害物質の分布特性の三つの観点から検討を行い、そのすべてについて以下の条件を満たすか否かで判断することとする。

 

(1) 特定有害物質の種類等

(2) 特定有害物質の含有量の範囲等

特定有害物質の含有量が概ね以下の表に示す濃度の範囲内にあることとする。その際の含有量の測定方法は、土壌汚染状況調査における含有量調査の測定方法によらず、全量分析による。

なお、表-2 に示す濃度の範囲を超える場合でも、バックグラウンド濃度との比較又は化合物形態等の確認から、自然由来による汚染と確認できる場合には、自然由来の汚染と判断する。

過去問題 平成30年 土壌汚染調査技術管理者試験 問題28

 

(3) 特定有害物質の分布特性

特定有害物質の含有量の分布に、当該物質の使用履歴場所等との関連性を示す局在性が認められないこととする。

このような場所において地下深部にまで土壌溶出量基準不適合が見られる場合でも、溶出量又は含有量の深度方向の明らかな連続的な低下が同一地層内で見られないこと等、特定有害物質の浸透による影響を受けている可能性が低いと判断することができる深度以深では、人為的原因による土壌汚染の可能性は低いと判断する。

土壌含有量基準に適合しない場合

土地の土壌の特定有害物質による汚染状態が専ら自然に由来するか否かを判断するに際しては、汚染原因が不明であること、土壌汚染状況調査において土壌汚染が地質的に同質な状態で広がっていることに加え、特定有害物質の種類、周辺バックグラウンド濃度との比較、化合物形態等の観点から、以下の二つの条件を満たすときには、自然由来の汚染と判断する。

なお、これまでの知見からは、いわゆる自然由来の汚染により土壌含有量基準に適合しない可能性がある物質は鉛及び砒素であると考えられる。

 

(1) バックグラウンド濃度又は化合物形態等から、当該土壌中の特定有害物質が専ら自然に由来するものであることが確認できること。

(2) 特定有害物質の含有量の分布に、当該物質の使用履歴のある場所等との関連性を示す局在性が認められないこと。

自然的レベルの範囲の目安が全量分析に基づくものであるのに対し、土壌含有量基準が酸抽出法に基づくものであるとの相違はあるが、鉛及び砒素を除けば自然的レベルは土壌含有量基準よりも十分に小さい値となっている。

したがって、鉛及び砒素を除く物質では、土壌含有量基準を超えれば人為的原因によるものである可能性が高いといえる。

 

(5)がトリッキーな感じがしますが、鉛及び砒素を除く物質では、土壌含有量基準を超えれば人為的原因によるものである可能性が高いといえる。との記載がありました。

したがって、私の見解では、回答が「(4)」になります。

 

過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 29

 

問題29 法の土壌汚染状況調査の結果を示す報告書に記載すべき事項に関する次の記述のうち、もっとも不適当なものはどれか。

 

(1) 地歴調査の結果、土壌溶出量基準又は土壌含有量基準に適合しないおそれがあると認められた特定有害物質の種類を記載する。

 

⑵ 試料採取等対象物質の種類ごとに、土壌汚染のおそれの区分の分類を行い、その結果を図面として示す。また、試料採取地点を示す図面も添付する。

 

⑶ 土壌溶出量調査及び土壌含有量調査を実施した場合は、地歴調査で特定した土壌汚染のおそれが生じた場所の位置と試料採取深度を記載する。

 

(4) 土壌汚染状況調査の全部又は一部を省略した場合は、省略した内容と理由を記載する。試料採取等の一部を省略した単位区画がある場合は、その位置を明確にする。

 

(5) 土壌汚染状況調査の追完を実施し結果を報告する場合は、区域指定後に新たに使用を開始した特定有害物質の種類を記載する。

 

土壌汚染対策法の土壌汚染調査のガイドラインによると、以下の内容が報告書に記載すべき内容と記載されていました。

 

◆使用が廃止された有害物質使用特定施設の種類、設置場所及び廃止年月日並びに当該有害物質使用特定施設において使用等されていた特定有害物質の種類その他の調査対象地において土壌の汚染状態が法第6条第1項第1号の環境省令で定める基準に適合していないおそれがある特定有害物質の種類

 

◆土壌その他の試料の採取を行った地点及び日時、当該試料の分析の結果、当該分析を行った計量法第 107 条の登録を受けた者の氏名又は名称その他の土壌汚染状況調査の結果に関する事項

 

◆土壌汚染状況調査の過程の全部又は一部を省略した場合における当該省略した旨及びその理由並びに規則第 58 条第4項第9号に該当する区域、同項第 10 号に該当する区域又は同項第 11号に該当する区域に該当する土地である場合における、当該区域である旨が台帳記載事項とされたことから、土壌汚染状況調査の結果として、当該省略した旨及びその理由並びに自然由来特例区域等に該当すると思料される土地にあっては、その根拠を記載させることとしている。

 

◆汚染の状況を示す平面図と関連して試料採取地点、試料採取深度、土壌溶出量及び土壌含有量調査の結果は別途、試料採取地点位置図や一覧表に整理する。土壌汚染状況調査の一部又は全部を省略したために、第二溶出量基準不適合又は土壌含有量基準不適合とみなされた単位区画については、その旨と調査を省略した理由を報告書に記載する。

 

したがって、私の見解では、回答が「(5)」になります。

 

過去問題 平成30年度 土壌汚染調査技術管理者試験 問題 30

 

問題30 鉛及びその化合物を試料採取等対象物質として法の土壌汚染状況調査を実施した結果、下の図のような結果が得られた。調査結果の評価に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 

なお、鉛及びその化合物の土壌溶出量基準は 0.01 mg/L 以下、第二溶出量基準は 0.3 mg/L以下、土壌含有量基準は 150 mg/kg 以下である。

 

(1) 土壌溶出量基準に不適合かつ第二溶出量基準に適合する単位区画は 9 区画である。

(2) 土壌溶出量基準に不適合かつ第二溶出量基準に不適合な単位区画は 2 区画である。

(3) 土壌含有量基準に不適合な単位区画は 7 区画である。

(4) 土壌溶出量基準に適合かつ土壌含有量基準に不適合な単位区画は 3 区画である。

(5) 土壌汚染が認められた単位区画は 15 区画である。

 

過去問題 平成30年 土壌汚染調査技術管理者試験 問題30-1

 

図に整理してみました。

まずは、土壌溶出量基準に不適合な単位区画、第二溶出量基準に不適合な単位区画と土壌含有量基準に不適合な単位区画です。

 

過去問題 平成30年 土壌汚染調査技術管理者試験 問題30-2

 

土壌溶出量基準に不適合な区画が9区画、第二溶出量基準に不適合な区画が2区画あることが理解できます。

土壌含有量基準に不適合な単位区画が7区画あることが理解できます。

 

次に土壌溶出量基準に不適合な区画と土壌含有量基準に不適合な単位区画の重複箇所を確認する為に図にしてみました。

 

過去問題 平成30年 土壌汚染調査技術管理者試験 問題30-3

 

したがって、私の見解では、回答が「(5)」になります。

 

 

やはり5問解くだけでも、時間がかかりますね。

本番の試験の際は、頭をフルに活用する必要がありますね。

 

一方でこの土壌汚染調査技術管理者試験には、多くの参考書が販売されています。

 

もし、読者の方が購入されるなら自分に合った参考書をちゃんと選んでください。

私は、土壌汚染問題の基礎が分かる本を買いました。

参考書では、問題の答えだけが説明されているものもあります。しかし、それでは応用力がつきません。他の選択肢に関しても、なぜ正解なのかを知っておくべきです。

 

あと、既に上述していますが、私の個人的な見解と知識で解いていきますので、答えや答えを導く過程が間違っていたらすいません。

仮に間違っていたとしても、私は責任を取りませんのでご了承下さい(笑)。

頑張ってひとつひとつ、ダブルチェック的な観点で調べてみてください。

 

 

最後まで一緒に問題の回答を考えて頂き有難う御座いました。

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